【木村ヒデノリのTech Magic #165】 光回線のはずなのに自宅のネット環境がイマイチという方、もしかしたらルーターが原因かもしれない。家電の多くがWi-Fiを使うようになった昨今、稼働中の機種は性能不足となっているかもしれない。筆者はこれまで家庭用から業務用まで多くのルーターを試してきたが、ここまで変化があるのなら思い切って変えてもいいかなと思える機器が見つかった。それがNETGEARの「Orbi WiFi 6E」だ。
しかし昨今、IoT家電が増え、それらが無線通信するようになり、テレビで見る動画もほとんどが4K、スマホのカメラで撮った写真も非常に大きいファイルサイズという状況になりつつある。こうなるとルーター選びにも新しい常識が求められる。
まず重要なのが同時接続台数。家庭用ルーターは十数台までのものがほとんどで、それを超えて接続しても一見つながるように見えるが、実は使っていないものから切断されている。「最近Wi-Fiの調子悪くない?」の原因は意外とこれだったりする。
動画の利用が増えてきたのも大きな変化だ。ストリーミングでの視聴はもとより、動画ファイル自体を移動させることも増えている。こうした大容量のファイルを扱うにも今までの家庭用ルーターでは不十分だ。
お金をかけなくてもある程度快適に使えていたルーターも、時代の変化とともに投資が必要になってきている。
Orbi WiFi 6Eは2台セットで22万1400円、3台セットでは27万5400円とかなり高額だ。その分、同時接続台数は最大200台、通信も10Gインターネット、6GHzにも対応と今後も長く使える将来を見据えたスペックになっている。
正直、一般家庭にこれが必要かと言えば、大邸宅か、うちのような特殊なスマートホーム以外では必要なさそうだが、これまでより劇的に改善された点がいくつもあったのでそこは共有したい。
1つ目は自宅内でのファイル転送速度。筆者宅では外部からもアクセスできるネットワークにつながったハードドライブ(NAS)があるのだが、通信環境が遅くて持て余していた。パソコンに直接繋ぐ外部ハードドライブなどと違い、こうした保存媒体はWi-Fiでデータを飛ばすため低速。これまでは有線LANでつなぐことがほとんどだった。それがOrbi WiFi 6Eで無線接続したところ速度がおよそ2.5倍に。数百GBの動画ファイルのバックアップなども安定して行えるようになった。
2つ目は電波状態の大幅改善。筆者宅は古い団地をリノベーションしているのだが、コンクリートで囲まれている上に、鏡を多用しているので一部の部屋ですこぶる電波が悪かった。電波の悪さは速度に直結するため非常に重要。メッシュにしたことでこれも劇的に改善された。特に耐震のためコンクリートで囲まれた場所はどうしても電波が悪くなっていたが、この死角もメッシュWi-Fiにしたことによりなくなっている。
3つ目は他の機器による妨害での速度低下や回線切れが起きにくくなった点。例えば電子レンジを使うとBluetoothのイヤホンが途切れるように、同じ帯域で強い電波が発せられると通信環境が一時的に悪くなる。中継機を使った広範囲Wi-Fiでも同じで、親機からの電波が阻害されただけで通信が乱れるが、メッシュWi-Fiではこれが抑制される。
筆者宅は50m2とかなり狭小なのでメッシュWiFiはいらないものだと思い込んでいた。しかし自宅の状況によってはメッシュの方が良い時もあるので読者が選ぶ時の参考にしてほしい。
一方で電子機器がかなり少ない家ではOrbi 6Eはオーバースペックだ。これまでの家庭用ルーターはおすすめできないものの、NECのAterm WX11000T12なら実売3万円前後で36台まで接続できるなど十分と言える。
これから少しずつIoT機器も増やしていきたいという単身や夫婦で賃貸に住んでいる人はもう少し投資してNETGEARのNighthawk RAXE500がおすすめ。筆者も今までこれを使っていた。これならかなりハードな使い方でも対応できるし長く使える。
これから広い戸建住宅に住み替えようとか、自宅がSOHOオフィスを兼ねている人などは高くてもOrbiを選ぶのが良い。価格に見合った快適な通信を提供してくれるだろう。
この契約にも実は対応したルーターが必要になる。技術の進歩によってこれまでのルーターの価格では対応しきれないことが増えているのだ。
ただこの現状が一般に知らされているかといえばそうでもない。なぜならルーターにお金を使うメリットをわかっているユーザーが少ないからだ。訴求しても売上に直結しないため、意図的にではないものの我々があまり知ることのない事実になってしまっている。
同時接続台数もそうだ。メーカーによってはカタログからその項目自体が消え去っているところまであったりする。これにはさすがに悪意を感じた。
繰り返しになるが、安いルーターで対応できた時代は終わった。通信量の肥大化とともに、ルーターも最低3万円程度のものが必要になってきている。筆者はバッファローからエレコム、ASUS、I・Oデータ、NEC、NETGEARと一通り使ってきたが、贔屓目なしに最近はNETGEARに落ち着いていた。電子機器が少ない実家ではNECを使っている。この2社は個人的に通信の信頼性が高いと感じている。
通信は毎日当たり前に使うものなので、徐々に品質が落ちていても気づきにくい。毎日通電しているルーターが安価だと特に消耗が激しく、1~2年で機器が不調になっていることも多い。対して価格の高めな装置は部品の耐久性も高く長く使える上に、6GHz帯などに自分のスマホが対応すればさらに快適になる。見えづらいところだからこそ、一度立ち止まって考えてみたいものだ。
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
お金をかける必要がなかったルーター
これまでWi-Fi接続機器はパソコンやテレビだけだった。通信する容量もそこまで多くないため7000円~2万円程度の家庭用ルーターがあれば十分。そういう時代が長く続いてきた。しかし昨今、IoT家電が増え、それらが無線通信するようになり、テレビで見る動画もほとんどが4K、スマホのカメラで撮った写真も非常に大きいファイルサイズという状況になりつつある。こうなるとルーター選びにも新しい常識が求められる。
まず重要なのが同時接続台数。家庭用ルーターは十数台までのものがほとんどで、それを超えて接続しても一見つながるように見えるが、実は使っていないものから切断されている。「最近Wi-Fiの調子悪くない?」の原因は意外とこれだったりする。
動画の利用が増えてきたのも大きな変化だ。ストリーミングでの視聴はもとより、動画ファイル自体を移動させることも増えている。こうした大容量のファイルを扱うにも今までの家庭用ルーターでは不十分だ。
お金をかけなくてもある程度快適に使えていたルーターも、時代の変化とともに投資が必要になってきている。
狭い部屋でも場合によってはメッシュWi-Fiが必須
今回新たに使い始めたOrbi WiFi 6E(RBKE963-100JPS)はいわゆるメッシュWi-Fiの無線ルーターだ。メッシュWi-Fiは中継するのとは異なり、一台一台が親機と同等の性能を持っているため高額なものの快適な通信を提供してくれる。Orbi WiFi 6Eは2台セットで22万1400円、3台セットでは27万5400円とかなり高額だ。その分、同時接続台数は最大200台、通信も10Gインターネット、6GHzにも対応と今後も長く使える将来を見据えたスペックになっている。
正直、一般家庭にこれが必要かと言えば、大邸宅か、うちのような特殊なスマートホーム以外では必要なさそうだが、これまでより劇的に改善された点がいくつもあったのでそこは共有したい。
1つ目は自宅内でのファイル転送速度。筆者宅では外部からもアクセスできるネットワークにつながったハードドライブ(NAS)があるのだが、通信環境が遅くて持て余していた。パソコンに直接繋ぐ外部ハードドライブなどと違い、こうした保存媒体はWi-Fiでデータを飛ばすため低速。これまでは有線LANでつなぐことがほとんどだった。それがOrbi WiFi 6Eで無線接続したところ速度がおよそ2.5倍に。数百GBの動画ファイルのバックアップなども安定して行えるようになった。
2つ目は電波状態の大幅改善。筆者宅は古い団地をリノベーションしているのだが、コンクリートで囲まれている上に、鏡を多用しているので一部の部屋ですこぶる電波が悪かった。電波の悪さは速度に直結するため非常に重要。メッシュにしたことでこれも劇的に改善された。特に耐震のためコンクリートで囲まれた場所はどうしても電波が悪くなっていたが、この死角もメッシュWi-Fiにしたことによりなくなっている。
3つ目は他の機器による妨害での速度低下や回線切れが起きにくくなった点。例えば電子レンジを使うとBluetoothのイヤホンが途切れるように、同じ帯域で強い電波が発せられると通信環境が一時的に悪くなる。中継機を使った広範囲Wi-Fiでも同じで、親機からの電波が阻害されただけで通信が乱れるが、メッシュWi-Fiではこれが抑制される。
筆者宅は50m2とかなり狭小なのでメッシュWiFiはいらないものだと思い込んでいた。しかし自宅の状況によってはメッシュの方が良い時もあるので読者が選ぶ時の参考にしてほしい。
一方で電子機器がかなり少ない家ではOrbi 6Eはオーバースペックだ。これまでの家庭用ルーターはおすすめできないものの、NECのAterm WX11000T12なら実売3万円前後で36台まで接続できるなど十分と言える。
これから少しずつIoT機器も増やしていきたいという単身や夫婦で賃貸に住んでいる人はもう少し投資してNETGEARのNighthawk RAXE500がおすすめ。筆者も今までこれを使っていた。これならかなりハードな使い方でも対応できるし長く使える。
これから広い戸建住宅に住み替えようとか、自宅がSOHOオフィスを兼ねている人などは高くてもOrbiを選ぶのが良い。価格に見合った快適な通信を提供してくれるだろう。
高いルーターが必要だという事実は意図的に隠されている?
今回このルーターの導入に合わせて自宅のインターネット契約も見直した。これまでの「フレッツ光ネクスト」から「フレッツ光クロス(10G)」に変更したところ、素晴らしく高速になった。素人の妻が「インターネット速くなってる!」と体感できたほどである。この契約にも実は対応したルーターが必要になる。技術の進歩によってこれまでのルーターの価格では対応しきれないことが増えているのだ。
ただこの現状が一般に知らされているかといえばそうでもない。なぜならルーターにお金を使うメリットをわかっているユーザーが少ないからだ。訴求しても売上に直結しないため、意図的にではないものの我々があまり知ることのない事実になってしまっている。
同時接続台数もそうだ。メーカーによってはカタログからその項目自体が消え去っているところまであったりする。これにはさすがに悪意を感じた。
繰り返しになるが、安いルーターで対応できた時代は終わった。通信量の肥大化とともに、ルーターも最低3万円程度のものが必要になってきている。筆者はバッファローからエレコム、ASUS、I・Oデータ、NEC、NETGEARと一通り使ってきたが、贔屓目なしに最近はNETGEARに落ち着いていた。電子機器が少ない実家ではNECを使っている。この2社は個人的に通信の信頼性が高いと感じている。
通信は毎日当たり前に使うものなので、徐々に品質が落ちていても気づきにくい。毎日通電しているルーターが安価だと特に消耗が激しく、1~2年で機器が不調になっていることも多い。対して価格の高めな装置は部品の耐久性も高く長く使える上に、6GHz帯などに自分のスマホが対応すればさらに快適になる。見えづらいところだからこそ、一度立ち止まって考えてみたいものだ。
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)