AppleWatchとiPhoneに救われた私の心臓
【崖っぷちのドミノの“かたじけない!”・5】かたじけない3で少しお話ししましたが、今回はその話をもう少し掘り下げてみようと思います。私はもう64歳でそろそろ現役引退も近くなってきました。50代そして60歳を超えても心身ともに全く衰えている自覚も無く、仕事含めパフォーマンスも落ちていないと思い込んでいました。まだまだ、若いもんには負けないって今でも心の中では思っています。
<過去記事>
AppleWatchがなくてはならない存在の理由、大丈夫って胸を張りたい!
https://www.bcnretail.com/market/detail/20240815_446970.html
そんな中でも、AppleWatchを使っていたので、意識せず私のバイタルデータはiPhoneに蓄積されていました。喫煙もしませんし、家呑みは全くしません。飲み物も基本お茶だし、まあそこまで健康を悪くする食生活ではないと勝手に思っていました。
確か家族でディズニーランドに行った時だったと記憶しています。胸の所が急に詰まった感じが少しあり、指先でトントンと叩いてみると、ゲップが出てきて「ふうーーー」って楽になります。
妻から「病院で見てもらったら」といわれていましたが、胸が少し違和感ある程度。しかも軽く叩くと楽になるので全く妻のいうことを聞かずに放置していましたが、後で怒られることになります。
それが2019年頃の話でした。当然、人間ドックは毎年受けており特に再検査などの指摘もありませんでした。ところが、21年頃のある寒い冬の朝です。会社に出社しようと最寄駅まで歩いていると胸がちょっとだけ“きゅ”っとなり同じくトントン叩くとゲップが出て楽になります。疲れているし、年齢的にも少し内臓でも弱っているのかなあと思っていました。
しかし、決まって会社の行き帰り最寄り駅からマンションまでの10分程度歩いている時だけ何回か起きるようになり、流石に私もちょっと気になりましたが、それでも病院に行くことはしませんでした。
すると、平均より低い数値がずっと続いています。
たまたま掛かりつけのドクターに胸の話とiPhoneの心肺機能のグラフデータを見せて相談したら、念のためにそれを循環器のドクターに診てもらうようにといわれ、そのまますぐに同じクリニックの循環器で診てもらうことにしました。
循環器のドクターにもデータを見せました。まずは精密検査をすすめられ、エコーなどの検査を受けました。その結果、びっくり。すぐに心臓の専門病院で見て貰うようにといわれました。iPhoneのデータを見てもかなり前から、私の心臓の血管は問題があったとのことでした。
その時は普段の生活にそこまで影響も出てないので、数カ月先で仕事が落ち着いたら行くとドクターにいったら、そんな状況ではなく、すぐに受けるようにと指導を受けました。しかも、医療連携できるとのことでその場で専門の病院の予約を取ってもらえます。たまたまなのですが、私の家のすぐ近くに榊原記念病院という心臓の専門病院があり、すぐに診療の予約を取ってもらいました。
自分の判断では大したことではないと思い、心臓の専門医療機関まで予約するなんて決してしなかったと思います。でも、AppleWatchが私のバイタルデータを蓄積、それをドクターに見せてアドバイスをもらう。それで、検査や専門の医療機関に紹介してもらえたなんて本当に良かったと思います。
今では掛かりつけのドクターだけでなく何か診療を受けることになったら、とりあえずiPhoneのバイタルデータをドクターに見せて、こんな状況ならどこに問題がありそうか、自分で積極的に聞くことができるようになりました。
ざっくりお話しすると心臓を動かしている心臓の動脈で3本大事な血管があるそうです。その3本ともに狭窄(血管が細くなって一部詰まっている可能性が高い)の症状で毛細血管が頑張って心臓の動きを補助しているとのことでした。
ドクターからは淡々と私の心臓の治療は2択で、バイパス手術(胸の骨を数本折って太い血管を足から取ってバイパスする)もしくはカテーテルで血管を広げてステントを入れるか、といわれた時は絶句でした。しかも、そんなに悪くなるまで症状がないのもびっくり。
「無症状ってよくあるんですよ!高齢の方に多いので……」とドクターからもいわれ、年齢を重ねると体のいろんな所が弱くなってくるのかと痛感、病院からどちらの治療となるのかの連絡を待つだけとなりました。
今回、治療をお願いした病院は「遠隔心リハシステムの早期普及を目指した当院医師の研究が AMEDの『医療機器開発推進研究事業』」に採択され、AppleWatchのデバイスデータを心臓の治療後遠隔管理などに取り組んでいる病院でした。
AppleWatch診療などのキーワードで検索すると積極的に活用されている病院等が出てくるので是非、バイタルデータを見て気になったら検索してみるといいと思います。
妻からは「だから早く病院に行けば良かったのに」「不摂生だったからそうなった」など、いろいろと攻められ返す言葉もなかったので黙ってお叱りを受けました。次の朝徒歩で検査入院に向かいました。検査でも2泊3日の入院となります。治療も同じ程度と、思ったよりも少ない日数で終わるんだとちょっとだけ気が楽になったことを今でも覚えています。
まずは1日中、生理食塩水を体の中に入れられ、次の日がいよいよ体の中にカテーテルが入ります。検査とはいえ、カテーテルなので手術と同じです。検査時間は30分程度とのことでしたが、事前の説明で局所麻酔と分かっていてもドキドキします。
手術室まで車いすで連れて行ってもらい、手術室のドアが開き手術室に入りました。そこは、まるで近未来の宇宙船で冷凍保存するような空間で、その広い空間には手術台がいくつもあって同時に何人もの患者さんを手術していました。
メーカーはいえませんが、各カテーテルの手術で使う機械に大きなロゴが貼ってあって一生忘れられません。手術台の上に乗りチクって針が腕に刺さったら、あっという間に管が血管の中に入ってきます。血管には神経がないので何も感じないはずですが、わきの下だけは通過したのが分かりました。高精細なモニターに私の心臓、その中に入る管が写って見えます。専門用語が飛び交う中、無事に検査が終わりました。
結構な太さの穴が手首に空きますが、空気圧で圧縮してそこを止血します。医療器具の進化ってすごいなあって思います。
検査の結果、結局あと数回カテーテルの手術をすることになり、その時は計3回受けました。実際の手術の時は一番長かった時は4時間程度かかったので怖さとの戦いでした(妻はその度に病棟で待機となります。感謝でしかありません)。
検査ではなかったのですが、手術の時にびっくりしたのはステントという器具です。メタルの管で血管を広げ、そこに残るのです。
どういう仕組みで管が血管の中に残るのか分かりませんが、ステントを入れる時の感覚的には大きなプレス機で穴をあけるような音が出ます。その音も忘れられません。ドクターが「あっ!」「うーん」とかいわれると、心拍が上がり苦しくなります。
「先生ちょっと苦しくなってきました」っていうと「何とかを何ミリねえ」っていわれ体に薬が入っていきます。そうすると直ぐに楽になり落ち着きます。今の医療って凄いなあとしか思えませんでした。数回の手術を終え、私の心臓は小さく頑丈になったようです。前は心臓の動きも悪く肥大していました。
術後翌日退院ですが、通院で病院内にある施設で心臓の負荷テストや基礎体力をつけるためのリハビリ運動をします。今はそこで受けた運動量等をベースにAppleWatchを見ながら運動をできる限り毎日頑張ってやっています。
ここ数年間心肺機能は平均より高い数値を維持していますし、心臓だけでなく、心の状態、睡眠のデータ、それ以外に血圧計のデータを別の機械で計測しそれを見て自分の体に関して無頓着にならないようにしています。
これも手軽に自分のバイタルデータを計測しiPhoneに蓄積できるからだと思います。体調管理って悪くなってから医者に行くより、日ごろ自分の体調データを見て悪くならないうちに受診する事になるべきかと思います。以前は歩行しているだけで心拍数も高く今はかなり心拍数は落ち着いてきました。
AppleWatchだけでなく、今はデジタルデバイスで自分のバイタルデータを手軽に蓄積することができます。医療技術も進化していて多くの病気が完治する時代となったと実感しています。食事制限、運動も大事ですが、今自分の体がどうなっているのか、そんなことを意識してこれからの長い人生を安心して過ごせる生活って良いことなのだと思います。かたじけない。(崖っぷちのドミノ)
■Profile
崖っぷちのドミノ
1960年3月生まれ。現在64歳で会社員人生はあとわずかの管理職です。部下の多くは女子で娘が大勢いる感じ。中学、高校とブラスバンドでパーカッション担当。その時代の当たり前の流れで同級生とバンド結成し、大学、社会人1年生ぐらいまで活動したドラマー。就職は独立系ソフト会社に入社。その後、気づいたら汎用機の開発技術者を13年間経験、その後、今の会社に入社。
<過去記事>
AppleWatchがなくてはならない存在の理由、大丈夫って胸を張りたい!
https://www.bcnretail.com/market/detail/20240815_446970.html
まあ普通の生活を送っているだろう
正直、2カ月に1回程度、かかりつけのドクターに見てもらって血液検査を受けたり、薬をもらったり程度で、まあ普通の生活を送っている気でいました。薬も飲んでるし、それで安心、体のことなど、あまり気に留めていませんでした。そんな中でも、AppleWatchを使っていたので、意識せず私のバイタルデータはiPhoneに蓄積されていました。喫煙もしませんし、家呑みは全くしません。飲み物も基本お茶だし、まあそこまで健康を悪くする食生活ではないと勝手に思っていました。
確か家族でディズニーランドに行った時だったと記憶しています。胸の所が急に詰まった感じが少しあり、指先でトントンと叩いてみると、ゲップが出てきて「ふうーーー」って楽になります。
妻から「病院で見てもらったら」といわれていましたが、胸が少し違和感ある程度。しかも軽く叩くと楽になるので全く妻のいうことを聞かずに放置していましたが、後で怒られることになります。
それが2019年頃の話でした。当然、人間ドックは毎年受けており特に再検査などの指摘もありませんでした。ところが、21年頃のある寒い冬の朝です。会社に出社しようと最寄駅まで歩いていると胸がちょっとだけ“きゅ”っとなり同じくトントン叩くとゲップが出て楽になります。疲れているし、年齢的にも少し内臓でも弱っているのかなあと思っていました。
しかし、決まって会社の行き帰り最寄り駅からマンションまでの10分程度歩いている時だけ何回か起きるようになり、流石に私もちょっと気になりましたが、それでも病院に行くことはしませんでした。
自分が見ても分からないがドクターなら分かるバイタルデータがある!
よくAppleのメッセージで突然倒れた人が救われた動画などを目にしたことがありますよね。私も胸のことが気になっていたので、心臓のデータって取れているはずだと思い、iPhoneのヘルスケアデータを見ました。まあ、どれを見ても何が分かるわけでもなかったのですが、心肺機能のデータを見ました。すると、平均より低い数値がずっと続いています。
たまたま掛かりつけのドクターに胸の話とiPhoneの心肺機能のグラフデータを見せて相談したら、念のためにそれを循環器のドクターに診てもらうようにといわれ、そのまますぐに同じクリニックの循環器で診てもらうことにしました。
循環器のドクターにもデータを見せました。まずは精密検査をすすめられ、エコーなどの検査を受けました。その結果、びっくり。すぐに心臓の専門病院で見て貰うようにといわれました。iPhoneのデータを見てもかなり前から、私の心臓の血管は問題があったとのことでした。
その時は普段の生活にそこまで影響も出てないので、数カ月先で仕事が落ち着いたら行くとドクターにいったら、そんな状況ではなく、すぐに受けるようにと指導を受けました。しかも、医療連携できるとのことでその場で専門の病院の予約を取ってもらえます。たまたまなのですが、私の家のすぐ近くに榊原記念病院という心臓の専門病院があり、すぐに診療の予約を取ってもらいました。
自分の判断では大したことではないと思い、心臓の専門医療機関まで予約するなんて決してしなかったと思います。でも、AppleWatchが私のバイタルデータを蓄積、それをドクターに見せてアドバイスをもらう。それで、検査や専門の医療機関に紹介してもらえたなんて本当に良かったと思います。
今では掛かりつけのドクターだけでなく何か診療を受けることになったら、とりあえずiPhoneのバイタルデータをドクターに見せて、こんな状況ならどこに問題がありそうか、自分で積極的に聞くことができるようになりました。
専門の病院も今はAppleWatchなどスマートウォッチのデータを活用
榊原記念病院に行き、すぐにさまざまな検査を受けました。その結果、ドクターから「在宅勤務できますか? 可能な限り外に出るのはやめた方がいいです。できたら早めの検査入院して欲しいのでご家族と相談してください」といわれてしまい、かなりショックでした。血液検査だけで分かるほど、私の心臓は良くない状況だったのです。ざっくりお話しすると心臓を動かしている心臓の動脈で3本大事な血管があるそうです。その3本ともに狭窄(血管が細くなって一部詰まっている可能性が高い)の症状で毛細血管が頑張って心臓の動きを補助しているとのことでした。
ドクターからは淡々と私の心臓の治療は2択で、バイパス手術(胸の骨を数本折って太い血管を足から取ってバイパスする)もしくはカテーテルで血管を広げてステントを入れるか、といわれた時は絶句でした。しかも、そんなに悪くなるまで症状がないのもびっくり。
「無症状ってよくあるんですよ!高齢の方に多いので……」とドクターからもいわれ、年齢を重ねると体のいろんな所が弱くなってくるのかと痛感、病院からどちらの治療となるのかの連絡を待つだけとなりました。
今回、治療をお願いした病院は「遠隔心リハシステムの早期普及を目指した当院医師の研究が AMEDの『医療機器開発推進研究事業』」に採択され、AppleWatchのデバイスデータを心臓の治療後遠隔管理などに取り組んでいる病院でした。
AppleWatch診療などのキーワードで検索すると積極的に活用されている病院等が出てくるので是非、バイタルデータを見て気になったら検索してみるといいと思います。
いよいよ入院検査と治療
ドクターから、今回はカテーテルでの検査入院で多分その結果で変わるけど多分血管治療となることで入院となりました。妻からは「だから早く病院に行けば良かったのに」「不摂生だったからそうなった」など、いろいろと攻められ返す言葉もなかったので黙ってお叱りを受けました。次の朝徒歩で検査入院に向かいました。検査でも2泊3日の入院となります。治療も同じ程度と、思ったよりも少ない日数で終わるんだとちょっとだけ気が楽になったことを今でも覚えています。
まずは1日中、生理食塩水を体の中に入れられ、次の日がいよいよ体の中にカテーテルが入ります。検査とはいえ、カテーテルなので手術と同じです。検査時間は30分程度とのことでしたが、事前の説明で局所麻酔と分かっていてもドキドキします。
手術室まで車いすで連れて行ってもらい、手術室のドアが開き手術室に入りました。そこは、まるで近未来の宇宙船で冷凍保存するような空間で、その広い空間には手術台がいくつもあって同時に何人もの患者さんを手術していました。
メーカーはいえませんが、各カテーテルの手術で使う機械に大きなロゴが貼ってあって一生忘れられません。手術台の上に乗りチクって針が腕に刺さったら、あっという間に管が血管の中に入ってきます。血管には神経がないので何も感じないはずですが、わきの下だけは通過したのが分かりました。高精細なモニターに私の心臓、その中に入る管が写って見えます。専門用語が飛び交う中、無事に検査が終わりました。
結構な太さの穴が手首に空きますが、空気圧で圧縮してそこを止血します。医療器具の進化ってすごいなあって思います。
検査の結果、結局あと数回カテーテルの手術をすることになり、その時は計3回受けました。実際の手術の時は一番長かった時は4時間程度かかったので怖さとの戦いでした(妻はその度に病棟で待機となります。感謝でしかありません)。
検査ではなかったのですが、手術の時にびっくりしたのはステントという器具です。メタルの管で血管を広げ、そこに残るのです。
どういう仕組みで管が血管の中に残るのか分かりませんが、ステントを入れる時の感覚的には大きなプレス機で穴をあけるような音が出ます。その音も忘れられません。ドクターが「あっ!」「うーん」とかいわれると、心拍が上がり苦しくなります。
「先生ちょっと苦しくなってきました」っていうと「何とかを何ミリねえ」っていわれ体に薬が入っていきます。そうすると直ぐに楽になり落ち着きます。今の医療って凄いなあとしか思えませんでした。数回の手術を終え、私の心臓は小さく頑丈になったようです。前は心臓の動きも悪く肥大していました。
術後翌日退院ですが、通院で病院内にある施設で心臓の負荷テストや基礎体力をつけるためのリハビリ運動をします。今はそこで受けた運動量等をベースにAppleWatchを見ながら運動をできる限り毎日頑張ってやっています。
ここ数年間心肺機能は平均より高い数値を維持していますし、心臓だけでなく、心の状態、睡眠のデータ、それ以外に血圧計のデータを別の機械で計測しそれを見て自分の体に関して無頓着にならないようにしています。
これも手軽に自分のバイタルデータを計測しiPhoneに蓄積できるからだと思います。体調管理って悪くなってから医者に行くより、日ごろ自分の体調データを見て悪くならないうちに受診する事になるべきかと思います。以前は歩行しているだけで心拍数も高く今はかなり心拍数は落ち着いてきました。
AppleWatchだけでなく、今はデジタルデバイスで自分のバイタルデータを手軽に蓄積することができます。医療技術も進化していて多くの病気が完治する時代となったと実感しています。食事制限、運動も大事ですが、今自分の体がどうなっているのか、そんなことを意識してこれからの長い人生を安心して過ごせる生活って良いことなのだと思います。かたじけない。(崖っぷちのドミノ)
■Profile
崖っぷちのドミノ
1960年3月生まれ。現在64歳で会社員人生はあとわずかの管理職です。部下の多くは女子で娘が大勢いる感じ。中学、高校とブラスバンドでパーカッション担当。その時代の当たり前の流れで同級生とバンド結成し、大学、社会人1年生ぐらいまで活動したドラマー。就職は独立系ソフト会社に入社。その後、気づいたら汎用機の開発技術者を13年間経験、その後、今の会社に入社。