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変幻自在にデザイン変化のノートPC、COMPUTEXでASUSが参考出品【道越一郎のカットエッジ】

イベント

2024/06/16 18:30

 写真に撮って「絵にならない」製品、というのは結構多い。例えばテレビ。どーんと大きな黒い板があるだけ。これを並べたところで違いなんて分かりようもない。画面に何か映して撮ってもいいのだが、単に映っているものが違うだけ、ということにもなりかねない。スマートフォン(スマホ)も同様、背面のデザインは多少違うが、画面はただの黒い板。しかしノートPCは、デザインを工夫する余地が大きく、それなりに製品ごとの違いが出やすい。テレビやスマホに比べるとより絵にはなりやすい。とはいえ「お!」と思うような製品は少ない。だからみんな天板にステッカーを貼ったりして汚らしくなりつつもごまかしている。しかし、あのASUSがやってくれそうだ。このノートPCは世界でただ一つの「お!」というデザインを実現できる。

天板のデザインをカラーで自由に書き換えられるノートPC
「Project Dali」をCOMPUTEX TAIPEIでASUSが参考出品。
天板にはE Ink製フルカラー電子ペーパーを搭載

 6月4日~7日まで台湾・台北で開かれた「COMPUTEX TAIPEI 2024」でASUSが参考出品したノートPC「Project Dali」。一目見て「おおおお」と声を上げてしまった。天板に12インチ・フルカラーのE Ink製電子ペーパーを備えた試作品だ。この色がとても鮮やかだった。ASUSといえば、マルチディスプレイが得意なPCメーカー。例えば、メインディスプレイに加え、縦幅が半分のサブディスプレイをキーボード上部に備えたZenbook Pro Duoシリーズ。1.5画面とも言えるこのPC、いったい何に使うのか? とは思いつつ面白い製品だった。さらに今春登場した、14インチ画面を丸々2つ備えた完全2画面の「Zenbook DUO」は、ここまで来たか感が満載。これまでにないPCの可能性を感じさせた。古くは2012年、「TAICHI21」なる表裏2つの液晶画面を備えたノートPCをリリースしたこともあった。
 
好きな絵を天板に表示することができる。
ちょうど左上のPCは絵を書き換える途中。
完全に書き換わるまで5~10秒程度かかる

 今回参考出品されていたProject Daliは、表裏画面のTAICHI21の流れを受け継ぐものかもしれない。ただし、天板のディスプレイが電子ペーパーという点で全く異なる。電子ペーパーは、表示している間は電力を消費しないという大きな利点がある。電力を必要とするのは書き換える時だけ。しかも視野角はほぼ180度であるため、電源OFFの状態でも、広い範囲でクオリティーの高い絵を常に表示し続けることができる。絵でも写真でも文字でもロゴでも何でもこい。他とは決定的に違うデザインの天板を備えたノートPCの完成だ。しかも、専用ソフトで自在に書き換えることができる。飽きたらいつでも変更できるわけだ。
 
専用ソフトで天板のデザインを自由に決めることができる

 E Inkの電子ペーパーといえばモノクロのイメージが強かった。これまでカラーの電子ペーパーも数多く見てきたが、ちょっと色がついた程度のもの、という認識しかなかった。しかし実はここまで進化していたのだ。ASUSはその技術をいち早く取り入れ、PCに融合させようとしている。書き換えには5~10秒ほどかかるため動画の表示はできない。しかし、静止画であれば、かなりきめ細かな表示ができる。天板のデザインを変化させるだけでなく、天気予報やニュースを表示させ定期的に書き換えさせたり、何かお知らせがあったタイミングで書き換えて表示させたりと、用途はたくさんありそうだ。ただ、発売時期は未定。担当者によると、今年中の発売というレベルではないらしい。来年に発売できるかどうかも微妙だという。まだまだいろいろと解決しなければならない問題があるようだ。とはいえ、とてもワクワクするPC。できるだけ早く発売してほしい。
 
31.5インチのフルカラー電子ペーパーを使ったデジタルサイネージ。
NETRONIXブースに展示されていた。
絵画を表示させ、定期的に書き換えることもできる

 COMPUTEX TAIPEI 2024では、ASUS以外にもカラーの電子ペーパーを使った出展があった。デジタルサイネージや電子書籍リーダー、ネットワーク機器などを手掛け、台湾・新竹県竹北市に本社を構えるNETRONIXのブースだ。E Ink製の電子ペーパー「Spectra 6」を使ったデジタルサイネージをいくつも展示していた。31.5インチと大型ながら非常に美しい発色。解像度は2560×1440で16:9のWQHDだ。SDカードやWi-Fi経由で書き換えることができる。これなら、ポスター代わりに使うことも十分可能だろう。技術的な準備は着々と整ってきているようだ。ここに、世界的にも知名度が高いASUSがノートPCにカラー電子ペーパーを搭載して発売すれば、電子ペーパーの本格活用が一気に広まりそうだ。(BCN・道越一郎)