アップルが新しいiPhoneやApple Watchなど、2022年秋の新製品を発表するイベントを米国クパティーノの本社に世界各国からジャーナリストを集めて開催した。そこで、iPhone 14 Proシリーズ、iPhone 14シリーズの特徴に触れながらイベントの様子を振り返りたい。
イベントに参加する全てのジャーナリストが前日に新型コロナウイルス感染症の検査を実施。さらに、各施設では万全の構えで衛生対策を計っていた。筆者自身も国際的なイベントに参加して、新製品のタッチ&トライの行列に並ぶ感覚を数年ぶりに味わい刺激を受けた。アップルが世界的に注目されるiPhoneの発表イベントを対面形式で行ったことによって、他の企業によるイベントや展示会の“リアル開催”にも弾みが付きそうだ。
一番の売れ筋は、やはり6.1インチのiPhone 14だろう。21年のフラグシップモデルであるiPhone 13 Proと同じ5コアGPUを搭載するA15 Bionicチップを載せて、動画やゲームなど高度なグラフィック処理を伴うコンテンツがスムーズに楽しめる。
20年発売のiPhone 12シリーズから2期続いた5.4インチの小型モデル「mini」シリーズが終了して、代わりに6.7インチのiPhone 14 Plusが導入された。価格も比較的手頃な主力シリーズに大画面機を投じることで、ゲームや動画視聴にも最適なiPhoneのさらなるイメージアップを図る。
どちらのモデルも内部の熱管理構造を刷新している。特に大型モデルのiPhone 14 Plusは長時間続けて使えるバッテリ駆動性能を実現したことからも人気を集めそうだ。6.7インチのiPhone 14 Pro Maxよりも、本体の質量が軽いことから大画面スマホを好むユーザーには買い換えるべき格好の選択肢だ。
■最新テクノロジーが簡単に使いこなせるProシリーズ
iPhone 14 Proシリーズは4nmプロセスルールにより製造される最新世代の「A16 Bionic」チップと、iPhoneでは初めてとなる48MPのメインカメラを搭載する。2機種ともにiPhone 14シリーズと画面サイズは同じだが、各所のスペックを“プロ仕様”に高めたフラグシップモデルだ。
だが、ユーザーは高度なテクノロジーの存在をいつも意識したり、使いこなしを覚える必要はない。カメラのシャッターボタンをタップするだけで、暗い場所を明るく色鮮やかな写真に残したり、手ブレしないビデオを誰でも簡単に記録できる。アップルもまた技術力をアピールしつつ、誰もが上質なユーザー体験を手軽に得られる上位モデルとしてProシリーズを位置付けている。
Proシリーズの特徴として特筆すべきポイントが一つある。従来フロントカメラを配置していたディスプレイ側トップの切り欠きの形状を変えて、「Dynamic Island(ダイナミック・アイランド)」と名付けた情報表示と操作エリアに進化させたことだ。
従来通りフロントカメラや顔認証用センサーなどをこのエリアにまとめて配置しているのだが、加えて重要なアラートや通知、アプリの動作ステータスなどをカラーアニメーションにより表示する。
Dynamic Islandがあることでディスプレイの切り欠きは残るものの、デザイン面でもウィークポイントとして指摘されてきた箇所に、実用性の高い機能を持たせた発想はとても斬新だと思う。iPhoneにとってライバルとなる製品の開発にも今後大きな影響を与えそうだ。
前者はiPhoneを携えて車をドライブ中、衝突事故に遭遇したことをiPhoneが自動的に検知。ユーザーが意識を喪失していたり、端末が手元にない場合に自動で緊急通報サービスに発信する。
米国とカナダでは、11月から衛星通信サービスを用いた緊急SOSが利用可能になる。ソフトウェアと緊密に連係する独自のパーツを組み合わせることにより、iPhoneのアンテナが衛星に直接つながるよう設計。携帯電話通信やWi-Fiが圏外になるエリアでも緊急通報のメッセージが送れる安心を届ける。
衛星通信サービスの利用については各国・地域における事前の環境整備に関わるため、日本での導入時期についてはまだ見えない。アップルではそう遠くない将来に米国・カナダ以外の地域でも同様のサービスが始まることも視野に入れて、汎用性の高い機能設計としているようだ。日本でも同様のサービスが立ち上がればiPhone 14シリーズが先行してこれに対応したスマートフォンとしてまた脚光を浴びることになるだろう。(フリーライター・山本敦)
アップルが今年2度めとなる大規模なイベントのリアル開催に踏み切った
アップルはコロナ禍の中、20年と21年のイベントを全てオンライン形式で実施してきた。22年6月の世界開発者会議「WWDC」から対面形式でのイベントを再開。さらに今回は、屋内施設にジャーナリストを集めて基調講演や製品のタッチ&トライを行った。イベントに参加する全てのジャーナリストが前日に新型コロナウイルス感染症の検査を実施。さらに、各施設では万全の構えで衛生対策を計っていた。筆者自身も国際的なイベントに参加して、新製品のタッチ&トライの行列に並ぶ感覚を数年ぶりに味わい刺激を受けた。アップルが世界的に注目されるiPhoneの発表イベントを対面形式で行ったことによって、他の企業によるイベントや展示会の“リアル開催”にも弾みが付きそうだ。
値上げは最小幅に 売れ筋は最も手頃なiPhone 14か
今回の発表会ではiPhone 14シリーズとその上位のiPhone 14 Proシリーズから四つの新モデルが発表された。日本でも一部機種から9月16日に発売する。ストレージの容量を追加すれば20万円を超える機種もあるが、14万9800円からと価格のベースラインは21年発売の「13シリーズ」に比べて最小幅の値上げにとどめている。一番の売れ筋は、やはり6.1インチのiPhone 14だろう。21年のフラグシップモデルであるiPhone 13 Proと同じ5コアGPUを搭載するA15 Bionicチップを載せて、動画やゲームなど高度なグラフィック処理を伴うコンテンツがスムーズに楽しめる。
20年発売のiPhone 12シリーズから2期続いた5.4インチの小型モデル「mini」シリーズが終了して、代わりに6.7インチのiPhone 14 Plusが導入された。価格も比較的手頃な主力シリーズに大画面機を投じることで、ゲームや動画視聴にも最適なiPhoneのさらなるイメージアップを図る。
どちらのモデルも内部の熱管理構造を刷新している。特に大型モデルのiPhone 14 Plusは長時間続けて使えるバッテリ駆動性能を実現したことからも人気を集めそうだ。6.7インチのiPhone 14 Pro Maxよりも、本体の質量が軽いことから大画面スマホを好むユーザーには買い換えるべき格好の選択肢だ。
■最新テクノロジーが簡単に使いこなせるProシリーズ
iPhone 14 Proシリーズは4nmプロセスルールにより製造される最新世代の「A16 Bionic」チップと、iPhoneでは初めてとなる48MPのメインカメラを搭載する。2機種ともにiPhone 14シリーズと画面サイズは同じだが、各所のスペックを“プロ仕様”に高めたフラグシップモデルだ。
だが、ユーザーは高度なテクノロジーの存在をいつも意識したり、使いこなしを覚える必要はない。カメラのシャッターボタンをタップするだけで、暗い場所を明るく色鮮やかな写真に残したり、手ブレしないビデオを誰でも簡単に記録できる。アップルもまた技術力をアピールしつつ、誰もが上質なユーザー体験を手軽に得られる上位モデルとしてProシリーズを位置付けている。
Proシリーズの特徴として特筆すべきポイントが一つある。従来フロントカメラを配置していたディスプレイ側トップの切り欠きの形状を変えて、「Dynamic Island(ダイナミック・アイランド)」と名付けた情報表示と操作エリアに進化させたことだ。
従来通りフロントカメラや顔認証用センサーなどをこのエリアにまとめて配置しているのだが、加えて重要なアラートや通知、アプリの動作ステータスなどをカラーアニメーションにより表示する。
Dynamic Islandがあることでディスプレイの切り欠きは残るものの、デザイン面でもウィークポイントとして指摘されてきた箇所に、実用性の高い機能を持たせた発想はとても斬新だと思う。iPhoneにとってライバルとなる製品の開発にも今後大きな影響を与えそうだ。
衛星通信サービスを用いた緊急SOSにいち早く対応
最後に、iPhone 14シリーズの全ラインアップに共通する新機能として、衝突事故検出と衛星サービスを経由する緊急SOSについて触れたい。前者はiPhoneを携えて車をドライブ中、衝突事故に遭遇したことをiPhoneが自動的に検知。ユーザーが意識を喪失していたり、端末が手元にない場合に自動で緊急通報サービスに発信する。
米国とカナダでは、11月から衛星通信サービスを用いた緊急SOSが利用可能になる。ソフトウェアと緊密に連係する独自のパーツを組み合わせることにより、iPhoneのアンテナが衛星に直接つながるよう設計。携帯電話通信やWi-Fiが圏外になるエリアでも緊急通報のメッセージが送れる安心を届ける。
衛星通信サービスの利用については各国・地域における事前の環境整備に関わるため、日本での導入時期についてはまだ見えない。アップルではそう遠くない将来に米国・カナダ以外の地域でも同様のサービスが始まることも視野に入れて、汎用性の高い機能設計としているようだ。日本でも同様のサービスが立ち上がればiPhone 14シリーズが先行してこれに対応したスマートフォンとしてまた脚光を浴びることになるだろう。(フリーライター・山本敦)