価格が高くても国内PCメーカーが選ばれるわけ、BCNが意識調査

アナリスト調査レポート

2017/07/14 16:09

 さまざまな製品が並ぶ家電量販店でパソコン(以下PC)を見ていると、海外メーカーより国内メーカーの製品の方が価格が高い印象を持っている人は少なくないだろう。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」をみると、実際にノートPCの平均単価は国内メーカーの方が3-4万円ほど高い。しかし、平均単価が高くても、ノートPC市場の販売台数構成比は国内メーカーが常に半分以上を占めている。この「価格が高くても選ばれる」理由はどこにあるのだろうか。

 そこで株式会社BCNは6月、株式会社コロプラが提供するスマートアンサーと共同で、2015年1月以降にPCを自分で購入した555名を対象に、PCの購入に関するアンケート調査を行った。本記事では実売データから直近のノートPC販売状況を踏まえつつ、この市場において、国内・海外のメーカーで、どのような意識の違いがあるのかを探った。
 

 まずは「BCNランキング」の実売データから国内外メーカーに分けて、ノートPCの販売台数構成比を月次推移で算出したところ、過去2年間は国内メーカーが約6割を維持している。(図1)国内メーカーの方が支持されているが、今年6月の平均単価をみると、国内メーカーは約110,700円に対して、海外メーカーは約78,700円。差が大きい16年4月では、国内メーカーが約119,900円、海外メーカーが69,600円と、50,000円以上も違いが生じている。多少波はあるものの、価格が高くても国内メーカーは売れている現状が分かる。
 

 その理由を探るため、PC購入者に国内外メーカーに対する意識をアンケートで質問。メーカーについて、国内か海外かを気にしているかを聞いた結果、約半数近くが「気にしている」(43.6%)と回答した。(図2上)また、「気にしている」人と、「気にしていない」人に分けて、購入したPCメーカーの比率を比較してみると、「気にしている」人のうち72.7%が国内メーカーであったのに対し、「気にしていない」人は34.1%と、40ポイント弱の開きがあり、「気にしていない」人は海外メーカーの購入が高い。(図2下)この結果から、国内か海外かを気にしている人ほど、国内メーカーを選ぶ傾向が高いことが分かった。
 

 国内・海外メーカーに分けた、それぞれのイメージをみても、違いは歴然だ。海外メーカーは「値段の安さ」(49.7%)が断トツで多く、次に「特にイメージはない」が20.5%で続いており、安さがイメージとして浸透しているが、信頼性やサポート面での比率は1ケタ前半程度という結果になっている。(図3)その一方で国内メーカーは「信頼できる」「品質が高い」「サポートが良い」がそれぞれ35%を超えたが、「値段の安さ」は3.8%にとどまった。品質・信頼の国内メーカーと、低価格の海外メーカーというイメージが、購入者にはっきりと根付いているのは明らかだ。

 これらを踏まえると、国内メーカーの製品が高くても選ばれている理由は、価格以上に利用上の安心を求めているからだと言える。一方、サポート面や搭載しているソフトなどで違いはあるものの、海外メーカーは国内メーカーと比べても性能・スペックに大きな違いはなくなっているが、未だ安いというイメージだけが強く定着しているのが現状のようだ。

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 【BCN調査レポート】PCの購入実態に関する調査

https://www.bcnretail.com/research/detail/20170714_43143.html



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