2022年にブレイクの予感! 指輪型決済デバイス「EVERING」を本音レビュー

レビュー

2022/02/08 18:30

 スマートフォン決済の流行やコロナ禍による非接触決済の広がりを受け、キャッシュレス決済はいまや身近な買い物のあり方として認知されてきている。クレジットカードやスマートフォンを使った方法が一般的だが、2022年に注目したいのは、決済の手間をより簡略化する新しい形態のデバイスだ。
 

 それがキャッシュレス機能搭載スマートリング「EVERING(エブリング)」。さまざまなメディアで取り上げられ話題になったので、名前を聞いたことがある人は多いかもしれない。21年5月の先行予約では3000個の商品が即日完売。9月には一般販売がスタートし、11月には新色であるホワイトがリリースされた。今回は記者が実際に設定から利用まで行い、どこが便利だったが、何に気をつけるべきか、紹介したい。
 
キャッシュレス機能搭載スマートリング「EVERING(エブリング)」。新たな決済手段として注目されている

知れば知るほどよくできた設計 特にうれしい“充電不要”

 まずは簡単にEVERINGの仕組みを説明しておきたい。EVERINGはVisaのタッチ決済を採用した決済デバイスで、Visaのタッチ決済に対応する店舗で使える。クレジットカードやスマホをレジに設置された非接触決済リーダーにかざすのと同じように、EVERINGをかざせば決済が完了する。

 実物は非常にシンプルで、飾りやボタンは一切ない。指輪としてはややごつめだが、ファッションアイテムとしても悪目立ちしない。表面の光沢も高級感があり、どんな人でも受け入れやすいだろうと感じた。重量は軽く、普通の指輪と変わらない着け心地だ。
 
指輪としても満足度の高いデザイン

 素材は義歯にも用いられるジルコニアセラミックで、低刺激・高耐久であるだけでなく、5気圧に耐える防水機能を実現している。手洗いや入浴の際に取り外す必要はなく、決済時以外は通常の指輪と同じように考えて問題ない。

 デジタルデバイスなので、当然充電が必要と思っている人もいるだろう。筆者も当初は勘違いしていたのだが、EVERINGは決済時にリーダーからの電波にICチップが反応する仕組みを採用しているため、充電せずに利用できる。スマホやスマートウォッチなど、チャージすべきデバイスがありふれた現代人にとって、これは大きなメリットだ。
 
充電するデバイスが増えないのもうれしいポイント

Visa以外のカードでもOK 安心のセキュリティ設計も

 EVERINGを利用するためには、まずアプリで本体をアクティベーションする必要がある。アプリでメールアドレスとパスワードを設定、電話番号を登録。その後、パッケージのコードを読み込ませるか、出荷完了メールに記載されたアクティベーションコードを入力する。

 そして、重要なクレジットカード情報の登録。EVERINGはVisaのタッチ決済を採用しているが、クレジットカードは必ずしもVisaである必要はない。普段から自分が使用しているクレジットカードを登録するとよいだろう。

 決済はクレジットカードから直接引き落とされるのではなく、チャージ方式を採用している。1000円~3万円まで1000円単位でチャージ可能。下限金額を下回ったときに任意の金額を自動でチャージするオートチャージ機能も備えている。入金されている金額はアプリで確認することができる。
 
EVERINGには1000円~3万円まで1000円単位でチャージできる

 もしEVERINGを落としたとしても、オートチャージ機能さえOFFならチャージされた金額以上が使われる心配はないので安心だ。またアプリからEVERINGの機能を即座に停止することも可能。新しいリングとの連携もアプリから簡単に行うことができる。
 
アプリから即座に機能を停止することができる。新しいリングに紐づけるのも簡単

財布もスマホも出さずにスムーズに決済、癖になる使い心地

 設定が終わってしまえば、ユーザーがすることは、レジでEVERINGを使って決済するだけだ。気をつけたいのは2点。まずはレジで何と言えばよいか。「EVERINGで」と言ってもおそらくレジでは伝わらない。「クレジットカードのタッチ決済で」もしくは「Visaのタッチ決済で」と伝えるようにしよう。

 非接触決済リーダーにEVERINGを近づけるときも少しコツがいる。ただEVERINGを近づけただけではうまく反応しないことがある。握りこぶしを作るようにしてEVERINGがリーダーに対して平行になるようにするとスムーズに決済できる。どの指にはめて使ってもよいが、中指や人差し指だと角度を保ちやすいだろう。
 
決済時はEVERINGの角度をリーダーに対して平行になるように意識しよう

 1度の決済体験だけも新鮮だが、回数を重ねるとその使い心地が癖になってくる。なんといっても財布やスマホを取り出さずに済むのが良い。自分のようによく落とし物をするタイプにとっては、肌身離さず持ち歩けるのも頼もしい限りだ。まだ当分先のことだと思うが、駅の改札などでも使えるようになれば、さらにメリットを感じることができそうだ。

新しいプロダクトゆえの注意点も

 利便性の高いプロダクトだが、いくつか注意点もある。まずは購入時のサイズ選択だ。記者は公式ホームページの計測シートを使ってサイズを調べて注文したのだが、届いた商品をはめると想像以上にぶかぶかで注文し直すことになった。一度までならサイズ交換に対応してくれるのだが、回収費用と新しいEVERINGの送料が計1320円かかる。できるなら市販のリングサイザーを使うか、店頭でEVERINGをはめて正確なサイズを確認することをおすすめする。
 
もし公式ホームページの計測シートを使うなら、プリントアウトするときに倍率が100%になっているか確認しよう。標準で設定されている「合わせる」だと誤ったサイズで測定されるので注意
 
 また、交換後にリングを使用しようとして、決済がなかなか通らずに焦った。これは自分のミスなのだが、最初に届いたリングのアクティベーションコードを新たに届いたリングで使用していたため、決済機能が無効になっていた。あまり多いケースではないかもしれないが、もし交換した場合はアクティベーションコードも変更になっていることを覚えておいてほしい。

 スタイリッシュな決済のためだけに約2万円という価格が高すぎるという声もあるだろう。これには記者も同意する。同価格帯でより多彩な機能を搭載するスマートウォッチなどは多くあるからだ。しかし、使っているうちに“指輪のようなデジタルデバイス”から“決済ができる指輪”へと認識が変わっていき、指輪であれば2万円もありかなと思えるようになった。また、現在は決済だけにしか使えないが、今後はカギやチケットなどの機能も実装する予定だという。2万円でも多くの人が納得するアップデートが実行されれば、一気に注目も高まるはずだ。(BCN・大蔵大輔)