セキュリティソフトの選び方(2016年版)、重要項目で機能を比較

特集

2016/06/17 17:55

 セキュリティソフトをインストールして、セキュリティ対策をするべき端末はもはやPCだけではない。近年、タブレットやスマートフォン(スマホ)などモバイル端末でインターネットに接続する機会は急増。デジタル環境の変化に伴い、セキュリティソフトの選び方も変わりつつある。本当に必要な機能は何か、選択基準を定めて比較・検討しないと、ニーズを満たすソフトを見極めることはできない。


 

 多機能化しているセキュリティソフトの選択基準を判断するのは難しい。「BCNランキング」編集部は、デジタルの最新事情に合わせた購入時にチェックしたい最重要項目をピックアップ。基本性能に定評がある3本のソフト(「マカフィー リブセーフ」「ノートン セキュリティ プレミアム」「ウイルスバスター クラウド 10」、いずれも1年版)を比較した。
 

左からマカフィーの「マカフィー リブセーフ」、ノートンの「ノートン セキュリティ プレミアム」、
トレンドマイクロの「ウイルスバスター クラウド 10」
 

最重要ポイントは「インストール可能台数」

 比較する3本はいずれもマルチデバイス対応。PC、タブレット、スマホのセキュリティ機能をしっかりと備えている。となると、比較するべきは「1本のソフトで何台のデジタルデバイスを保護できるのか」ということだ。

 この項目で特出していたのが「マカフィー リブセーフ」。1本でインストールできるデバイスは無制限。個人で多数の端末を所有しているユーザーはもちろん、家族全員が所有するすべての端末をフォローすることができる。例えば、3人家族ならそれぞれがオーナーのPCとスマホ(計6台)を1本のセキュリティソフトでまかなえる。
 

3人家族の使用例:「マカフィー リブセーフ」の場合

 次点が「ノートン セキュリティ プレミアム」の5台。個人で利用するなら十分だが、家族全員分となるとカバーしきれない可能性がある。
 

3人家族の使用例:「ノートン セキュリティ プレミアム」の場合

 1本でインストールできるデバイス数が3台と最も少なかったのが、「ウイルスバスター クラウド 10」。3人家族だとそれぞれが所有するデジタルデバイスを1台ずつ、という利用イメージだ。
 

3人家族の使用例:「ウイルスバスター クラウド 10」の場合
 

最新のウェブ脅威に対応、ID/パスワード管理機能の差は?

 ウェブサイトにログインするためのIDやパスワードの保護は、最新のウェブ脅威から守るために欠かせない。個人情報はもちろん、ネットバンキングを狙う狡猾な手段によって金銭が被害を受ける事例も加速的に増加している。こうしたトレンドを踏まえて、各セキュリティソフトは「ID/パスワード管理機能」を標準装備するようになっている。

 例えば、「ウイルスバスター クラウド 10」は複数のウェブサイトのログインを一つのマスターパスワードで管理する「パスワードマネージャー」が付属。無料で5サイト、月額154円(税込)のプランなら無制限で登録できる。

 「ノートン セキュリティ プレミアム」も同様にマスターパスワードで管理する「ノートンIDセーフ」を搭載。無料で無制限のサイトを登録することが可能だ

 一歩先を行っているのが「マカフィー リブセーフ」の「True Key(トゥルーキー)」。上記の2つはマスターパスワードのみで管理するが、顔情報による生体認証で安全性を確保する。マスターパスワードが漏洩すれば、すべての登録サイトが丸裸にされるリスクがあるが、生体認証なら個人固有の要素ゆえに強固なセキュリティを実現する。家族の顔を5人まで登録できる「True Key」は、それぞれ2000サイト登録できる。
 

モバイル端末での使い心地は?

 常時携帯しているモバイル端末では、セキュリティ性能だけでなく、快適性を高める機能のニーズが高い。例えば、バッテリ節約。優先度の低い機能やアプリのオフや、画面の明るさ調整を自動で切り替えることでバッテリ消費を抑制してくれる。

 バッテリ節約を備えるのは「マカフィー リブセーフ」と「ウイルスバスター クラウド 10」。どちらもAndroid端末のみの対応だが、所有者ならマストで利用したい機能だ。

 「マカフィー リブセーフ」はバッテリ節約だけでなく、モバイル端末に登録してある連絡先のバックアップ/復元や、端末の位置検索の機能も搭載。ウイルスやマルウェア対策はもちろん、紛失対策にも有効だ。こちらはiOS/Androidともに対応している。「マカフィー リブセーフ」だけのメリットとしてもう一点挙げられるのが、先に述べた生体認証機能。特に指紋認証などの生体認証が定番になりつつあるスマホでの利用シーンは多そうだ。

 「ウイルスバスター クラウド 10」は、連絡先のバックアップ/復元は非対応だが、FacebookとTwitterのプライバシーチェックができる「プライバシー設定チェッカー」が便利。推奨するプライバシー設定の状態にあるかを判断し、ユーザーに警告を出してくれる。
 

総合力は「マカフィー リブセーフ」、使うと分かる“無制限”の威力


 編集部でピックアップした項目で比較すると、総合力ですぐれているのは「マカフィー リブセーフ」。「ノートン セキュリティ プレミアム」と「ウイルスバスター クラウド 10」も優秀なセキュリティ性能や最新トレンドに則した機能をしっかりと搭載しているが、「マカフィー リブセーフ」は一歩先んじた技術力が光る。

 ユーザーにとって最大の恩恵は、インストール可能台数が“無制限”ということだろう。購入した当時はインストール台数の制限があるセキュリティソフトでもカバーできたが、後で端末を買い増したら足りなくなってしまった……という事態も“無制限”ならまったく心配ない。もちろんソフトごとに独自機能もさまざまに備えているが、誰もが安全かつ快適に利用できるという点では、「マカフィー リブセーフ」という結論に至った。(BCN・大蔵 大輔)