デマント・ジャパンは、新型の補聴器「Oticon Intent(オーティコンインテント)」の販売を6月6日に開始した。発売に先立って、記者会見発表会を6月4日に開催した。Oticon Intentの特徴は、装着者の意図を感知する“じぶんセンサー(4Dセンサー)”を上位モデルに搭載していること。雑音抑制などの信号処理には第2世代のDNN(高度AI)2.0が全モデルで使われている。
デマント・デンマーク本社のソーレン・コールディング・バイスプレジデント(インターナショナルセールス部門)も、「テクノロジーとしても聴覚ケア機器としても非常にレベルが高いので、日本の難聴者の方々のお役に立つものとなると思う」と述べた。
続けて、慶應義塾大学病院・聴覚センター・センター長の大石直樹先生が「難聴対策の重要性――疲労、認知機能低下を防ごう――」と題して講演。大石先生は、国立長寿医療研究センターによる調査結果を引用するかたちで「日本の65歳以上の難聴有病者は約1500万人にのぼる」と紹介し、「認知症の予防・介入とケアに効くもっとも重要な要因は難聴対策だ」と指摘した。
それゆえに厚生労働省も2017年7月改訂の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)で難聴を認知症の危険因子の一つとして位置付けているが、「補聴器をうまく使えば、リスニングエフォート(聞き取り努力)が軽減されて、生活が楽しくなる」(大石先生)結果、精神活動が活発になって認知症になることを防げるのだという。
Oticon Intentが歴代のオーティコンブランドの補聴器と大きく違うのは、上位モデルに4Dセンサーテクノロジー(じぶんセンサー)を搭載している点にある。「この4Dとは、頭の動き、身体の動き、会話活動、音響環境と四つの側面で補聴器が使用者の意図をくみ取ることを意味している」と渋谷部長。
Oticon Intentに組み込まれたモーションセンサー(3軸加速度計)が装用者の「うなずき」「頭の回転」「身体の上下運動」「前後左右の加速度」などを検知し、その人が歩いている(一定範囲の加速度が継続)、立ち止まって会話に集中している(加速度ゼロが継続)、複数の人と話している(頭がひんぱんに左右に回転)といった状況や装用者の意図を判別していると解説した。
実際、この4DセンサーテクノロジーはOticon Intentを動作させるための基盤チップ「SIRIUS」に内蔵されたMEMS(微小電子機械システム)デバイスによって実現されている。そのSIRIUSに搭載されているもう一つのOticon Intentならではの新機能が、全モデルで作動する信号処理機能「DNN(高度AI)2.0」だ。
DNN 2.0は従来のオーティコンブランド補聴器に備わっていたDNN 1.0の進化版となるもので、原音の維持、雑音抑制、明瞭性向上などの信号処理能力をさらに高めたことがポイント。
記者会見にオンラインで参加したオーティコン補聴器・デンマーク本社のトーマス・ベーレンス・バイスプレジデント(オーディオロジー研究部門)は、「DNNは、高精度で明瞭な音を作るための機能だ」とした上で、「DNN 1.0では24の周波数チャンネルでAI処理をしていたが、DNN 2.0では256チャンネルを使って入力音声を精密に評価し、その装用者に最適な音を作り出している」と仕組みを解き明かした。
また、記者会見ではDNN 1.0とDNN 2.0の比較テストの結果を示すスペクトログラム(音の周波数、強さ、時間を示すグラフ)も公開された。それを見ると、DNN 1.0で取りこぼされていた音もDNN 2.0ではきちんと拾えていることが明白。
DNN 2.0の具体的な効果を、ベーレンス・バイスプレジデントは「従来モデルに比べて、DNN 2.0を使うと音声明瞭度指数は12%アップ。4Dセンサーテクノロジーを併用すると、改善度は35%に高まる」と説明した。会場で配布された広報資料によれば、じぶんセンサーによる音声理解の向上度は15%。前世代(Oticon Real)との対比では、音質で最大10%、ニュアンスで最大13%、聞き心地で最大10%の向上が確認されているという。
「耳は音を集めるが、音の意を理解するのは脳の働き」というのが、デマント・ジャパンが提唱するブレインヒアリングのポイントだ。モーションセンサーで装用者の意図を読み取るOticon Intentの登場によって、この概念の具現化はいっそう進むことになりそうだ。
難聴対策が認知症予防の重要因子 補聴器の活用で生活が楽しくなる
6月4日に開催された記者会見では、同社が掲げるブレインヒアリング(脳を第1に考える聴覚ケア)にさらに近付くための最新の補聴器として紹介された。開会挨拶で齋藤徹社長は、「本日発表させていただくOticon Intentには、その人が行いたいことを感知する“じぶんセンサー”を世界で初めて搭載した」とアピールした。デマント・デンマーク本社のソーレン・コールディング・バイスプレジデント(インターナショナルセールス部門)も、「テクノロジーとしても聴覚ケア機器としても非常にレベルが高いので、日本の難聴者の方々のお役に立つものとなると思う」と述べた。
続けて、慶應義塾大学病院・聴覚センター・センター長の大石直樹先生が「難聴対策の重要性――疲労、認知機能低下を防ごう――」と題して講演。大石先生は、国立長寿医療研究センターによる調査結果を引用するかたちで「日本の65歳以上の難聴有病者は約1500万人にのぼる」と紹介し、「認知症の予防・介入とケアに効くもっとも重要な要因は難聴対策だ」と指摘した。
それゆえに厚生労働省も2017年7月改訂の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)で難聴を認知症の危険因子の一つとして位置付けているが、「補聴器をうまく使えば、リスニングエフォート(聞き取り努力)が軽減されて、生活が楽しくなる」(大石先生)結果、精神活動が活発になって認知症になることを防げるのだという。
4DセンサーとDNN 2.0を駆使、Oticon Intentは人の意図を読む
続いて登壇した渋谷桂子・プロダクトマネジメント部長は、まず、「このような背景から生まれたのが、じぶんセンサーを採用することによって、難聴の人々が新しいことに挑みたくなるような支援を提供するOticon Intentだ」と説明。その上で、Oticon Intentの強みを明らかにしていった。Oticon Intentが歴代のオーティコンブランドの補聴器と大きく違うのは、上位モデルに4Dセンサーテクノロジー(じぶんセンサー)を搭載している点にある。「この4Dとは、頭の動き、身体の動き、会話活動、音響環境と四つの側面で補聴器が使用者の意図をくみ取ることを意味している」と渋谷部長。
Oticon Intentに組み込まれたモーションセンサー(3軸加速度計)が装用者の「うなずき」「頭の回転」「身体の上下運動」「前後左右の加速度」などを検知し、その人が歩いている(一定範囲の加速度が継続)、立ち止まって会話に集中している(加速度ゼロが継続)、複数の人と話している(頭がひんぱんに左右に回転)といった状況や装用者の意図を判別していると解説した。
実際、この4DセンサーテクノロジーはOticon Intentを動作させるための基盤チップ「SIRIUS」に内蔵されたMEMS(微小電子機械システム)デバイスによって実現されている。そのSIRIUSに搭載されているもう一つのOticon Intentならではの新機能が、全モデルで作動する信号処理機能「DNN(高度AI)2.0」だ。
DNN 2.0は従来のオーティコンブランド補聴器に備わっていたDNN 1.0の進化版となるもので、原音の維持、雑音抑制、明瞭性向上などの信号処理能力をさらに高めたことがポイント。
記者会見にオンラインで参加したオーティコン補聴器・デンマーク本社のトーマス・ベーレンス・バイスプレジデント(オーディオロジー研究部門)は、「DNNは、高精度で明瞭な音を作るための機能だ」とした上で、「DNN 1.0では24の周波数チャンネルでAI処理をしていたが、DNN 2.0では256チャンネルを使って入力音声を精密に評価し、その装用者に最適な音を作り出している」と仕組みを解き明かした。
また、記者会見ではDNN 1.0とDNN 2.0の比較テストの結果を示すスペクトログラム(音の周波数、強さ、時間を示すグラフ)も公開された。それを見ると、DNN 1.0で取りこぼされていた音もDNN 2.0ではきちんと拾えていることが明白。
DNN 2.0の具体的な効果を、ベーレンス・バイスプレジデントは「従来モデルに比べて、DNN 2.0を使うと音声明瞭度指数は12%アップ。4Dセンサーテクノロジーを併用すると、改善度は35%に高まる」と説明した。会場で配布された広報資料によれば、じぶんセンサーによる音声理解の向上度は15%。前世代(Oticon Real)との対比では、音質で最大10%、ニュアンスで最大13%、聞き心地で最大10%の向上が確認されているという。
「耳は音を集めるが、音の意を理解するのは脳の働き」というのが、デマント・ジャパンが提唱するブレインヒアリングのポイントだ。モーションセンサーで装用者の意図を読み取るOticon Intentの登場によって、この概念の具現化はいっそう進むことになりそうだ。