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「タイプ分け」でコミュニケーションタイプを知る(前編)、あの人とのコミュニケーションが上手くいかないのはなぜ?

暮らし

2024/07/08 18:05

 【人との関係性を変えるコミュニケーションとは?・3】一緒に仕事をする相手によって、やりやすいと感じる場合もあれば、やりづらいと感じることもあります。例えば、こんなことを思ったことはありませんか。「この人と話しているとイライラするな」「なんで、いつも話しが長いんだろう」「こんなきつい物言いをしなくてもいいのに」など。こんな時、どんなことを思うでしょうか。自分のせいだと感じたり、相手のせいだと思ったり、あるいは相性の問題だと考えたりしないでしょうか。

無意識のうちに自分を基準に

 これはもしかしたら、無意識のうちに自分を基準にしたコミュニケーションをとっていることが、背景にあるかもしれません。髪の色や目の色などが人によって違うように、コミュニケーションもとり方も、人それぞれに違います。ですから、全員に同じようなコミュニケーションを取ると、時に、緊張、抵抗、対立、不満、齟齬、ストレスといった問題が生じてしまうのです。

 今の世界は、価値観の多様化、グローバル化が急速に進んでいます。そのため、今まで以上に、相手によって「テーラーメイド」なコミュニケーション、マネジメント、リーダーシップが求められるようになってきています。逆にいうと、相手によって関わり方を変えることで、効果的なコミュニケーションが取れるように、また、相手との関わり方の可能性が広がるようになるのです。
 

四つに分かれる人のコミュニケーションタイプ

 とはいえ、漠然と相手によって「テーラーメイドなコミュニケーションをしよう!」と思ったところで、実際には何から始めればいいか分かりません。そこで、心強いツールの一つとなるのが、コーチ・エィが独自に開発した「タイプ分け」(著作権はコーチ・エィに帰属)という考え方です。

 タイプ分けは、「人をもっとも特徴づけるのは、他者とのコミュニケーションである」という前提に立ち、臨床心理学、組織行動学などをベースにつくられたコミュニケーションの分類方法です。「感情表出」と「自己主張」という二つの軸で、コミュニケーションのタイプを四つに分けて考えます。二つの軸は、企業に勤める2万人(20歳以上)を対象に、対人関係やリーダーシップに関する調査を実施し、その結果から導き出されました。相手のタイプを知ることは、スムーズなコミュニケーションをとるための指針となります。それぞれのタイプの特徴を紹介します。
 

コントローラー:行動的で自分が思ったとおりに物事を進めることを好む

 「コントローラー」が最も重要視するのは、自分が物事を「判断」できる環境にあるかどうかです。「判断」する自由やそのための材料を奪われてしまうと、コントローラーはとても大きな負荷を覚えます。
 

プロモーター:アイディアを大切にし、人と活気あることをするのを好む

 「プロモーター」は人から注目されることが好きなタイプで、人に「影響」を与えることを大切にしています。場を仕切る役を任されるなど、周りから関心の目が向けられている状態を好みます。また、話好きで、「最近、どう?」と聞いただけで、いろいろと話し始めます。話の展開が非常に早く、一つのことを話していたかと思うと、次の話題に移っているということも多々あります。話の中で、「バシッといこう!」「グッとくるような」といった擬態語、擬音語の表現や、身振り手振りが多いのも特徴です。
 

サポーター:他人を援助することを好み、協力関係を好む

 「サポーター」は、人を援助することを好み、協力関係を大事にします。また、人の立場に立ってものを見るのが得意で、気配り上手です。円滑な人間関係の中で、「合意」を取りながら物事を進めていくことを望んでいます。「ギスギスした人間関係」は最も避けたいものの一つで、とにかく「和」を構築するように行動します。
 

アナライザー:行動に際して多くの情報を集め、分析、計画を好む

 「アナライザー」は、行動の前に多くの情報を集め、分析し、計画するタイプです。「まぁ、いいか。ちょっとやってみよう」といって新しいことを始めたりはしません。常に慎重に構えて、完全を目指します。「正確でありたい」、それがアナライザーの根本的な欲求です。
 
四つのタイプ
 

自分のタイプは?あなたの周囲の人のタイプは?

 下記の一覧を参考に、自分や周囲の人がどのタイプか考えてみましょう。当てはまる項目が多いものが、その人のタイプです。
 
あなたはどのタイプ?
 

「テーラーメイド」なコミュニケーションをする際の大きな参考に

 いかがでしたか。タイプ分けはあくまで、「テーラーメイド」なコミュニケーションを始めるための一歩であり、一つのツールにすぎません。また、例えば「コントローラーな人」がいるわけではなく、あくまで「その特徴が強い人」にすぎず、当然ながら時と場合によってその人の振る舞いの仕方は変化します。それでも、自分では当たり前と思っていたことが、自分特有の考え方やアプローチだと気づいたり、周囲の人のコミュニケーションタイプを知ったりすることは、「テーラーメイド」なコミュニケーションをする際の大きな参考になることでしょう。(コーチ・エィ・片桐多佳子)

■Profile
片桐多佳子
コーチ・エィ 執行役員
東北大学経済学部卒。コーチ・エィでは経営層を対象としたエグゼクティブ・コーチングを行い、200人以上のビジネスリーダーへのコーチング実績を持つ。「組織インパクトを出す」コーチングにこだわり、組織風土変革、業績向上、部門間連携強化などのニーズに対する、エグゼクティブ・コーチングやコーチングプロジェクトの設計、マネジメントを多数手がける。組織変革のプロセスを企画から成果創出までトータルに支援している。2016年より執行役員。国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ、生涯学習開発財団認定マスターコーチ。