充電が命の海外渡航、オススメの変換プラグは?【道越一郎のカットエッジ】

レビュー

2025/03/09 18:30

 海外取材で最も大事なのは「充電だ!」 新人研修の際に言い続けてきた。撮影や録音の機材は電気がなければ動かない。しかし充電には時間がかかる。朝になってバッテリ切れに気付いても手遅れ。1日活動して夜、ホテルの部屋に戻ったら、何はともあれまず充電だ。カメラやICレコーダーといった取材に必須の機器はもとより、スマートフォン(スマホ)、PC、タブレット、ビデオカメラ、ワイヤレスイヤホンなどなど、充電し忘れるとえらいことになる機器は多い。充電を忘れ、カメラのバッテリ切れを気にしながら、海外で取材に臨むことほど心細いことはない。

海外出張の際、実際に持参した充電が必要な機器や充電器。
壁にはコンセントが2カ所。左が「BF」タイプ。
右はほぼすべてのプラグが使えるユニバーサルタイプ

 充電すべき機器の筆頭は、やはりスマホだ。今や海外渡航で最も重要なデバイスといえるだろう。現地SIMを使ったネット回線の確保にはじまり、地図や時刻表、様々なドキュメントの閲覧、UberやGrabといった配車アプリの利用時に、なくてはならない存在だ。そもそも飛行機の搭乗券もスマホ画面のQRコード、というパターンも増えた。入国カードの記入もスマホでの入力、という場合もある。写真も撮れ、録音もできる。万一他の機器がダメでも、最悪こいつが生きていればなんとかなる。あちこち移動しながら活動することが多い海外出張の場合、普段よりスマホの利用率は格段に高くなる。当然バッテリの消費も激しい。絶対に充電忘れは許されない。ホテルで真っ先に充電すべきデバイスだ。さらに、バッテリの持続時間によほど自信がない限りは、モバイルバッテリも必携だ。

 スマホと同じく充電の重要度が高いのがカメラ。専用バッテリと専用充電器が必要な機種が多い。バッテリが切れたらそれでおしまいだ。私の場合、通常2台のボディーを持参するが、それぞれに2個の予備バッテリを用意している。1日の撮影でほぼバッテリを1個消費するため、予備が2個あれば全部で3日は持つ「計算」だ。しかし物事、計算通りにいかないことも多い。1日2個弱消費する場合もある。充電したはずが、バッテリ劣化ですぐ切れてしまうこともある。必ず満充電のバッテリを2個持っている状態を保つことを心がけている。ICレコーダーは単4電池タイプを使っている。予備電池を数本持っていれば問題ない。単3電池8本が必要なレコーダーを使用する場合もある。そのため、単3や単4電池が同時に8本まで充電できる充電器を持参することが多い。
 
「BF」タイプのコンセント。
ホテルの部屋にこうしたコンセントしかない場合は変換プラグは必須だ

 そして、海外での電源確保に欠かせないのが「変換プラグ」。いざ充電と思っても、コンセントにプラグが合わなければ即アウトだ。日本やアメリカで採用されているコンセントの形状は「A」。しかし、渡航先によっては、「B」だの「O」だの「BF」だのと、様々な種類が存在する。一番安上りなのは、あらかじめ渡航先のプラグを調べておき、普段使っているAプラグと変換するアダプターを購入して持っていくこと。価格も1個数百円と安い。異なるプラグの渡航先が増えるたびに買いそろえていく。ジャラジャラと変換プラグが増えていくが、そのうちに買わなくて済むようになる。

 その都度買うのが面倒な場合や1個で済ませたい場合は、複数のコンセントに対応した変換プラグを用意するのも手だ。最近では、USB充電器付きの大ぶりの変換プラグが出回っている。しかしこれは全くお勧めできない。かさばるうえ重く、壁面のコンセントに取り付けると自重で抜けてしまったりする。そもそも高速充電に耐える出力が出ないものが多い。しっかり高速充電できるUSB充電器を別途持っている場合は無用の長物だ。余計な機能がなく、プラグ変換のみのシンプルな製品がいい。お勧めはカシムラの「WP-91M(NTI-91)」。「A・C・BC・O・SE・BF」と6種のコンセントに対応する、小ぶりなブロックタイプだ。それでいてコンセントが2口ついている。メジャーな渡航先であればこれ1個でほぼカバーできる。短めのテーブルタップと一緒に鞄の隙間に突っ込んでおけばきっと役立つだろう。ただし、コンセントが奥まっているような形状の場合は刺さらないこともあるので、その点は注意が必要だ。ちなみに、同じカシムラの「WP-81M」という8タイプ対応の変換プラグもある。以前は使っていたが、こちらは2つのパーツからなる複雑な形状の製品。片方をなくしてしまいそうで、あまり好みではなかった。
 
カシムラの変換プラグ「WP-91M」。
余計な機能がなくコンパクトだが6タイプのコンセントに対応できるスグレモノだ

 万一変換プラグを荷物に入れ忘れたとしても、ホテルによっては貸してくれることもある。貸してはくれなくとも販売はしているホテルもある。海外からの宿泊客が多いホテルなら、相談すれば何らかの解決策が見つかるだろう。近くのスーパーやコンビニで売っている場合もある。家電量販店なら買える確率はかなり高まるが、必ず入手できるとは限らない。この辺は日本と同じだ。そもそも新しめのホテルなら、ユニバーサルタイプのコンセントだったりすることもある。ほとんどの国のプラグがそのまま刺さる。変換プラグは必要ない。とはいえ、それは運。変換プラグは必ず用意しておきたい。

 国によって電源の電圧も異なる。100V、125V、250Vと様々な種類がある。昔は海外渡航の際、電圧変換のためのトランスを持って行ったものだ。これが実に重く邪魔だった。しかし、現代の機器はほとんどが100V~250Vで柔軟に利用できる。トランスは必要ない。念のため、手持ちの機器や充電器、ACアダプターなどの対応電圧を確かめておこう。100Vしか対応しない機器はこの際海外に持っていくのはやめて、買い換えたほうがいいだろう。ちなみに、件のトランスだが結局、渡航先で使うことはただの一度もなかった。
(BCN・道越一郎)