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「電気代高騰」で切りたいけど、切ったらダメ? 健康と家を守る「24時間換気システム」

 【家電コンサルのお得な話・112】 月に一回、妻が近所の同年代の奥様二人と一緒に女子会を開催している。子供が自立し、旦那様が単身赴任のため、一人暮らしをしている奥様のお宅に招かれるのがいつものパターン。そこで「電気代高騰の中、24時間換気システムのスイッチを切るか、切らないか?」が話題になり、家電販売の経験がある筆者に意見を求められた。

2003年7月1日に施行された改正建築基準法で設置が義務化に

24時間フル稼働で気になる電気代を試算

 24時間換気システムのスイッチオン/オフ問題の結論として、「スイッチは切らない方がいい」というのが筆者の意見である。

 古い話だが、24時間換気システムは2003年7月1日に施行された改正建築基準法により、シックハウス対策のため導入された規制のひとつで、設置が義務化された。「シックハウス症候群」の症状としては、目のチカチカや喉の痛み、めまいや吐き気、頭痛などが挙げられる。原因としては、新築やリフォームした住宅の建材や家具などから発散するホルムアルデヒドやVOC(トルエン、キシレンその他)などの揮発性の有機化合物が考えらえている。

 「化学物質の濃度の高い空間に長期間暮らしていると健康に有害なさまざまな影響が出るおそれがあること」、加えて「湿気によるカビやシロアリの発生被害」を考えれば、24時間換気システムはフル稼働させた方がいいだろう。

 そこで気になるのが電気代だが、機種によって消費電力が違うため、自宅に設置されている機種の取扱説明書等を見て消費電力を確認する必要がある。
 
24時間換気システムの電気料金のシミュレーション(筆者作成)

 図は一例として、消費電力100Wの機種で、東京電力エナジーパートナー(東電EP)の従量電灯Bの単価(2023年1月28日現在)で試算したものである。恐らく、第2段階料金の単価26.48円のご家庭が多いと思うが、この場合、約1907円(月)の電気料金となる。

 東電EPの場合、2023年6月1日から電気料金が値上げされるが、それでも1日85円程度(前述例の場合での予想料金で、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」は含めず)で健康や安心を買えると思えば安いのではないだろうか?

 筆者個人としては、「健康や生命に影響を及ぼす、無理した省エネは避けるべき」と考えている。ましてや在宅時間が長くなっている現在のライフスタイルで、「真夏の冷房」や「真冬の暖房」と同じように24時間換気システムによる室内の空気の入れ替えは、必要不可欠なものと言えるだろう。

 省エネに関しては「空調機器や給湯の設定温度」や「時間を空けずに続いての入浴」、「古い家電製品の買い替え」など、人や住宅に負担を掛けないものを中心にコツコツと取り組むことが大切だと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)


■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
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