自転車が消えても、どんどん沸き上がるシェアリングビジネス──【スゴイぞ深セン#04】
最近日本でもよく目にするようになってきたシェアリングサービス。自転車だけでなく、バッテリーや傘など、用途も広がってきた。一時、シェア自転車で爆発的なブームを迎え一気にシュリンクした中国では、他にも数多くのシェアリングサービスがある。
いくつか同様のサービスを提供する企業があるが、売り上げ・規模ともに中国では来電科技が最大。社員数は2000名で月間1億元を売り上げる。ハードウェアとソフトウェア合わせて99の特許を取得しており、サービスの安定性には定評がある。中国でのシェアリングバッテリーサービス市場は、キャッシュレス決済の普及を追い風に、2017年頃から市場が急激に伸び始めた。創業者の袁炳松 CEOは「1人1回あたり数元のビジネスだが、人口が多い中国では大きな売り上げになる」と話す。同社ではリアルタイムに中国全土の利用状況が把握できるようなシステムを構築。大型モニターに中国の地図を配置し、どこでどれくらい利用されているかを把握することもできる。
来電科技はこの秋、海外向けのブランド名「POWER NOW」で日本に進出した。まだテストマーケティングの段階だが、東京に数カ所「バッテリーレンタルステーション」を設置、運用を開始している。この10月の消費税増税をきっかけにしたキャッシュレスの普及と、来年の東京オリンピック・パラリンピック開催が追い風になるとにらんでの海外展開だ。
将来的には、中国で借りたバッテリーを日本で返却、あるいはその逆もできるようにする計画。料金体系は、30分以内は無料。30分超1時間以内なら100円、1時間超24時間以内で600円、24時間超は1時間毎に100円だが1日上限600円。120時間を超過した場合は返却の必要がなく、3000円で買い取ることになる。主要クレジットカードやモバイル決済に対応している。
袁 CEOは「中国人は故障には寛容だが、世界に進出するにあたってそれは許されない。現在返却のタイミングが正しく認識されないというクレームが最も多いが、非接触型システムの導入で、バッテリーレンタルステーションへの返却検知精度を高めた」と話す。 日本では2018年4月にサービスを開始した香港系のCharge Spotが先行しているが、中国トップブランドの来電科技の技術的なアドバンテージを駆使して「POWER NOW」で追い抜きを目指す。
シェア自転車ビジネスは一気にしぼんだ。同社も2017年に東京の大学でシェア自転車ビジネスを実施した経験もある。自転車に関して継続は困難だったが、近年では、より手軽に利用できる電動キックボードが注目を集めており、シェアビジネスも自転車から電動キックボードへと主流が移りつつある。
Baicycleでも、中国はもとより韓国やアメリカ、ヨーロッパ各国に広くシェア電動キックボードを提供している。しかし、日本での展開は未知数だ。電動キックボードは日本では原付(原動機付き自転車)にあたるため、公道を走るためにはナンバーの取得が必要。利便性は高いが原付免許に加えヘルメットの着用も必要。シェアリングで広く普及させるためにはハードルが高い。
そこで、同社が日本向けの製品として期待を寄せているのが電動空気入れ。片手で軽々と持てる大きさと重さながら、車にも自転車にもボールにも、空気入れが必要なものもは何でも対応できるスグレモノ。Aming He CEOは「1年間かけて開発した新製品」と語る。バルブは米式、仏式の双方に対応する。この夏、中国で1台199元で発売したところ1か月で5万個を売り上げるベストセラーになった。USBで充電して使うため、空気を入れる際に一切力は要らない。空気圧計もついており、適正な空気圧を保つことができる。車のトランクに入れておけば心強い1台だ。(BCN・道越一郎)
モバイルバッテリーもシェアリングサービスで
2013年に深センで創業した来電科技は、中国のシェアリングバッテリービジネスの草分け的な存在だ。利用法はこうだ。街中のショッピングモールや飲食店などに設置してある「バッテリーレンタルステーション」から充電済みのモバイルバッテリーを借りる。個々のバッテリーには、Micro USB、USB Type-C、iPhone Lightningと3端子が内蔵されており、どんな端末にも充電できる仕組みだ。使用後はどこの「バッテリーレンタルステーション」に返却しても構わない。返却までの利用時間に応じて料金を支払う。いくつか同様のサービスを提供する企業があるが、売り上げ・規模ともに中国では来電科技が最大。社員数は2000名で月間1億元を売り上げる。ハードウェアとソフトウェア合わせて99の特許を取得しており、サービスの安定性には定評がある。中国でのシェアリングバッテリーサービス市場は、キャッシュレス決済の普及を追い風に、2017年頃から市場が急激に伸び始めた。創業者の袁炳松 CEOは「1人1回あたり数元のビジネスだが、人口が多い中国では大きな売り上げになる」と話す。同社ではリアルタイムに中国全土の利用状況が把握できるようなシステムを構築。大型モニターに中国の地図を配置し、どこでどれくらい利用されているかを把握することもできる。
来電科技はこの秋、海外向けのブランド名「POWER NOW」で日本に進出した。まだテストマーケティングの段階だが、東京に数カ所「バッテリーレンタルステーション」を設置、運用を開始している。この10月の消費税増税をきっかけにしたキャッシュレスの普及と、来年の東京オリンピック・パラリンピック開催が追い風になるとにらんでの海外展開だ。
将来的には、中国で借りたバッテリーを日本で返却、あるいはその逆もできるようにする計画。料金体系は、30分以内は無料。30分超1時間以内なら100円、1時間超24時間以内で600円、24時間超は1時間毎に100円だが1日上限600円。120時間を超過した場合は返却の必要がなく、3000円で買い取ることになる。主要クレジットカードやモバイル決済に対応している。
袁 CEOは「中国人は故障には寛容だが、世界に進出するにあたってそれは許されない。現在返却のタイミングが正しく認識されないというクレームが最も多いが、非接触型システムの導入で、バッテリーレンタルステーションへの返却検知精度を高めた」と話す。 日本では2018年4月にサービスを開始した香港系のCharge Spotが先行しているが、中国トップブランドの来電科技の技術的なアドバンテージを駆使して「POWER NOW」で追い抜きを目指す。
シェア自転車のブームが去った後、電動キックボードが「来る」
自転車や電動アシスト付き自転車、キックボードなどを手がけるShenzhen Outu Intelligent Technology(Baicycle)は、年商200億円以上で10年以上の歴史があるシャオミ系列の企業だ。日本の無印良品にも自転車をODM提供している。同社が近年力を入れているのが、シェアタイプの電動キックボードだ。シェア自転車ビジネスは一気にしぼんだ。同社も2017年に東京の大学でシェア自転車ビジネスを実施した経験もある。自転車に関して継続は困難だったが、近年では、より手軽に利用できる電動キックボードが注目を集めており、シェアビジネスも自転車から電動キックボードへと主流が移りつつある。
Baicycleでも、中国はもとより韓国やアメリカ、ヨーロッパ各国に広くシェア電動キックボードを提供している。しかし、日本での展開は未知数だ。電動キックボードは日本では原付(原動機付き自転車)にあたるため、公道を走るためにはナンバーの取得が必要。利便性は高いが原付免許に加えヘルメットの着用も必要。シェアリングで広く普及させるためにはハードルが高い。
そこで、同社が日本向けの製品として期待を寄せているのが電動空気入れ。片手で軽々と持てる大きさと重さながら、車にも自転車にもボールにも、空気入れが必要なものもは何でも対応できるスグレモノ。Aming He CEOは「1年間かけて開発した新製品」と語る。バルブは米式、仏式の双方に対応する。この夏、中国で1台199元で発売したところ1か月で5万個を売り上げるベストセラーになった。USBで充電して使うため、空気を入れる際に一切力は要らない。空気圧計もついており、適正な空気圧を保つことができる。車のトランクに入れておけば心強い1台だ。(BCN・道越一郎)