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流行りの音声コンテンツ制作にぴったり! ミックス、録音からポン出しまで1台で完結するMixcast4が便利すぎた

レビュー

2021/10/09 11:00

【木村ヒデノリのTech Magic #075】 オンラインが主流になり、自社の発表を収録して配信することが多くなった。一昨年は爆発的にYouTubeなどの動画メディアが流行ったが、今年に入ってながら聞きできるオーディオコンテンツの人気も高まっている。映像を定期的に収録するのはハードルが高いが、音声だけなら簡単なことも要因の一つだろう。
 

 始めた当初は音の良し悪しくらいしか気にならないが、回を重ねると効果音やエコー、BGMなどより番組のような作りにしたい欲求も出てくる。今回紹介するTASCAM Mixcast4はそうしたニーズを1台で叶えてくれる。収録中にBGMや効果音、エフェクトまで入れられればそのまま公開でき、編集という面倒なステップを省ける点でもすぐれている。筆者も生配信で使ってみてとても便利だったので紹介したい。
 
音声コンテンツに特化したオーディオデバイス「Mixcast4」
 
最大4名までの音声をBGMなど含めリアルタイム収録することができる
 
設定も5インチのタッチディスプレイでスムーズに行うことができる

広がる音声コンテンツ市場

 そもそも米国では「Podcast」と呼ばれる音声コンテンツがかなり昔から存
在した。日本ではそこまで流行していなかったが、ここ数年で利用者が大きく伸びている。アップルのiTunesではPodcastをiPodへ取り込む仕組みがあったため、アップルのサービスだと思っている方も多いと思うが実は違う。Podcastでは、音声をアップロードする場所は定められておらず、自前のサーバーでも、どこかの会社が提供するサーバーでも構わない。アップロードされた音源(正確には動画も)をRSSで公開する、という方式がPodcastと呼ばれているのだ。
 
資料は米国での推移だが、連動して日本でも市場規模が大きくなってきている

 RSSには新しく追加されたコンテンツのURLが登録されていくので、たとえ自分のウェブサイト上に音声を公開していたとしても、一度RSSを登録すれば自動的に最新のコンテンツがダウンロードされる。複数のPodcastを購読しているときも、定期的に公開ページを訪れなくて良いので便利だ。

 また、どこかの会社のサービスに依存しないという点も魅力となっている。どこかの会社が提供しているサービスだと、そのサービスの衰退によって自分のコンテンツが聴けない状況になってしまうリスクがあるが、Podcastならそれを防ぐ方法が用意されているわけだ。

 現在ではSpotifyをはじめ、手軽に無料でPodcastをはじめられるサービスが充実。さらに1度アップロードすれば複数の媒体(例えば、Anchor by Spotifyに配信したコンテンツは全く同じ状態でApple PodcastsやGoogle Podcastsでも視聴できる)での展開が可能になるので、ユーザー層が広がりやすい面でも優れている。

まずははじめてみたい音声配信、継続視聴で会社に愛着

 ここまでの説明を聞くとすぐにでもはじめてみたくなるのではないだろうか。となるとまず必要なのはマイクだ。マイクについてはコスパがすばらしいBluemicrophone製のものを以前紹介しているので興味のある方はぜひ読んでみてほしい(https://www.bcnretail.com/news/detail/20200814_186006.html)。本来ならマイクだけ手に入れても「録音するにはどうするのか?」「パソコンへのつなげ方は?」「収録後の編集はどうすれば?」などさまざまなハードルが存在するが、これらを一気に解決してくれるのがMixcast4だ。
 
ワンストップで全てをまかなってくれる音声コンテンツ制作に特化した製品

 Mixcast4では最大4人まで、その場でマイクをつなげて収録できると同時に、BGMや効果音などもリアルタイムで録音することが可能。またスマートフォンを接続することで、1人だけ遠隔から参加することができるなど、昨今の状況に合わせた収録もできるすばらしい機能を持っている。

 Mixcast4を利用して会社の有志のメンバーで定期的にコンテンツを配信できれば、当然リスナーとの距離は近くなっていく。対面での営業が難しくなってきている昨今だが、これを逆手にとってリスナーを増やすという方向に舵を切れば、結果的に少ない人数で多くの見込み客にアプローチできる可能性もある。

 今まで手軽とはいえそこそこの知識や機材が必要だった音声配信だが、Mixcast4を導入すれば少しの努力でこれが可能になる。価格は7万円台と安くはないが、他社の同等製品と比べてもかなり安く、またワンストップで可能になるパフォーマンスを考えても”買い”ではないだろうか。
 
同様のコンセプトであるRODE CASTER PROよりも安価。大型のタッチパネルなど、UIも使いやすい印象

収録に特化した機能や仕様が充実、プロ並みの配信が可能に

 収録に特化した製品であるMixcast4にはかゆいところに手が届く機能が多く搭載されている。例えば、使うだけでプロっぽくなる「リバーブ機能」。パッドのボタンを押している間だけ、自分の声が響くようになる機能はタイトルコールなどで重宝する。

 また、録音中にマークポイントを登録できる機能も便利だ。Mixcast4には専用の編集ソフトがバンドルされており、マークをつけたポイントに即座に移動できるようになっている。ここはさすがにNGだから、といった部分が出てしまったらマークしておけば後からカットしやすい。できるなら一発録りで済ませたいが、万が一編集が必要になった際にもシームレスに連携してくれるソフトウェアがあるのは助かる。
 
専用の編集ソフトも同梱、必要な場合にはカットしたりBGMを差し替えたりすることも

 他にも地味な点だが、ヘッドフォン用の端子が4系統あり、それぞれのボリューム調整が独立してできるのは特化した製品ならではだ。通常の録音機器であればモニター出力は1系統しかないので、多人数で録音はできてもモニタリングがしづらいケースがほとんどなので、ここのポイントは高いと言える。さらに、トークバック機能も備わっており、ボタンを押すとMic1が収録されない状態で2~4のユーザーのヘッドフォンに指示を送れる。こうした細かい部分もリアルタイムで収録する上では非常に便利なので挙げておきたい。
 
4系統モニター出力があるデバイスはめずらしい
 
トークバックもできるというかなり収録に特化した仕様

 また、前述した通りゲストを呼んで収録できる仕様も非常にすぐれている。これにはBluetooth、USB双方が対応しているため、Zoomなどで招待し顔を見ながらの音声収録も可能。ゲストの音声は一度機器に取り込まれるが、その音声のみゲスト側へは返さない「ミックスマイナス機能」があるため、エコー(ハウリング)が発生しない。さらにゲストも効果音など全てがミックスされた状態でモニタリングできるため、その場にいるかのように収録ができるのは特筆すべき点だろう。

 やや高額な製品ではあるが、実際に使ってみてその実用性に舌を巻いた。収録だけでなく生配信などにも使え、個人用途にもおすすめなのでクリスマスプレゼントの候補に入れておくのも良いのではないだろうか。(ROSETTA・木村ヒデノリ)


■Profile

木村ヒデノリ 
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)