海外旅行は「eSIM」が断然オススメだ【道越一郎のカットエッジ】
夏休みの旅行シーズン真っただ中。強烈な円安がちょっと収まってきた今、改めて海外旅行を計画している人も多いだろう。今時の海外旅行で必須なのがスマートフォン(スマホ)。入出国の手続きから航空券、地図の表示、交通機関や飲食店の検索、観光地の入場券予約や購入などなど、なくてはならない存在だ。そして、スマホを海外で使うとなると必須ともいえるのが、現地で使えるデータ通信用SIM。到着した空港で購入したり、日本で購入して持参したりと、手配する方法は様々。だが今回は、海外旅行では、断然「eSIM」がオススメだ、という話をしてみたい。
海外に行く際の私のルーティーンは、飛行機に搭乗したらすぐに時計を現地の時刻に合わせ、財布の現金を入れ替え、スマホのSIMを現地のSIMに入れ替えることだ。時計と現金はいいのだが、SIMの入れ替えは作業が細かくて特に気を遣う。小指の先ほどのnanoSIM。万一機内の床に落としでもしたら、狭い椅子の間を這いつくばって探すハメになる。最悪どっかに行ってしまい見つからないかもしれない。SIMの入れ替えは現地に着いてからゆっくりやればいいじゃないか、とも思う。しかし、空港に着くなり入国審査や通関などで必要になる場合もある。着陸して降機までの間は何かとあわただしく、降機後もやれ荷物のピックアップだやれイミグレだとバタバタだ。通信環境の準備はできるだけ早く機内でやっておきたい。
現地で使うSIMについては、あらかじめ現地用の物理SIMを日本で購入、持ち込んで使うのが常だ。いち早く通信環境のセットができるというメリットがある。さらに、渡航先にもよるが、最近では現地で買うのと大差ない価格で買える場合も多い。先日、久々に台湾に行ったのだが、その際もいつもと同じく、日本で台湾用のSIMを購入して現地に乗り込んだ。ところが、このSIMが物理的な不良で、スマホを使おうとすると真っ赤な文字で「Androidシステムを読み込めません。データが破損している可能性があります……」という、恐ろし気なエラーメッセージを吐き出すではないか。何度やっても同じであるため、SIMの販売会社にエラーの状況を知らせ返金を求めると同時に、急遽台湾での通信手段を新たに確保する必要が生じた。空港ならSIMショップがいくつもあるが、すでに空港は離れており、SIMを売っている店を探すのも面倒だ。
そこで目をつけたのがeSIMだ。旅行予約サイトTrip.com経由で販売しているのを思い出して購入した。魅力はなんといっても価格の安さ。今回購入したのは、1日の高速通信容量が2GB、5日間のプラン。2GBを超えた場合は384kbpsで通信できるというスタイルのものだ。価格は663円と、かなり安かった。他にも、高速通信容量が無制限のプランもあり、こちらも5日間で1095円と破格だ。ただし、eSIMの種類によっては「実名登録」が必要なものがある。今回購入したeSIMもこのタイプだった。パスポートの顔写真ページの写真を撮ってアップロードし、携帯電話番号、パスポート番号、eSIM番号を登録しなければならない。この辺の説明が英語のみだったりしてややハードルが高いのだが、落ち着いてやればそれほど難しい手続きではなかった。あとは、購入先からメールなどで送られてきたドキュメントにあるQRコードをスマホで読み込ませ、設定すればOK。eSIMがすぐに使えるようになる。詳しい説明は端折るが、ざっとこんな感じだ。スマホがネットにつながるまでいろいろと苦労するだろうと覚悟していたが、意外にもあっさりと利用しはじめることができた。購入から利用開始まで30分もあれば済むだろう。
最近のデュアルSIMのスマホでは、1つは通常の物理SIM、もう一つはeSIMというものが多い。その場合、普段日本で使う回線を物理SIMにするか、eSIMにするかは結構な悩みどころだ。しかし、海外に行くなどSIMを切り替える機会があるなら、断然、海外など渡航先で使う方をeSIMにした方がいい。いつも使う方を物理SIMにするわけだ。当初私は逆にしていた。eSIM対応のスマホに買い替えてから、普段日本で使うSIMを物理SIMからeSIMに変更。渡航先で使う方を物理SIMにする、というスタイルを考えていたからだ。しかし、渡航先ではeSIMが便利で安いことが分かったので、プロバイダーに改めて手数料を支払って、日本で使うSIMを物理SIMに戻した。もちろん、日本でeSIMを使っていて、渡航先で一旦別のeSIMを使い、帰国後もとに戻す、ということも可能だ。しかしその場合はせっかくのデュアルSIMの恩恵が受けられない。渡航先でeSIMを使っている間は、日本で使っている電話番号宛てにかかってきた電話が受けられないなどの、ちょっとしたデメリットが生じる。
eSIMは購入から使用開始まですべてオンラインで完結する。日本でも海外でも、ネットが使える環境なら、ほぼどこからでも購入できる。あらかじめ渡航先のeSIMを日本で購入し、セットだけしておくということも可能だ。もちろん、渡航先で必要になった時にすぐに買って使い始めることもできる。一方、物理SIMはSIMカードそのものが必要であるため、実店舗に出向くか通販で購入してカードが届くまで待たなければならない。その分、割高になる場合もあるだろう。また、前述の通り、SIMカードの入れ替えはとても気を遣う作業。操作をちょっと間違えて、スマホ内部でSIMが引っかかったりしてスマホが故障してしまう恐れもある。
一方、物理SIMのメリットは、入れ替えるだけでセットが完了する、という分かりやすさはある。前述した物理的障害のようにSIM自体が壊れていることもあるが、ごく希だ。現地のSIMを入れるだけですぐに使えるようになるものもあれば、いくばくかの設定をしなければ使えない場合もある。設定の手間については、物理SIMでもeSIMでもあまり変わらないだろう。なお、eSIMを利用するには、使っているスマホが対応していなければならない。最近ではeSIM対応のスマホは増えている。日本で人気のiPhoneなら2018年発売のXR/XSシリーズ以降ならOK。Google Pixelなら同じく2018年発売の3以降で対応している。自分のスマホがeSIMに対応しているかどうか、確かめてみてほしい。もし対応スマホなら、海外旅行の際には是非eSIMを試してみてほしい。(BCN・道越一郎)
海外に行く際の私のルーティーンは、飛行機に搭乗したらすぐに時計を現地の時刻に合わせ、財布の現金を入れ替え、スマホのSIMを現地のSIMに入れ替えることだ。時計と現金はいいのだが、SIMの入れ替えは作業が細かくて特に気を遣う。小指の先ほどのnanoSIM。万一機内の床に落としでもしたら、狭い椅子の間を這いつくばって探すハメになる。最悪どっかに行ってしまい見つからないかもしれない。SIMの入れ替えは現地に着いてからゆっくりやればいいじゃないか、とも思う。しかし、空港に着くなり入国審査や通関などで必要になる場合もある。着陸して降機までの間は何かとあわただしく、降機後もやれ荷物のピックアップだやれイミグレだとバタバタだ。通信環境の準備はできるだけ早く機内でやっておきたい。
現地で使うSIMについては、あらかじめ現地用の物理SIMを日本で購入、持ち込んで使うのが常だ。いち早く通信環境のセットができるというメリットがある。さらに、渡航先にもよるが、最近では現地で買うのと大差ない価格で買える場合も多い。先日、久々に台湾に行ったのだが、その際もいつもと同じく、日本で台湾用のSIMを購入して現地に乗り込んだ。ところが、このSIMが物理的な不良で、スマホを使おうとすると真っ赤な文字で「Androidシステムを読み込めません。データが破損している可能性があります……」という、恐ろし気なエラーメッセージを吐き出すではないか。何度やっても同じであるため、SIMの販売会社にエラーの状況を知らせ返金を求めると同時に、急遽台湾での通信手段を新たに確保する必要が生じた。空港ならSIMショップがいくつもあるが、すでに空港は離れており、SIMを売っている店を探すのも面倒だ。
そこで目をつけたのがeSIMだ。旅行予約サイトTrip.com経由で販売しているのを思い出して購入した。魅力はなんといっても価格の安さ。今回購入したのは、1日の高速通信容量が2GB、5日間のプラン。2GBを超えた場合は384kbpsで通信できるというスタイルのものだ。価格は663円と、かなり安かった。他にも、高速通信容量が無制限のプランもあり、こちらも5日間で1095円と破格だ。ただし、eSIMの種類によっては「実名登録」が必要なものがある。今回購入したeSIMもこのタイプだった。パスポートの顔写真ページの写真を撮ってアップロードし、携帯電話番号、パスポート番号、eSIM番号を登録しなければならない。この辺の説明が英語のみだったりしてややハードルが高いのだが、落ち着いてやればそれほど難しい手続きではなかった。あとは、購入先からメールなどで送られてきたドキュメントにあるQRコードをスマホで読み込ませ、設定すればOK。eSIMがすぐに使えるようになる。詳しい説明は端折るが、ざっとこんな感じだ。スマホがネットにつながるまでいろいろと苦労するだろうと覚悟していたが、意外にもあっさりと利用しはじめることができた。購入から利用開始まで30分もあれば済むだろう。
最近のデュアルSIMのスマホでは、1つは通常の物理SIM、もう一つはeSIMというものが多い。その場合、普段日本で使う回線を物理SIMにするか、eSIMにするかは結構な悩みどころだ。しかし、海外に行くなどSIMを切り替える機会があるなら、断然、海外など渡航先で使う方をeSIMにした方がいい。いつも使う方を物理SIMにするわけだ。当初私は逆にしていた。eSIM対応のスマホに買い替えてから、普段日本で使うSIMを物理SIMからeSIMに変更。渡航先で使う方を物理SIMにする、というスタイルを考えていたからだ。しかし、渡航先ではeSIMが便利で安いことが分かったので、プロバイダーに改めて手数料を支払って、日本で使うSIMを物理SIMに戻した。もちろん、日本でeSIMを使っていて、渡航先で一旦別のeSIMを使い、帰国後もとに戻す、ということも可能だ。しかしその場合はせっかくのデュアルSIMの恩恵が受けられない。渡航先でeSIMを使っている間は、日本で使っている電話番号宛てにかかってきた電話が受けられないなどの、ちょっとしたデメリットが生じる。
eSIMは購入から使用開始まですべてオンラインで完結する。日本でも海外でも、ネットが使える環境なら、ほぼどこからでも購入できる。あらかじめ渡航先のeSIMを日本で購入し、セットだけしておくということも可能だ。もちろん、渡航先で必要になった時にすぐに買って使い始めることもできる。一方、物理SIMはSIMカードそのものが必要であるため、実店舗に出向くか通販で購入してカードが届くまで待たなければならない。その分、割高になる場合もあるだろう。また、前述の通り、SIMカードの入れ替えはとても気を遣う作業。操作をちょっと間違えて、スマホ内部でSIMが引っかかったりしてスマホが故障してしまう恐れもある。
一方、物理SIMのメリットは、入れ替えるだけでセットが完了する、という分かりやすさはある。前述した物理的障害のようにSIM自体が壊れていることもあるが、ごく希だ。現地のSIMを入れるだけですぐに使えるようになるものもあれば、いくばくかの設定をしなければ使えない場合もある。設定の手間については、物理SIMでもeSIMでもあまり変わらないだろう。なお、eSIMを利用するには、使っているスマホが対応していなければならない。最近ではeSIM対応のスマホは増えている。日本で人気のiPhoneなら2018年発売のXR/XSシリーズ以降ならOK。Google Pixelなら同じく2018年発売の3以降で対応している。自分のスマホがeSIMに対応しているかどうか、確かめてみてほしい。もし対応スマホなら、海外旅行の際には是非eSIMを試してみてほしい。(BCN・道越一郎)