コロナ禍2年、伸び続ける有機ELテレビと縮小続く携帯オーディオ
間もなく丸2年が経つ。新型コロナウイルス感染症との戦いも、いよいよ終わりが見えてきた。新しいオミクロン株の広がりは予断を許さないが、今のところ症状も軽い。ここで一気にコロナ禍は終わるのではないかとの見方が出てきている。デジタル家電も売り上げが大きく変動した2年だった。コロナ前と比べ、コロナ1年目、コロナ2年目で売り上げはどう変わったのか。主要69カテゴリーについて、全国の2680店舗の家電量販店やネット販売店から収集したデジタル家電の実売データベース、BCNランキングで分析した。
販売台数が最も伸びたカテゴリーは、やはりPCカメラだった。外出自粛を求められテレワークが推奨される中、多くの人が必要に迫られてオンラインコミュニケーションを取らざるを得なくなった。飲み会までもオンラインで行うとなれば、相手に自分の顔を見せるPCカメラは必須になったわけだ。現在、売り場に並ぶノートPCにはカメラが付属しているモデルが多いものの、カメラのないモデルを使い続けているユーザーもまた多かった。より解像度の高いカメラへの買い替えも需要も市場を押し上げた。
PCカメラの売り上げはコロナ前に比べ4倍以上に膨れ上がった。18年11月~19年10月をコロナ前、19年11月~20年10月をコロナ1年目、20年11月~21年10月をコロナ2年目として販売台数を集計。2年目の販売台数をコロナ前と比較すると、伸び率は426.2%と市場が一気に広がった。細かくみると、1年目はコロナ前比で314.3%、2年目は1年目比で135.6%。最初の勢いこそ鈍化したものの、2年目も1年目を上回る売り上げを記録した。
勢いを増しつつあるカテゴリーが有機ELテレビだ。コロナ前に比べ192.0%と2倍近く市場を拡大させ、PCカメラに次いで大きな伸びを示した。テレビ市場に占める構成比はまだ1割程度だが、着実に売り上げを伸ばしている。1年目はコロナ前比で128.5%とおよそ3割増、2年目は1年目比で149.4%とさらに伸びた。足元の前年同月比を見ても、この1年、継続して前年の売り上げを上回り堅調だ。一方、PCカメラは、さすがに7月以降は前年の販売台数を下回っている。液晶テレビも2年目は前年を下回った。価格も高くプレミアムテレビとして受け止められつつある有機ELテレビの売り上げが伸びているわけだ。1年目は液晶テレビと同じく巣ごもり消費で伸び、コロナ後、一気に消費意欲が復活する「リベンジ消費」の受け皿にもなっているようだ。
一方、最も売り上げが縮小してしまったのが携帯オーディオだ。ウォークマンやiPodなどは一時、一世を風靡したカテゴリーだが、この2年で急激な縮小に見舞われた。コロナ1年目は70.2%とおよそ3割減、2年目の今年も昨年比で68.4%と販売台数がさらに縮小。コロナ前比の合計で48.0%と半減以上だ。外出先で使用することが多い携帯オーディオという特性上、コロナ禍で打撃を受けたともいえる。さらに、スマートフォン(スマホ)で音楽を聴くことが多くなったうえ、ストリーミング配信を利用する場面が増えた。コロナ禍に加え音楽視聴環境の変化もあって、激しく市場が縮小しているともいえるだろう。
次いで市場が縮小したのがデジカメだ。この2年で49.8%と、こちらも半減している。デジタルビデオカメラも51.3%でワースト3位。ワースト7位までのうち、5つのカテゴリーでカメラ関連が占めた。いずれもコロナ禍の直撃を受けたカテゴリーだ。外出しなくなったうえイベントも中止。旅行もできないとなれば、カメラの出番はない。こちらもスマホの台頭で厳しい戦いを強いられていたところにコロナ禍、という構図だった。しかし、デジカメでは1年目は60.5%と突出したマイナスを記録したが、2年目の今年は1年目比で82.4%とマイナスながらも回復傾向がみられる。感染状況が落ち着き始め、徐々に需要が戻ってきた。さらにVlogger向けカメラや、ミラーレス一眼のフラグシップの発表など、市場を刺激する要素も多く、コロナ明けでどこまで回復できるかに期待が集まっている。
そのほか、1年目は売り上げを伸ばしたものの、今年は失速したカテゴリーも多い。グラフィックボードは1年目に141.7%だったものの、今年は98.0%と勢いを維持できていない。またノートPCも1年目は121.3%と伸びたが、今年は89.1%と2桁割れだ。いずれもコロナ前との比較ではまだプラス圏だが、今後さらに失速する恐れもある。早期に需要を先食いして勢いが続かなかった面もあるほか、折からの半導体や部材の不足、物流の停滞などから品不足が起きていることも影響しているようだ。これらもコロナ禍の影響といえる。(BCN・道越一郎)
販売台数が最も伸びたカテゴリーは、やはりPCカメラだった。外出自粛を求められテレワークが推奨される中、多くの人が必要に迫られてオンラインコミュニケーションを取らざるを得なくなった。飲み会までもオンラインで行うとなれば、相手に自分の顔を見せるPCカメラは必須になったわけだ。現在、売り場に並ぶノートPCにはカメラが付属しているモデルが多いものの、カメラのないモデルを使い続けているユーザーもまた多かった。より解像度の高いカメラへの買い替えも需要も市場を押し上げた。
PCカメラの売り上げはコロナ前に比べ4倍以上に膨れ上がった。18年11月~19年10月をコロナ前、19年11月~20年10月をコロナ1年目、20年11月~21年10月をコロナ2年目として販売台数を集計。2年目の販売台数をコロナ前と比較すると、伸び率は426.2%と市場が一気に広がった。細かくみると、1年目はコロナ前比で314.3%、2年目は1年目比で135.6%。最初の勢いこそ鈍化したものの、2年目も1年目を上回る売り上げを記録した。
勢いを増しつつあるカテゴリーが有機ELテレビだ。コロナ前に比べ192.0%と2倍近く市場を拡大させ、PCカメラに次いで大きな伸びを示した。テレビ市場に占める構成比はまだ1割程度だが、着実に売り上げを伸ばしている。1年目はコロナ前比で128.5%とおよそ3割増、2年目は1年目比で149.4%とさらに伸びた。足元の前年同月比を見ても、この1年、継続して前年の売り上げを上回り堅調だ。一方、PCカメラは、さすがに7月以降は前年の販売台数を下回っている。液晶テレビも2年目は前年を下回った。価格も高くプレミアムテレビとして受け止められつつある有機ELテレビの売り上げが伸びているわけだ。1年目は液晶テレビと同じく巣ごもり消費で伸び、コロナ後、一気に消費意欲が復活する「リベンジ消費」の受け皿にもなっているようだ。
一方、最も売り上げが縮小してしまったのが携帯オーディオだ。ウォークマンやiPodなどは一時、一世を風靡したカテゴリーだが、この2年で急激な縮小に見舞われた。コロナ1年目は70.2%とおよそ3割減、2年目の今年も昨年比で68.4%と販売台数がさらに縮小。コロナ前比の合計で48.0%と半減以上だ。外出先で使用することが多い携帯オーディオという特性上、コロナ禍で打撃を受けたともいえる。さらに、スマートフォン(スマホ)で音楽を聴くことが多くなったうえ、ストリーミング配信を利用する場面が増えた。コロナ禍に加え音楽視聴環境の変化もあって、激しく市場が縮小しているともいえるだろう。
次いで市場が縮小したのがデジカメだ。この2年で49.8%と、こちらも半減している。デジタルビデオカメラも51.3%でワースト3位。ワースト7位までのうち、5つのカテゴリーでカメラ関連が占めた。いずれもコロナ禍の直撃を受けたカテゴリーだ。外出しなくなったうえイベントも中止。旅行もできないとなれば、カメラの出番はない。こちらもスマホの台頭で厳しい戦いを強いられていたところにコロナ禍、という構図だった。しかし、デジカメでは1年目は60.5%と突出したマイナスを記録したが、2年目の今年は1年目比で82.4%とマイナスながらも回復傾向がみられる。感染状況が落ち着き始め、徐々に需要が戻ってきた。さらにVlogger向けカメラや、ミラーレス一眼のフラグシップの発表など、市場を刺激する要素も多く、コロナ明けでどこまで回復できるかに期待が集まっている。
そのほか、1年目は売り上げを伸ばしたものの、今年は失速したカテゴリーも多い。グラフィックボードは1年目に141.7%だったものの、今年は98.0%と勢いを維持できていない。またノートPCも1年目は121.3%と伸びたが、今年は89.1%と2桁割れだ。いずれもコロナ前との比較ではまだプラス圏だが、今後さらに失速する恐れもある。早期に需要を先食いして勢いが続かなかった面もあるほか、折からの半導体や部材の不足、物流の停滞などから品不足が起きていることも影響しているようだ。これらもコロナ禍の影響といえる。(BCN・道越一郎)