SIMフリースマートフォン比率が初の2割超え、2017年はさらに躍進か
携帯電話通信キャリアを自由に選べて入れ替えることができる、SIMフリースマートフォン。2016年は、躍進の年となった。家電量販店・ネットショップの実売データを集計した「BCNランキング」によると、昨年12月には、スマートフォン全体に占める台数構成比率は2割台にまで拡大し過去最大を記録。その一方で、docomo、au、SoftBankの大手キャリアであるMNO(移動体通信事業者)は、その勢いにおされて販売台数シェアを落とす1年となった。MNOの動向に作用するほど成長した、SIMフリースマートフォン市場の2016年を追った。
スマートフォンのなかに占めるSIMフリースマートフォンの台数比率をみると、一昨年12月時点では9.5%と1割にも満たなかったが、昨年12月には20.4%まで拡大している(図1)。3月には年度末の買い替え需要、9月にはiPhone7/7Plusの発売で、いったん足踏みしたが、1年間で10ポイント以上も増えたことになる。これによって、docomo、au、SoftBankのMNOが影響を受ける結果となった。キャリア別の販売台数シェアをみると、一昨年12月は3社とも30%前後のシェアを保っていたが、1年後には、それぞれ20%前半にまで落ち込んでいる。3キャリアを合計すると、一昨年12月は86.7%、昨年12月は66.3%となり、1年で20ポイント以上もシェアを下げたことになる。
SIMフリースマートフォン市場が拡大した大きな要因は2つ。ひとつは、SIMフリースマートフォンと親和性の高い、MVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる格安SIM事業者がCMや交通広告など、多くのプロモーションを展開し始めたこと。2つめが、2015年5月に開始された、総務省の「SIMロック解除の義務化」により、キャリアと端末を選択する自由度が高くなったことだ。こうした背景から、SIMフリースマートフォンの認知と機種変更のしやすさが向上、比率を高める推進力となった。
では、SIMフリースマートフォン市場において、上位メーカーの販売台数シェアがどのように推移したのかを見ていくと、激しい主導権争いが続いていることが分かる(図2)。昨年1~3月は、Huawei TechnologiesとASUS、プラスワン・マーケティングの三つ巴で、3社とも20%前後のシェアを確保していた。しかし、4月に入るとASUSが41.1%と急伸、7月からは3か月連続でHuawei Technologiesが30%以上で推移しており、後半は2社の争いとなった。ASUSは3月発売の「ZenFone Go」、Huawei Technologiesは6月発売の「P9 Lite」の売れ行きが大きく貢献した。結果として、2016年の年間ではASUSがHuawei Technologiesを抑えトップシェアを獲得したが、この2社が市場を牽引したことは確かだ。
これら以外で目につくのは、Y!mobileがMVNOと同等の料金プランでシェアを伸ばしたこと、富士通を始めとした日本メーカーがSIMフリースマートフォン市場に注力し始めた点だ。さらに、今年5月には総務省による「SIMロック解除の義務化」の開始から2年が経過する。買い替え時期に差し掛かるため、これまで以上に、SIMフリースマートフォンへの注目が高まる可能性はある。MNOからの流入が昨年を上回るならば、SIMフリースマートフォンの存在感は一段と増すことになる。
※*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
スマートフォンのなかに占めるSIMフリースマートフォンの台数比率をみると、一昨年12月時点では9.5%と1割にも満たなかったが、昨年12月には20.4%まで拡大している(図1)。3月には年度末の買い替え需要、9月にはiPhone7/7Plusの発売で、いったん足踏みしたが、1年間で10ポイント以上も増えたことになる。これによって、docomo、au、SoftBankのMNOが影響を受ける結果となった。キャリア別の販売台数シェアをみると、一昨年12月は3社とも30%前後のシェアを保っていたが、1年後には、それぞれ20%前半にまで落ち込んでいる。3キャリアを合計すると、一昨年12月は86.7%、昨年12月は66.3%となり、1年で20ポイント以上もシェアを下げたことになる。
SIMフリースマートフォン市場が拡大した大きな要因は2つ。ひとつは、SIMフリースマートフォンと親和性の高い、MVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる格安SIM事業者がCMや交通広告など、多くのプロモーションを展開し始めたこと。2つめが、2015年5月に開始された、総務省の「SIMロック解除の義務化」により、キャリアと端末を選択する自由度が高くなったことだ。こうした背景から、SIMフリースマートフォンの認知と機種変更のしやすさが向上、比率を高める推進力となった。
では、SIMフリースマートフォン市場において、上位メーカーの販売台数シェアがどのように推移したのかを見ていくと、激しい主導権争いが続いていることが分かる(図2)。昨年1~3月は、Huawei TechnologiesとASUS、プラスワン・マーケティングの三つ巴で、3社とも20%前後のシェアを確保していた。しかし、4月に入るとASUSが41.1%と急伸、7月からは3か月連続でHuawei Technologiesが30%以上で推移しており、後半は2社の争いとなった。ASUSは3月発売の「ZenFone Go」、Huawei Technologiesは6月発売の「P9 Lite」の売れ行きが大きく貢献した。結果として、2016年の年間ではASUSがHuawei Technologiesを抑えトップシェアを獲得したが、この2社が市場を牽引したことは確かだ。
これら以外で目につくのは、Y!mobileがMVNOと同等の料金プランでシェアを伸ばしたこと、富士通を始めとした日本メーカーがSIMフリースマートフォン市場に注力し始めた点だ。さらに、今年5月には総務省による「SIMロック解除の義務化」の開始から2年が経過する。買い替え時期に差し掛かるため、これまで以上に、SIMフリースマートフォンへの注目が高まる可能性はある。MNOからの流入が昨年を上回るならば、SIMフリースマートフォンの存在感は一段と増すことになる。
※*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。