スマホで通話料3分8円、海外からでも、ひかり電話のポテンシャルに驚いた

レビュー

2021/10/31 18:30

 電話を刷新した。いわゆる家電。自宅の固定電話の話だ。これまでは、NTTのISDN回線とアナログ回線の2回線3番号体制だった。ISDN回線には番号を2つぶら下げ、アナログ回線には3つ目の電話番号。同時にインターネット接続用のADSLの回線としても使っていた。しかし、利用していたプロバイダーがADSLサービスを終了させるのに伴い、やむなくネット回線を光に変更した。無事光回線が開通したので、金食い虫だった家電関連を一気にひかり電話に移行。コストダウンを図ることにした。
 

ひかり電話専用ルータ「ホームゲートウェイ」には、アナログ電話接続用のモジュラージャックが2つ、ONUに接続するインターネット側のLAN端子(WAN)が1つ、LAN端子が4つある

 電話回線を2本引き、なおかつ片方がISDNという特殊な環境だったため、オプションも含めた月額基本料は高かった。2回線、3つの電話番号の合計で5712円。ただ、実際のところ家電は現在ほとんど使っていない。この際すべて廃止、ということも考えたが、固定電話特有の、03から始まる、いわゆる「0AB~J番号」には愛着がある。今回は3つの番号のうち1つを廃止し、2つをひかり電話に移行。1回線に2番号を収容することにした。インターネット用光回線の付加サービス扱いだ。ひかり電話の基本料は月額500円(税抜き、以下同)。オプションをいくつかつけ、電話関連の月額基本料は総額1000円。なんと一気に5分の1以下になった。NTTの加入電話2回線を利用しつつADSLでネット接続をしていたころの基本料総額は8187円。インターネット光回線の基本料とひかり電話を合わせた基本料総額は4980円。家電とネットを合わせた通信基本料総額では3000円以上も安くなった。仮にアナログ1回線だけを移行した場合で試算すると、やはり光回線の方が500円ほどだが安くなる計算だ。

 通話料も安くなった。今回採用した「ビッグローブ光電話」の場合、固定電話にかけるなら日本全国どこにかけても3分8円で済む。従来の回線交換式の固定電話は遠距離通話が高い。市内通話は3分8.5円だが、例えば60kmを超えると45秒で40円。一般的な携帯電話の通話料より高くなってしまう。ひかり電話はパケット交換式のIP電話の一種。距離の制約がない。携帯にかけると3分48円と高くはなるが、それでも一般的な携帯同士の通話料3分120円の半額以下だ。ひかり電話に限ったことではないが、固定電話でありがたいのは無料通話が普通に利用できること。問い合わせ窓口などで使われている0120から始まる無料通話だが、携帯からだと利用できないことが多い。オペレーターにつながるまで延々と待たされた挙げ句、その間の携帯通話料が自分持ちとなるとげんなりする。多少待たされても通話料無料ならまあ何とか我慢できるというものだ。
 
ひかり電話専用ルータ「ホームゲートウェイ」。NTTの「RT-500KI」に専用Wi-Fi拡張カード
『SC-40NE「2」』を装着して使用

 家電の刷新ついでに、電話機も替えることにした。ただし、通常の有線電話機やコードレスフォンではなく、スマートフォン(スマホ)で家電が使えるようにしたかった。専用機器が販売されていないか調べてみたところ、スマホdeひかり電話というシステムを発見した。新たに機器を購入する必要はなく、アプリを入れるだけで、スマホを家電の電話機として使えるというのだ。願ったりかなったり。早速スマホdeひかり電話対応のスマホアプリ「AGEphone」をインストールして使ってみた。ちょっとした設定が必要だが、IDやパスワードなどは自動で入力され、あっという間に完了。スマホを家電の電話機として使えるようになった。目的達成だ。もうコードレスホンを買う必要はない。スマホdeひかり電話は、自宅に設置したひかり電話の専用ルータ「ホームゲートウェイ」、略してHGWの機能。今回はNTTの「RT-500KI」と専用Wi-Fi拡張カード『SC-40NE「2」』を使って実現した。

 しかし、この話には続きがある。なんとこのスマホdeひかり電話、外出先からでも使えるのだ。「外から家電」とは不思議な話だが、IP電話だからこそできる芸当。インターネットにつながりさえすれば、極端な話、海外からでも家電での発着信が可能だ。自宅内ではスマホをHGWにWi-Fi経由でつなぐことで家電の電話機にできる。外出先からの家電利用はこの拡張版だ。HGWにはVPN機能がある。VPN(Virtual Private Network)とは、仮想の専用線のこと。インターネット上でより安全な通信を実現するための仕組みだ。外出先のスマホとHGWをVPNで接続することで、外からでも自宅の固定電話の発着信ができるようになる。

 VPN関連の設定はちょっとややこしい。外から接続するためのグローバルIPアドレスの指定が必要だからだ。しかもグローバルIPアドレスは機器の再起動などでコロコロ変わる。そのたびに新たなアドレスを調べてスマホ側の設定を変えなければならない。外出先からアドレスを調べるのはかなり大変だ。しかしHGWには、アドレスが変わる度に指定したメールアドレスに新しいアドレスを自動通知することができる。こうした機能を駆使して少し頑張れば、素人でも、外から家電を仕込むことは可能だ。
 
「スマホdeひかり電話」を実現するアプリ「AGEphone」。インターネット回線でVPN接続したスマホを使って外出先から家電で発着信できる

 外から家電のメリットはずばり通話料だ。スマホをインターネットで経由でHGWにVPN接続してさえいれば、外出先から日本国中の固定電話にかけて3分8円。スマホにかけても3分54円。0120のフリーダイヤルも外出先から無料で利用できる。海外の旅行先から国内の固定電話にかけても3分8円ですむ。もちろん着信も可能だ。さらに、HGWに内線としてぶら下げているスマホ同士なら、内線扱いになるため、内線番号を使って無料で通話できる。外出先から家電に無料で電話できる。さらに内線登録しているスマホ同士が両方外出先であっても大丈夫だ。ちなみに、相手に通知される電話番号は固定電話の番号になる。ちょっとしたアリバイ工作にも利用できるかもしれない。

 最近では、親戚や友達との電話をLINEやSkypeの通話機能を使って無料で済ませることも増えた。とはいえ、問い合わせの電話や、予約の電話など、まだまだ通常の電話番号への通話が必要な場合も多い。もしインターネット接続のために光回線を利用しているなら、ひかり電話を応用したスマホdeひかり電話の活用はおすすめだ。(BCN・道越一郎)