スマホ・Macにも対応! 電子ペーパー「QUADERNO」の上手な使い方レポート
今回は富士通クライアントコンピューティングから発売中の電子ペーパー「QUADERNO(クアデルノ)」をレビューしよう。従来から対応していたWindows PCに加えて、いよいよ19年夏にはAndroid/iOSのモバイルプラットフォームとmacOSもサポート。使い勝手が大幅に向上した。全国の一部家電量販店でも買えるようになったこの機会に、その上手な使いこなし方をあらためて掘り下げてみたい。
クアデルノは本体に読み・書きができる電子ペーパーを搭載したデジタルツールだ。筆記には専用のスタイラスペンを使うが、その書き心地は紙とインクペンの組み合わせにとてもよく似ていて、多機能のデジタルデバイスというよりも、PCと連携する文具のような感覚で手軽に扱えるところが魅力だ。タブレットのスタイラスペンによる筆記が苦手という方も、クアデルノの快適な書き心地は一度試してみる価値があると思う。
画面のサイズがA4相当/13.3型の「FMV-DPP03(P03)」と画面A5相当/10.3型の「FMV-DPP04(P04)」二つの機種が発売されており、直販サイト価格(税込)は本稿執筆時点でP03が6万9800円、P04が4万9800円。
クアデルノには16階調グレースケール表示に対応するEInk社の電子ペーパー「Carta」が搭載されている。電子ペーパーの画面には白色の粒子と黒色の顔料を封入したマイクロカプセルが敷き詰められており、専用のスタイラスペンでなぞると顔料が反応して文字や図形が形を成すという仕組みだ。画面には静電容量式のタッチパネルが内蔵されていて、各メニューは専用スタイラスペンだけでなく指によるタッチ操作にも反応する。
電子ペーパーというデバイス自体は珍しいものではなく、最近はこれを採用する電子書籍リーダーやスマートフォンなども多くある。クアデルノが魅力的なところは、表示するだけでなく「書く」こともできる電子ペーパーであるということだ。
スタイラスペンの先端に搭載するボタンを押し込むと、筆記に使っていたペンが「消しゴム」に代わりになり、描いた文字や線の筆跡をなぞると消去できる。紙やインクを無駄に消費しないし、消しゴムのゴミもたまらない。スマートに思いついたアイデアを自由に書いて消せる。
重量はA4のP03が約350g、A5のP04は約251gと非常に軽い。数値だとイメージしにくいかもしれないが、厚手のシステム手帳や雑誌を手に持った感覚に比べるとはるかに軽い。特にA5サイズのモデルであれば女性のビジネスパーソンも片手で長時間持ちながら使っても苦にならないと思う。
手書きのドキュメントはすぐにPDFファイルとして自動保存される。PCやタブレットのように意識的にファイルを保存する操作が要らないところもうれしい。クアデルノの内蔵メモリーには約1万件(1ファイルを約1MBとした場合)の手書きのPDFファイルが保存できる。PCなどで作成したPDFドキュメントをクアデルノに読み込めるので、例えば出張時に紙の資料をスキャニングしてクアデルノに保存しておけば旅の荷物を軽くできる。
これまではクアデルノからPDFを書き出したり、読み込むファイル管理の作業はWindows PCでしかできなかったのだが、8月1日からAndroid/iOSデバイスで、8月下旬移行にはMacでも可能になる。筆者もアップデート後にiPhoneに「QUADERNO Mobile」アプリをダウンロードして試してみた。クアデルノにWi-Fiでダイレクトにつないで、PDFを読み出してメールでPCに送信したり、ブックやドキュメント管理用のモバイルアプリに保存して必要な時に参照できるので便利だ。
PCとの同期には「Digital Paper PC」アプリケーションを使う。クアデルノの内蔵ストレージにためこんだPDFファイルはPCにバックアップしておけば安心だ。またファイルに名前を付けたり、後から検索をする時にもPCアプリケーションが活躍する。
クアデルノで新規にドキュメントを作成する際には、大学ノート、方眼用紙、ミーティングシート、白無地のキャンパスなどいくつかの「テンプレート」が選べる。公式サイトでフリーコンテンツとして提供されていて、2019年版のスケジュールや五線譜にタブ譜、日記、400字詰原稿用紙(縦書き・横書き)などをダウンロードすることもできる。
「請求書」や「発注書」など、よく使う書類のフォーマットを自作してPDF化してから、クアデルノにテンプレートとして読み込めば繰り返し使えることも覚えておきたい。
クアデルノの電子ペーパーはカラー表示には対応していないが、ファイルに記録されるデータの文字色は変えられる。画面を指でタップすると右上に表示されるペンの形をしたアイコンから青と赤の筆記色を選ぶ仕様だ。
スタイラスペンは細く繊細な文字の筆記に向いている。一方でベタ面の筆記はあまり得意ではない。設定からペンの太さは5段階に変えられるが、基本的にクアデルノは文字や図形、ベタ塗りをしないで表現できるイラストを書く用途にフィットしたデバイスと言えるだろう。ただ、スタイラスペンのペン先は交換式なので、将来は太い線やベタ塗りができる、平筆のような交換ペン先なども発売されれば面白そうだ。
また、今後アップデートなどに対応できるのであれば、PDF形式以外にもWordのDoc形式やTxt形式のファイル、JPEG画像なども読み込めるようになってほしい。そうすれば、ドキュメントの閲覧や校正にも幅広く使えるツールになるはずだ。
筆者の場合、製品のレビューなど原稿を書く前に、アイデアの草稿をまとめるために紙のノートにペンで手書きしていた。クアデルノがあればアイデア出しの作業がスピードアップできそうだ。PCはMacBookを使っているので、今回のアップデートによる対応は大歓迎だ。おそらくMacをメインPCとして使っている多くのクリエーターにとっても、今回のクアデルノのMac対応は吉報になるだろう。発売当初に比べると直販サイト価格がだいぶ手頃になったので、ビジネスパーソンに限らず、学生にも便利な電子ペーパーの魅力を体験してほしい。(フリーライター・山本 敦)
クアデルノは本体に読み・書きができる電子ペーパーを搭載したデジタルツールだ。筆記には専用のスタイラスペンを使うが、その書き心地は紙とインクペンの組み合わせにとてもよく似ていて、多機能のデジタルデバイスというよりも、PCと連携する文具のような感覚で手軽に扱えるところが魅力だ。タブレットのスタイラスペンによる筆記が苦手という方も、クアデルノの快適な書き心地は一度試してみる価値があると思う。
画面のサイズがA4相当/13.3型の「FMV-DPP03(P03)」と画面A5相当/10.3型の「FMV-DPP04(P04)」二つの機種が発売されており、直販サイト価格(税込)は本稿執筆時点でP03が6万9800円、P04が4万9800円。
クアデルノには16階調グレースケール表示に対応するEInk社の電子ペーパー「Carta」が搭載されている。電子ペーパーの画面には白色の粒子と黒色の顔料を封入したマイクロカプセルが敷き詰められており、専用のスタイラスペンでなぞると顔料が反応して文字や図形が形を成すという仕組みだ。画面には静電容量式のタッチパネルが内蔵されていて、各メニューは専用スタイラスペンだけでなく指によるタッチ操作にも反応する。
電子ペーパーというデバイス自体は珍しいものではなく、最近はこれを採用する電子書籍リーダーやスマートフォンなども多くある。クアデルノが魅力的なところは、表示するだけでなく「書く」こともできる電子ペーパーであるということだ。
スタイラスペンの先端に搭載するボタンを押し込むと、筆記に使っていたペンが「消しゴム」に代わりになり、描いた文字や線の筆跡をなぞると消去できる。紙やインクを無駄に消費しないし、消しゴムのゴミもたまらない。スマートに思いついたアイデアを自由に書いて消せる。
重量はA4のP03が約350g、A5のP04は約251gと非常に軽い。数値だとイメージしにくいかもしれないが、厚手のシステム手帳や雑誌を手に持った感覚に比べるとはるかに軽い。特にA5サイズのモデルであれば女性のビジネスパーソンも片手で長時間持ちながら使っても苦にならないと思う。
手書きのドキュメントはすぐにPDFファイルとして自動保存される。PCやタブレットのように意識的にファイルを保存する操作が要らないところもうれしい。クアデルノの内蔵メモリーには約1万件(1ファイルを約1MBとした場合)の手書きのPDFファイルが保存できる。PCなどで作成したPDFドキュメントをクアデルノに読み込めるので、例えば出張時に紙の資料をスキャニングしてクアデルノに保存しておけば旅の荷物を軽くできる。
これまではクアデルノからPDFを書き出したり、読み込むファイル管理の作業はWindows PCでしかできなかったのだが、8月1日からAndroid/iOSデバイスで、8月下旬移行にはMacでも可能になる。筆者もアップデート後にiPhoneに「QUADERNO Mobile」アプリをダウンロードして試してみた。クアデルノにWi-Fiでダイレクトにつないで、PDFを読み出してメールでPCに送信したり、ブックやドキュメント管理用のモバイルアプリに保存して必要な時に参照できるので便利だ。
PCとの同期には「Digital Paper PC」アプリケーションを使う。クアデルノの内蔵ストレージにためこんだPDFファイルはPCにバックアップしておけば安心だ。またファイルに名前を付けたり、後から検索をする時にもPCアプリケーションが活躍する。
クアデルノで新規にドキュメントを作成する際には、大学ノート、方眼用紙、ミーティングシート、白無地のキャンパスなどいくつかの「テンプレート」が選べる。公式サイトでフリーコンテンツとして提供されていて、2019年版のスケジュールや五線譜にタブ譜、日記、400字詰原稿用紙(縦書き・横書き)などをダウンロードすることもできる。
「請求書」や「発注書」など、よく使う書類のフォーマットを自作してPDF化してから、クアデルノにテンプレートとして読み込めば繰り返し使えることも覚えておきたい。
クアデルノの電子ペーパーはカラー表示には対応していないが、ファイルに記録されるデータの文字色は変えられる。画面を指でタップすると右上に表示されるペンの形をしたアイコンから青と赤の筆記色を選ぶ仕様だ。
スタイラスペンは細く繊細な文字の筆記に向いている。一方でベタ面の筆記はあまり得意ではない。設定からペンの太さは5段階に変えられるが、基本的にクアデルノは文字や図形、ベタ塗りをしないで表現できるイラストを書く用途にフィットしたデバイスと言えるだろう。ただ、スタイラスペンのペン先は交換式なので、将来は太い線やベタ塗りができる、平筆のような交換ペン先なども発売されれば面白そうだ。
また、今後アップデートなどに対応できるのであれば、PDF形式以外にもWordのDoc形式やTxt形式のファイル、JPEG画像なども読み込めるようになってほしい。そうすれば、ドキュメントの閲覧や校正にも幅広く使えるツールになるはずだ。
筆者の場合、製品のレビューなど原稿を書く前に、アイデアの草稿をまとめるために紙のノートにペンで手書きしていた。クアデルノがあればアイデア出しの作業がスピードアップできそうだ。PCはMacBookを使っているので、今回のアップデートによる対応は大歓迎だ。おそらくMacをメインPCとして使っている多くのクリエーターにとっても、今回のクアデルノのMac対応は吉報になるだろう。発売当初に比べると直販サイト価格がだいぶ手頃になったので、ビジネスパーソンに限らず、学生にも便利な電子ペーパーの魅力を体験してほしい。(フリーライター・山本 敦)