早稲田大学スポーツ科学学術院の川上泰雄教授、国立スポーツ科学センターの山岸卓樹研究員らの研究グループは4月12日に、トレーニング効果を生み出す「最少量」のメカニズムについて、強度の工夫によって短時間であっても大きな運動効果をもたらし得ることを発表した。
WHO(世界保健機関)の身体活動に関する最新ガイドラインでは、1週間あたり150分以上の有酸素運動や週2回以上の筋力トレーニングが推奨されている。しかしながら、多忙な現代社会では推奨事項を満たすことは簡単ではない。
今回、発表された研究では、20秒の全力スプリント×2本を実施することによって有酸素性エネルギー代謝、および大腿部の筋活動を十分に高められることを明らかにした。週に1~2回、定期的にこの運動を実施することで、全身持久力の指標である最大酸素摂取量や大腿部の筋肉量・筋力の改善が期待できる。
最大酸素摂取量の改善は、アスリートの競技力だけでなく一般成人にとっても疾病予防につながる。大腿部の筋肉量は、加齢の影響をもっとも受けやすいものの、同研究で用いた運動様式は加齢にともなう大腿部における筋肉量の減少を食い止める効果も期待される。
なお、実際にトレーニングの効果を確かめるには、同研究で用いた運動を少なくとも数週間~数カ月間実施して、その前後で効果検証を行う必要がある。また、20秒の全力スプリント×2本は、運動時間としては極めて短いものの、高強度の運動に慣れていない人にとってはハードルが高い。
同研究では、全力スプリント中の全身、筋肉の酸素消費量の増大は15秒ほどで頭打ちになることも確認されているため、運動時間を30秒(15秒×2本)とさらに短くすることも可能だと考えられる。さらに、短時間でも全力を出すとそれ相応の身体的負担がともなうため、今後は少し発揮パワーを抑えた(強度を落とした)運動でも、適切な効果が得られるかを検証する必要があるという。
なお、同研究成果は『Medicine & Science in Sports & Exercise』において、「Physiological and Metabolic Responses to Low-Volume Sprint Interval Exercises: Influence of Sprint Duration and Repetitions」という論文名で、3月7日に早期公開されている。
20秒×2本の全力スプリントで有酸素性エネルギー代謝、大腿部の筋活動を高められる
トレーニング効果を生み出す「最少量」に関する最新の知見では、「60秒以内の高強度間欠的運動」が最大酸素摂取量を向上させることはわかっているものの、そのメカニズムは十分に解明されていなかったという。WHO(世界保健機関)の身体活動に関する最新ガイドラインでは、1週間あたり150分以上の有酸素運動や週2回以上の筋力トレーニングが推奨されている。しかしながら、多忙な現代社会では推奨事項を満たすことは簡単ではない。
今回、発表された研究では、20秒の全力スプリント×2本を実施することによって有酸素性エネルギー代謝、および大腿部の筋活動を十分に高められることを明らかにした。週に1~2回、定期的にこの運動を実施することで、全身持久力の指標である最大酸素摂取量や大腿部の筋肉量・筋力の改善が期待できる。
最大酸素摂取量の改善は、アスリートの競技力だけでなく一般成人にとっても疾病予防につながる。大腿部の筋肉量は、加齢の影響をもっとも受けやすいものの、同研究で用いた運動様式は加齢にともなう大腿部における筋肉量の減少を食い止める効果も期待される。
なお、実際にトレーニングの効果を確かめるには、同研究で用いた運動を少なくとも数週間~数カ月間実施して、その前後で効果検証を行う必要がある。また、20秒の全力スプリント×2本は、運動時間としては極めて短いものの、高強度の運動に慣れていない人にとってはハードルが高い。
同研究では、全力スプリント中の全身、筋肉の酸素消費量の増大は15秒ほどで頭打ちになることも確認されているため、運動時間を30秒(15秒×2本)とさらに短くすることも可能だと考えられる。さらに、短時間でも全力を出すとそれ相応の身体的負担がともなうため、今後は少し発揮パワーを抑えた(強度を落とした)運動でも、適切な効果が得られるかを検証する必要があるという。
なお、同研究成果は『Medicine & Science in Sports & Exercise』において、「Physiological and Metabolic Responses to Low-Volume Sprint Interval Exercises: Influence of Sprint Duration and Repetitions」という論文名で、3月7日に早期公開されている。