初代iPadは日本で2010年5月28日に発売となり、それ以降、タブレット端末市場は本格的に立ち上がった。内閣府の消費動向調査によると、タブレット端末の普及率は20年3月の調査で41.4%に達している。変貌を遂げたこの10年を振り返っていく。
タブレット端末市場は、「iPad」が発売になったことで本格的に立ち上がったといっていい。当時はスレートPCとも呼ばれ、屋内での利用を想定した製品であった。市場がどう推移したかを示すために、10年5月の販売台数を「100.0」とした台数指数を算出してみると、最初の一年間の市場規模はほぼ横ばいであったことが分かる(図1)。
市場が大きく動いたのは12年10月。きっかけは9月にASUSが7インチの「Nexus 7」を発売したことだ。リリース直後から売れ行きは一気に高まり、注目機器の一角を担うようになった。このNexus 7の2カ月遅れで、アップルは「mini」を12年11月に発売。人気モデルがそろったことで、市場は一気に活気づくこととなった。その年の12月の販売台数指数は「775.9」に達し、市場規模は10年5月比で8倍に膨張したことを示している。iPadに関しては、発売当初想定されていた屋内での利用ではなく、消費者はモバイル機器として小型の製品を望んでいたことが明らかとなった。ただ、小型製品は需要に供給が追い付かず、店頭では入荷待ちの状態が続き、指数は右肩下がりの推移を余儀なくされた。
13年11月に従来のモデルよりも薄くて軽量の「iPad Air」が発売になり、市場は再び活性化。14年3月の台数指数は「1021.2」と、10年5月比で10倍の規模に達した。同時期の内閣府による消費動向調査では、タブレット端末の普及率は20.9%だった。その後、指数は緩やかに右肩下がりで推移していたが、18年の年末頃から市場は再び活況に転じ、Windows 7のサポート終了の直前にあたる19年12月の台数指数は「900.8」と、13年12月以来の規模に達した。
メーカー別の販売台数シェアをみると、競合製品はほぼ存在せず、最初の2年間はアップルの独擅場だった(図2)。12年9月に発売したNexus 7で、ASUSのシェアは急速に伸びアップルを上回る月もあった。その後、14年の年央までアップルとASUSは首位争いを展開していたが、次第にASUSは勢いを失っていく。代わりにHuawei Technologiesがシェアを伸ばし、アップルの優勢は再び崩れ、この2社が首位争いを展開していくことになった。しかし、18年半ばに米中の貿易摩擦が悪化するとHuawei Technologiesのシェアは急落する一方、アップルのシェアは4割から7割へと再び伸びていった。
20年に入ると、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために中国では多くの工場が操業を停止した。アップル製品の多くは中国で組み立てられていることもあり、需給バランスが崩れ、20年4月のアップルのシェアは18年3月以来の3割台にまで落ち込んだ。
パソコンのライトユーザーがタブレット端末へと切り替えていく流れは今後も進むだろう。こうした中、パソコンとタブレット端末の性能差はほぼなくなりつつあり、消費者はライフスタイルに合った製品を購入し、形状についてはあまり意識しなくなることが考えられる。今回の在宅勤務やリモート授業などがきっかけで、タブレット端末の需要が格段に広がっていることは想像に難くない。
※お詫びと訂正
文中の記述に誤りがありました。
お詫び申し上げるとともに、訂正いたします。
(誤)Windows 10のサポート終了の直前にあたる19年12月の台数指数は「900.8」と、13年12月以来の規模に達した。
(正)Windows 7のサポート終了の直前にあたる19年12月の台数指数は「900.8」と、13年12月以来の規模に達した。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
タブレット端末市場は、「iPad」が発売になったことで本格的に立ち上がったといっていい。当時はスレートPCとも呼ばれ、屋内での利用を想定した製品であった。市場がどう推移したかを示すために、10年5月の販売台数を「100.0」とした台数指数を算出してみると、最初の一年間の市場規模はほぼ横ばいであったことが分かる(図1)。
市場が大きく動いたのは12年10月。きっかけは9月にASUSが7インチの「Nexus 7」を発売したことだ。リリース直後から売れ行きは一気に高まり、注目機器の一角を担うようになった。このNexus 7の2カ月遅れで、アップルは「mini」を12年11月に発売。人気モデルがそろったことで、市場は一気に活気づくこととなった。その年の12月の販売台数指数は「775.9」に達し、市場規模は10年5月比で8倍に膨張したことを示している。iPadに関しては、発売当初想定されていた屋内での利用ではなく、消費者はモバイル機器として小型の製品を望んでいたことが明らかとなった。ただ、小型製品は需要に供給が追い付かず、店頭では入荷待ちの状態が続き、指数は右肩下がりの推移を余儀なくされた。
13年11月に従来のモデルよりも薄くて軽量の「iPad Air」が発売になり、市場は再び活性化。14年3月の台数指数は「1021.2」と、10年5月比で10倍の規模に達した。同時期の内閣府による消費動向調査では、タブレット端末の普及率は20.9%だった。その後、指数は緩やかに右肩下がりで推移していたが、18年の年末頃から市場は再び活況に転じ、Windows 7のサポート終了の直前にあたる19年12月の台数指数は「900.8」と、13年12月以来の規模に達した。
メーカー別の販売台数シェアをみると、競合製品はほぼ存在せず、最初の2年間はアップルの独擅場だった(図2)。12年9月に発売したNexus 7で、ASUSのシェアは急速に伸びアップルを上回る月もあった。その後、14年の年央までアップルとASUSは首位争いを展開していたが、次第にASUSは勢いを失っていく。代わりにHuawei Technologiesがシェアを伸ばし、アップルの優勢は再び崩れ、この2社が首位争いを展開していくことになった。しかし、18年半ばに米中の貿易摩擦が悪化するとHuawei Technologiesのシェアは急落する一方、アップルのシェアは4割から7割へと再び伸びていった。
20年に入ると、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために中国では多くの工場が操業を停止した。アップル製品の多くは中国で組み立てられていることもあり、需給バランスが崩れ、20年4月のアップルのシェアは18年3月以来の3割台にまで落ち込んだ。
パソコンのライトユーザーがタブレット端末へと切り替えていく流れは今後も進むだろう。こうした中、パソコンとタブレット端末の性能差はほぼなくなりつつあり、消費者はライフスタイルに合った製品を購入し、形状についてはあまり意識しなくなることが考えられる。今回の在宅勤務やリモート授業などがきっかけで、タブレット端末の需要が格段に広がっていることは想像に難くない。
※お詫びと訂正
文中の記述に誤りがありました。
お詫び申し上げるとともに、訂正いたします。
(誤)Windows 10のサポート終了の直前にあたる19年12月の台数指数は「900.8」と、13年12月以来の規模に達した。
(正)Windows 7のサポート終了の直前にあたる19年12月の台数指数は「900.8」と、13年12月以来の規模に達した。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
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