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コロナ禍で「ネット売上比率」が初の4割突破! 「マスク解除」でリアル店舗に客足戻るか

経営戦略

2023/02/15 15:00

 政府は3月13日から新型コロナウイルス感染症対策で推奨してきたマスクの着用について、屋内外を問わず個人の判断に委ねる方針を決定した。実質的なマスク着用の解除で気になるのが、コロナ禍で変容した消費者のネットでの購買行動がリアルにどれだけ戻るかだ。全国の主要家電量販店・ネットショップからデジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベース「BCNランキング」によると、コロナ禍でネット通販の売上比率が4割を突破したことが明らかになった。

デジタル家電市場 リアル店舗とネット通販の売上比率の推移

2020年2Q(4~6月)にネット比率が3割突破

 グラフは主要家電量販店やネットショップから「BCNランキング」で集計しているPCやテレビ、ヘッドセット、PC周辺機器、ソフトなど31カテゴリ、146アイテムに及ぶデジタル家電の販売金額を、ネット通販とリアル店舗に分けた比率の推移を示したもの。

 データによると、新型コロナ前の2019年1Q(1~3月)はリアル店舗が72.3%だったのに対し、ネット通販は27.7%。その後もネット比率はじわじわと高まっていたものの3割に達していなかった。状況が一変したのは20年2Q(4~6月)だ。

 新型コロナの感染が国内でも確認され、行動制限を伴う初の緊急事態宣言が発令されたこともありネット比率が急増。わずか3カ月間で29.3%から35.6%へと、一気に6.3ポイントも跳ね上がった。リアル店舗で休業や時短営業を強いられた影響もあるだろう。テレワークやリモート授業用のデジタル機器を急遽揃える必要に迫られた消費者の購買行動は、ネット通販に集中した。

ネット比率は22年3Q(7~9月)まで伸び続けた

 ただ、驚くのは直近まで一貫してネット比率が伸び続けたこと。22年3Q(7~9月)は40.8%を記録し、初めて4割を突破したのだ。

 なお、販売台数ベースでみても金額ベースと同じ動きがみられる。4割突破とはいかないものの22年3Q(7~9月)にリアル店舗の61.4%に対し、ネット通販は38.6%でピークに達した。
 
デジタル家電市場 リアル店舗とネット通販の販売台数比率の推移

 さて、冒頭でも触れたが3月13日のマスク解除後はどうなるのだろうか。BCNランキングのデータでは、昨年末の22年4Q(10~12月)はリアル店舗の売り上げや販売台数が少し巻き返し、ネット通販の比率が下がっているのが確認できる。

 22年10月からウィズコロナへの経済シフトで全国旅行支援やイベント割を開始したり、インバウンドの入国者数の上限撤廃や個人旅行の解禁などを実施。日本百貨店協会による22年12月のデータでは、行動制限のない年末商戦が活況で、売上高は前年同月比4.0%増となり10カ月連続のプラス。2019年比でも0.8%減で、ほぼコロナ前の水準に戻っているという。

 同じように家電量販店のリアル店舗にも客足が戻る可能性は高い。ただ、ノートPCのような高額商品や大画面テレビでもネットで購入できることを知ってしまった消費者の購買行動が、元に戻ることはないだろう。少なくともコロナ前のようにリアル店舗7割強、ネット3割弱という水準には戻らないと読む。マスク解除後の3月以降の動きもBCNランキングで定点観測していこう。(BCN・細田 立圭志)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
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