番組を見逃し「あきらめる」が65.7%も、「TVer」の利用意向は半数超え

アナリスト調査レポート

2017/01/19 12:15

 株式会社BCNは2016年11月、テレビ番組視聴者1000名を対象に、「テレビ視聴に関する調査」を実施した。

 インターネットサービスの普及により、テレビ番組を視聴する方法が多様化している。そこで、本件の対象者を抽出するための事前調査にて、テレビ番組をどのようにして観ているのか、9151名に質問した(図1)。回答数が多かったのが、「放送時間に観る(リアルタイム視聴)」が9割、次に7割で「録画(タイムシフト視聴)」が続いた。各年代でもこれらの比率は高く、インターネットの普及前から続く従来通りの視聴方法が視聴者には根付いていることが分かった。
 

図1 年代別 テレビ番組の視聴方法

 一方、インターネットを介したテレビ番組視聴では、年代別に顕著な違いがみられた。まず、YouTubeなどの「動画共有サイト」の視聴率で、60代は10%に満たないが、30代は26.9%、20代は36.5%と若年層になるほど比率が高くなる傾向があらわれた。全体の回答数こそ少ないが、「TVerを含めた各TV局の配信サービス」や「VODサービス」も同様の傾向を示しており、若年層のテレビ番組視聴ではテレビに限らず、インターネットを介した視聴など多岐にわたっている。

 近年はインターネットサービスだけではなく、レコーダーの録画機能も進化。全録機能を搭載したレコーダーなどテレビ番組の見逃しを防止する製品も増えているが、番組を見損ねてしまう人はいまだ多いだろう。そのような場面に遭遇した際、どのような対応を取るのかを聞いたところ、「あきらめる」が65.7%でトップとなり、60代では79.5%と突出している(図2左)。年齢が高くなると、見逃したテレビ番組の視聴も「あきらめる」比率が高い。半面、年代が若いほど、あらゆる手段で見逃した番組を視聴する意欲が強いようだ。
 

図2 年代別 テレビ番組見逃し時の対応と「TVer」の利用意向

 2015年10月から民放テレビ局が放送する番組の無料配信サービスである「TVer」のサービス提供が始まっている。主な目的としては違法な動画配信の防止・対策であり、各民放テレビ局公式のサービスとして注目されている。そこで、「TVer」を利用していない人を対象に、今後の利用意向を聞いたところ、「利用したい」という人は50%を超える結果となった(図2右)。見逃した際に「あきらめる」人が多い傾向にあるなか、公式かつ無料で視聴可能な点が過半数の回答を集めたと考えられる。

 しかし、「TVer」では見逃した番組がすべて、いつでも観ることができるわけではない。現在、民放テレビ局の全番組で配信しているものは限定的で、番組放送から7日間で配信は終了するなどの制限がある。本アンケートの結果からは、リアルタイムや録画などの従来型視聴が主流であり、「TVer」を始め、動画サービスによるテレビ番組視聴が浸透するにはまだ時間が必要だろう。本調査では、テレビ番組や動画の視聴状況から、年代ごとの現状やニーズを比較することに加え、それらを踏まえたライフスタイルの変化も追っている。

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 【BCN調査レポート】テレビ視聴に関する調査報告書

https://www.bcnretail.com/research/detail/20170106_43142.html



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