2021年はインテルのCPU製品がコンシューマー向け、サーバー向けともに堅調に伸びた。その勢いは2022年の同社の成長にも引き継がれようとしている。鍵を握るのは、主軸を担う第11世代と第12世代の最新インテル(R) Core(TM)プロセッサー・ファミリーだ。今回は最新CPU製品の特徴について、インテル株式会社 執行役員 パートナー事業本部 本部長の高橋大造氏に聞いた。
最初に2021年のCPU市場の手応えから高橋氏に振り返っていただいた。長くコロナ禍が続くなか、ユーザーがインテルのCPUに寄せる期待も様変わりしているのだろうか。
「販売店様を通じて届くユーザーの声から、普段は仕事を中心にパソコンを使っていた方々が、自宅で過ごすプライベートな時間にパソコンで動画を作成したり、ゲームを楽しむ時間にあてたりして過ごす姿が見えてきました。クリエイティブな用途にも需要が拡大して、いまパソコンの使われ方がこれまでにないほど多様化していることを実感しています。リモートワークにもノートパソコンの活躍する場が広がり、高機能なパソコンの重要性も増しています」(高橋氏)。
インテルは2021年の春に第11世代(開発コードネーム「Rocket Lake-S」)、秋に第12世代のインテル(R) Core(TM)プロセッサー・ファミリー(開発コードネーム「Alder Lake」)を続けて発表した。高橋氏は二つのプラットフォームをローンチしたことがいまのパソコン市場全体の活気に結びついていると好感触を得ている様子だ。
ノートパソコン向けのCPUもまた、昨年に正式発表した第11世代のインテル(R) Core(TM)プロセッサーHシリーズが多くの製品に搭載され、また同時期に力を入れてきた「インテル(R) Evo(TM)プラットフォーム」のプロモーションとリンクしたことで、高付加価値モバイルPCの市場が確立された。高橋氏も「プレミアムノートブックをわかりやすく訴求できるポイントとして、販売店様からもインテル(R) Evo(TM)プラットフォームが好評」と話す。
コンシューマ向けのCPUは付属品込みのボックスCPU製品が伸びている。全国の家電量販店やECショップのPOSデータを集計している「BCNランキング」によると、同カテゴリー製品におけるインテルのメーカーシェアは2021年1月の46.8%から2022年1月には80.2%まで大きく伸長した。インテルではこの好調の背景をどのように分析しているのだろうか。高橋氏に聞いた。
「第12世代のインテル(R) Core(TM)プロセッサー・ファミリーの投入後から、特にコアなパソコンファンの方々に当社CPUの高いパフォーマンスをお認めいただいています。このプロセッサ―・ファミリー製品はいずれも性能重視のPコアと電力効率重視のE-coreのハイブリッド構成を採用しています。これによりマルチタスク処理のスピードと安定感が大きく向上したことが、高評価をいただいている理由だと考えます」(高橋氏)。
新世代のCPUは前世代に比べて、動画などクリエイティブなコンテンツの作成、ハイエンドなゲーミングコンテンツを動かす際には約2倍高い処理能力を発揮するという。
トップエンドのCPUに限らず、新しいインテル(R) Core(TM)プロセッサー・ファミリーを構成するミドルレンジやローエンドクラスの製品を求めるパソコンファンにもまた、納得できる幅広いラインアップがインテルにはある。「お客様の用途や予算に合わせて選べるCPU製品が揃ったことも、インテル製品のイメージアップにつながり、結果として多くのニーズに応えられているのではないか」という高橋氏。「説明すべきポイントが明快なので、お客様におすすめしやすい」という声も販売店から多く寄せられているようだ。注目度の高さだけでなく、実用性の高さから購入を決めたユーザーに納得されているのだろう。
ハイエンド向けCPUの新製品がP/Eコアによる高性能ハイブリッドアーキテクチャを採用したことで、PCユーザーにはどんなメリットがあるのだろうか。
まず同時に複数のタスク処理が速く、正確にこなせるようになる。高橋氏は「一例としてゲームをプレイしながら実況動画を配信する用途にも快適さを実感いただけるだろう」と話す。E-core(効率コア)のおかげで、高いパフォーマンスを発揮しながら同時にヘビーなタスクをこなしている間にもパソコンの消費電力は低く抑えられる。普段使い的な用途に多くパソコンを使う方にとっても大きなメリットが感じられそうだ。
第12世代のCPUはメモリの最新標準規格である「DDR5」にもいち早く対応した。高橋氏は「新しい技術を使って、新しい体験にいち早く踏み込みたい方にふさわしいCPU。テクノロジーを使い倒して、新しく幅広いことに挑戦したい方に最適です」と呼びかける。
2022年の春以降、国内CPU市場の展望を高橋氏にたずねた。「コロナ禍が収束してほしいという願いを強く抱いていますが、かたや皆様が自宅で過ごすライフスタイルは定着し、継続するものと思います。これからパソコンをクリエイティブな用途に活用したり、ゲーミングにも楽しむ方は増えていくでしょう。これからも市場の活性化に貢献できるよう、インテルとして様々な支援活動をします。」(高橋氏)
教育市場では2019年から開始された「GIGAスクール構想」が、コロナ禍によりリモートスクールへの関心が一気に高まったことから、いま文教市場へのパソコンの普及拡大も進んでいる。
高橋氏はビジネス市場と同じように、学校においてもまた、さまざまな用途に心地よく使える性能の高いモバイルPCへの関心が増していると話す。例えば、高等教育の領域では多様なテーマのデジタルクリエーションを専門に学ぶ学校やeスポーツ専門の学校などが立ち上がり、学生たちが学ぶために欠かせないツールとしてパソコンの性能にもシビアな関心の目が向けられている。ここもまた、インテルの最新世代のCPUが真価を発揮できる場所に他ならない。
2022年春以降のプロモーション展開について、インテルはパソコンで何かを創るすべてのクリエイターを応援することにも力を入れていく考えだ。高橋氏は「インテルの最新CPUを搭載するパソコンがどのような用途に活用できるのか、どのようなコンテンツが創れるのかなどを、わかりやすく見せるプロモーション活動に注力したい」と意気込む。
高橋氏がポイントに掲げるのは「わくわく感が体験できる場をつくること」だ。長引くコロナ禍の中では困難な挑戦になるかもしれないが、インテルは2月末まで東京・渋谷の体験型店舗「b8ta(ベータ)」にポップアップストアを設置し、同社のCPUを搭載する高性能パソコンの体験展示が好評を得た。
高橋氏は「当社単独で市場を盛り上げることはできません。販売店様など多くのパートナーの皆様と連携することがとても大事だと思っています。おかげさまで注目されている新製品の魅力を、今後も皆様とのパートナーシップを通してエンドユーザーのお客様にわかりやすく、体験機会も含めて届けたいと考えています。また今年はメーカーのパートナー様から、第12世代を中心とする新しいパソコンも投入されます。ぜひご期待ください」と語りインタビューを結んだ。2022年もパソコン業界の中心を担う存在としてインテルの動向から目が離せない。(フリーライター・山本敦)
最初に2021年のCPU市場の手応えから高橋氏に振り返っていただいた。長くコロナ禍が続くなか、ユーザーがインテルのCPUに寄せる期待も様変わりしているのだろうか。
「販売店様を通じて届くユーザーの声から、普段は仕事を中心にパソコンを使っていた方々が、自宅で過ごすプライベートな時間にパソコンで動画を作成したり、ゲームを楽しむ時間にあてたりして過ごす姿が見えてきました。クリエイティブな用途にも需要が拡大して、いまパソコンの使われ方がこれまでにないほど多様化していることを実感しています。リモートワークにもノートパソコンの活躍する場が広がり、高機能なパソコンの重要性も増しています」(高橋氏)。
インテルは2021年の春に第11世代(開発コードネーム「Rocket Lake-S」)、秋に第12世代のインテル(R) Core(TM)プロセッサー・ファミリー(開発コードネーム「Alder Lake」)を続けて発表した。高橋氏は二つのプラットフォームをローンチしたことがいまのパソコン市場全体の活気に結びついていると好感触を得ている様子だ。
ノートパソコン向けのCPUもまた、昨年に正式発表した第11世代のインテル(R) Core(TM)プロセッサーHシリーズが多くの製品に搭載され、また同時期に力を入れてきた「インテル(R) Evo(TM)プラットフォーム」のプロモーションとリンクしたことで、高付加価値モバイルPCの市場が確立された。高橋氏も「プレミアムノートブックをわかりやすく訴求できるポイントとして、販売店様からもインテル(R) Evo(TM)プラットフォームが好評」と話す。
コンシューマ向けのCPUは付属品込みのボックスCPU製品が伸びている。全国の家電量販店やECショップのPOSデータを集計している「BCNランキング」によると、同カテゴリー製品におけるインテルのメーカーシェアは2021年1月の46.8%から2022年1月には80.2%まで大きく伸長した。インテルではこの好調の背景をどのように分析しているのだろうか。高橋氏に聞いた。
「第12世代のインテル(R) Core(TM)プロセッサー・ファミリーの投入後から、特にコアなパソコンファンの方々に当社CPUの高いパフォーマンスをお認めいただいています。このプロセッサ―・ファミリー製品はいずれも性能重視のPコアと電力効率重視のE-coreのハイブリッド構成を採用しています。これによりマルチタスク処理のスピードと安定感が大きく向上したことが、高評価をいただいている理由だと考えます」(高橋氏)。
新世代のCPUは前世代に比べて、動画などクリエイティブなコンテンツの作成、ハイエンドなゲーミングコンテンツを動かす際には約2倍高い処理能力を発揮するという。
トップエンドのCPUに限らず、新しいインテル(R) Core(TM)プロセッサー・ファミリーを構成するミドルレンジやローエンドクラスの製品を求めるパソコンファンにもまた、納得できる幅広いラインアップがインテルにはある。「お客様の用途や予算に合わせて選べるCPU製品が揃ったことも、インテル製品のイメージアップにつながり、結果として多くのニーズに応えられているのではないか」という高橋氏。「説明すべきポイントが明快なので、お客様におすすめしやすい」という声も販売店から多く寄せられているようだ。注目度の高さだけでなく、実用性の高さから購入を決めたユーザーに納得されているのだろう。
ハイエンド向けCPUの新製品がP/Eコアによる高性能ハイブリッドアーキテクチャを採用したことで、PCユーザーにはどんなメリットがあるのだろうか。
まず同時に複数のタスク処理が速く、正確にこなせるようになる。高橋氏は「一例としてゲームをプレイしながら実況動画を配信する用途にも快適さを実感いただけるだろう」と話す。E-core(効率コア)のおかげで、高いパフォーマンスを発揮しながら同時にヘビーなタスクをこなしている間にもパソコンの消費電力は低く抑えられる。普段使い的な用途に多くパソコンを使う方にとっても大きなメリットが感じられそうだ。
第12世代のCPUはメモリの最新標準規格である「DDR5」にもいち早く対応した。高橋氏は「新しい技術を使って、新しい体験にいち早く踏み込みたい方にふさわしいCPU。テクノロジーを使い倒して、新しく幅広いことに挑戦したい方に最適です」と呼びかける。
2022年の春以降、国内CPU市場の展望を高橋氏にたずねた。「コロナ禍が収束してほしいという願いを強く抱いていますが、かたや皆様が自宅で過ごすライフスタイルは定着し、継続するものと思います。これからパソコンをクリエイティブな用途に活用したり、ゲーミングにも楽しむ方は増えていくでしょう。これからも市場の活性化に貢献できるよう、インテルとして様々な支援活動をします。」(高橋氏)
教育市場では2019年から開始された「GIGAスクール構想」が、コロナ禍によりリモートスクールへの関心が一気に高まったことから、いま文教市場へのパソコンの普及拡大も進んでいる。
高橋氏はビジネス市場と同じように、学校においてもまた、さまざまな用途に心地よく使える性能の高いモバイルPCへの関心が増していると話す。例えば、高等教育の領域では多様なテーマのデジタルクリエーションを専門に学ぶ学校やeスポーツ専門の学校などが立ち上がり、学生たちが学ぶために欠かせないツールとしてパソコンの性能にもシビアな関心の目が向けられている。ここもまた、インテルの最新世代のCPUが真価を発揮できる場所に他ならない。
2022年春以降のプロモーション展開について、インテルはパソコンで何かを創るすべてのクリエイターを応援することにも力を入れていく考えだ。高橋氏は「インテルの最新CPUを搭載するパソコンがどのような用途に活用できるのか、どのようなコンテンツが創れるのかなどを、わかりやすく見せるプロモーション活動に注力したい」と意気込む。
高橋氏がポイントに掲げるのは「わくわく感が体験できる場をつくること」だ。長引くコロナ禍の中では困難な挑戦になるかもしれないが、インテルは2月末まで東京・渋谷の体験型店舗「b8ta(ベータ)」にポップアップストアを設置し、同社のCPUを搭載する高性能パソコンの体験展示が好評を得た。
高橋氏は「当社単独で市場を盛り上げることはできません。販売店様など多くのパートナーの皆様と連携することがとても大事だと思っています。おかげさまで注目されている新製品の魅力を、今後も皆様とのパートナーシップを通してエンドユーザーのお客様にわかりやすく、体験機会も含めて届けたいと考えています。また今年はメーカーのパートナー様から、第12世代を中心とする新しいパソコンも投入されます。ぜひご期待ください」と語りインタビューを結んだ。2022年もパソコン業界の中心を担う存在としてインテルの動向から目が離せない。(フリーライター・山本敦)