アイワマーケティングジャパンの藤岡社長に聞く、「aiwaブランド」のホップ・ステップ・ジャンプ戦略
aiwaブランドのタブレット端末などで知られるアイワマーケティングジャパンは、製品全般でのaiwaブランド使用権を2024年1月に取得。オーディオ・ビジュアル(AV)などの多様な製品を市場に投入していく。藤岡淳一代表取締役社長によれば、同社の強みは「デジタル」と「市場ニーズへの柔軟かつ迅速な対応」の2点。まずはラジカセやオープン型イヤースピーカーなど特色ある製品を投入するという。藤岡社長に製品戦略とビジネス戦略を聞いた。
取材/細田 立圭志 文/山口 学
藤岡淳一代表取締役社長(以下、敬称略) Androidタブレット端末は特に好調で、23年9月のBCNランキングでは販売台数で3位を獲得しました。自社調べにはなりますが、24年5月の大型連休期間にも家電量販店で良い販売成績をあげました。タブレット市場はBtoB、BtoCとも飽和していると言われますが、まだまだ成長の余地はあります。
――好調の要因は何だとお考えですか。
藤岡 一つには、ブランドの力があると思います。タブレット業界には中国系ベンダーが多いですが、日本の市場ではaiwaという“ザ・日本”のブランドがよく効いているようです。また、タブレット端末から撤退する国内ベンダーもあり、それがaiwaにとっての追い風になっている面もあります。
――そうした中、24年1月にデジタル製品以外についてもaiwaブランドの使用権を獲得されたと聞きました。
藤岡 オーディオ・ビジュアル(AV)製品でもアイワ株式会社のライセンスを得て、24年1月1日からその部分を当社で狙うことになりました。今年からは、デジタル製品だけでなく、AV製品についてもaiwaブランドのものを積極的に市場に投入していくつもりです。
藤岡 ポケットラジオのように市場がすでに確立している製品については、同類の製品を途切れることなく投入していくつもりです。また、ホームセンターの防災グッズやキャンプグッズのコーナーでも展開して、消費者の“ついで買い”を促すような工夫をしていきたいと思います。
一方、ラジカセについては、若い方々の間でカセットテープに対する人気が高まっているので「外見はレトロだけど中身は新設計」のモデルを投入します。
レトロさを醸し出すために曲に合わせて針が振れる本物のVUメーターを左右に配し、ラジオの選局はダイヤルを手で回す方式にしました。一方で、スマホとBluetoothで連携できるなど、最新のデジタル技術や使いやすさもきちんと取り入れています。
また、オープン型イヤースピーカー「Butterfly NEO」も近くリリースします。34mm径のドライバーを使いながらもサイズはそれほど大きくなく、耳から離してもビットレートの高さを感じていただけるようにDRD(Double Resonance Driver)技術を採用したので、高音質のコンテンツを長時間楽しんでいただけることでしょう。
一人暮らしやワンルームなどで、シアタールームをつくりたくてもスペースや防音の問題からつくれない方に、同じぐらい迫力のあるサウンドを楽しんでいただける製品として刺さると考えています。
――デジタル製品ではどんな新製品が登場しますか。
藤岡 24年は、暑熱リスクアラートを表示できるスマートバンドにチャレンジするつもりです。実は、当社はこの分野で特許を持っている企業からライセンスを得て、建設業界向けのものを受託開発した実績があります。
そのライセンスを生かした製品をコンシューマ向けに展開することで、レッドオーシャンのスマートウォッチ市場でもきちんと存在感を示せる、と判断しました。
さらにこれから伸ばしたい製品としては、デジカメもあります。さすがに普通のコンパクトデジカメでは市場に注目してもらえないので、動画撮影向けの装備を組み込むなどの“ひとひねり”はするつもりです。スマホではなく、単体のカメラで撮りたいという人も増えているので、十分に見込みはあります。
藤岡 今年からAV製品も扱えるようにはなりましたが、当社の強みはやはりIoTでありデジタルです。その強みと、流通やお客様の声に柔軟かつ迅速に対応できるフィジカル(モノづくり)の強みも持っています。これをワンストップで提供できる企業はそう多くはありませんので、そこに存在意義があるのだと自負しています。
ただ、デジタルは日進月歩の世界ですから、すぐに追い付かれてしまいコモディティー化してしまいます。同じ技術で10年も食べられるわけではありません。ですから、デジタルの分野には惜しみなく投資を行い、大胆にチャレンジしていくつもりです。
一方、AV製品の市場は先輩企業がたくさんおられるレッドオーシャンです。そこでは、当社の強みであるデジタルを生かしつつ、当面は家電量販店やホームセンターから求められているポジションをしっかりと拾っていきたいと考えています。
――市場との対話も重要ですね。
藤岡 その点については、タブレットなどのデジタル製品をaiwaブランドで出したときから心がけてきました。家電量販店やホームセンターのバイヤーや売り場の方々から「このようなスペックをこの程度の価格で」という要望があれば、たとえ小ロットであっても3カ月ほどで納品するような俊敏さがあります。
このような柔軟性とスピード力を持っていることがアイワマーケティングジャパンならではの価値だ、と確信しています。ぜひ、24年からのaiwaブランドにご期待ください。
■Profile
藤岡淳一(ふじおか じゅんいち)
1976年10月14日生。JENESIS 代表取締役社長CEO、アイワマーケティングジャパン 代表取締役社長、創世訊聯科技(深セン)有限公司 董事總經理、創紀精工(東莞)有限公司 董事總經理。大手電機メーカーにて半導体設計、量産設計エンジニア、その後ファブレスIT機器ベンチャー企業を経て、2011年中国深センでJENESISを創業、翌年に日本法人(現:JENESIS)を創業。現在は同深セン工場にてIoT機器の開発製造受託を主に手掛ける。WIRED Audi INNOVATION AWARD 2019受賞。著書に「ハードウェアのシリコンバレー深センに学ぶ」など。
取材/細田 立圭志 文/山口 学
好調なタブレットに続き、AV製品でもaiwaブランドを全面展開
――アイワマーケティングジャパンは2022年9月からスマートフォン(スマホ)やタブレット端末をaiwaブランドで販売されています。その後、ビジネスの状況はいかがですか。藤岡淳一代表取締役社長(以下、敬称略) Androidタブレット端末は特に好調で、23年9月のBCNランキングでは販売台数で3位を獲得しました。自社調べにはなりますが、24年5月の大型連休期間にも家電量販店で良い販売成績をあげました。タブレット市場はBtoB、BtoCとも飽和していると言われますが、まだまだ成長の余地はあります。
――好調の要因は何だとお考えですか。
藤岡 一つには、ブランドの力があると思います。タブレット業界には中国系ベンダーが多いですが、日本の市場ではaiwaという“ザ・日本”のブランドがよく効いているようです。また、タブレット端末から撤退する国内ベンダーもあり、それがaiwaにとっての追い風になっている面もあります。
――そうした中、24年1月にデジタル製品以外についてもaiwaブランドの使用権を獲得されたと聞きました。
藤岡 オーディオ・ビジュアル(AV)製品でもアイワ株式会社のライセンスを得て、24年1月1日からその部分を当社で狙うことになりました。今年からは、デジタル製品だけでなく、AV製品についてもaiwaブランドのものを積極的に市場に投入していくつもりです。
“レトロなアナログと最新デジタル技術の融合”を実現したラジカセなど、特色ある製品で勝負
――具体的には、どのようなAV製品を出していくのですか。藤岡 ポケットラジオのように市場がすでに確立している製品については、同類の製品を途切れることなく投入していくつもりです。また、ホームセンターの防災グッズやキャンプグッズのコーナーでも展開して、消費者の“ついで買い”を促すような工夫をしていきたいと思います。
一方、ラジカセについては、若い方々の間でカセットテープに対する人気が高まっているので「外見はレトロだけど中身は新設計」のモデルを投入します。
レトロさを醸し出すために曲に合わせて針が振れる本物のVUメーターを左右に配し、ラジオの選局はダイヤルを手で回す方式にしました。一方で、スマホとBluetoothで連携できるなど、最新のデジタル技術や使いやすさもきちんと取り入れています。
また、オープン型イヤースピーカー「Butterfly NEO」も近くリリースします。34mm径のドライバーを使いながらもサイズはそれほど大きくなく、耳から離してもビットレートの高さを感じていただけるようにDRD(Double Resonance Driver)技術を採用したので、高音質のコンテンツを長時間楽しんでいただけることでしょう。
一人暮らしやワンルームなどで、シアタールームをつくりたくてもスペースや防音の問題からつくれない方に、同じぐらい迫力のあるサウンドを楽しんでいただける製品として刺さると考えています。
――デジタル製品ではどんな新製品が登場しますか。
藤岡 24年は、暑熱リスクアラートを表示できるスマートバンドにチャレンジするつもりです。実は、当社はこの分野で特許を持っている企業からライセンスを得て、建設業界向けのものを受託開発した実績があります。
そのライセンスを生かした製品をコンシューマ向けに展開することで、レッドオーシャンのスマートウォッチ市場でもきちんと存在感を示せる、と判断しました。
さらにこれから伸ばしたい製品としては、デジカメもあります。さすがに普通のコンパクトデジカメでは市場に注目してもらえないので、動画撮影向けの装備を組み込むなどの“ひとひねり”はするつもりです。スマホではなく、単体のカメラで撮りたいという人も増えているので、十分に見込みはあります。
強みのIoT機器開発実績を生かしつつ、市場ニーズに柔軟かつ迅速に対応
――aiwaブランドのビジネスも、もうすぐ2年を迎えます。これからどのように展開されますか。藤岡 今年からAV製品も扱えるようにはなりましたが、当社の強みはやはりIoTでありデジタルです。その強みと、流通やお客様の声に柔軟かつ迅速に対応できるフィジカル(モノづくり)の強みも持っています。これをワンストップで提供できる企業はそう多くはありませんので、そこに存在意義があるのだと自負しています。
ただ、デジタルは日進月歩の世界ですから、すぐに追い付かれてしまいコモディティー化してしまいます。同じ技術で10年も食べられるわけではありません。ですから、デジタルの分野には惜しみなく投資を行い、大胆にチャレンジしていくつもりです。
一方、AV製品の市場は先輩企業がたくさんおられるレッドオーシャンです。そこでは、当社の強みであるデジタルを生かしつつ、当面は家電量販店やホームセンターから求められているポジションをしっかりと拾っていきたいと考えています。
――市場との対話も重要ですね。
藤岡 その点については、タブレットなどのデジタル製品をaiwaブランドで出したときから心がけてきました。家電量販店やホームセンターのバイヤーや売り場の方々から「このようなスペックをこの程度の価格で」という要望があれば、たとえ小ロットであっても3カ月ほどで納品するような俊敏さがあります。
このような柔軟性とスピード力を持っていることがアイワマーケティングジャパンならではの価値だ、と確信しています。ぜひ、24年からのaiwaブランドにご期待ください。
■Profile
藤岡淳一(ふじおか じゅんいち)
1976年10月14日生。JENESIS 代表取締役社長CEO、アイワマーケティングジャパン 代表取締役社長、創世訊聯科技(深セン)有限公司 董事總經理、創紀精工(東莞)有限公司 董事總經理。大手電機メーカーにて半導体設計、量産設計エンジニア、その後ファブレスIT機器ベンチャー企業を経て、2011年中国深センでJENESISを創業、翌年に日本法人(現:JENESIS)を創業。現在は同深セン工場にてIoT機器の開発製造受託を主に手掛ける。WIRED Audi INNOVATION AWARD 2019受賞。著書に「ハードウェアのシリコンバレー深センに学ぶ」など。