住宅の「ステルス値上げ」をご存知だろうか。建設コストの高騰などにより首都圏を中心に住宅価格が上昇。住宅メーカーとしては物件を購入してもらうために価格を抑える代わりに、住宅の間取りを少し狭くしたりしている。サニタリールームの広さは限界とされる1坪ラインにきており、結果的にドラム式洗濯乾燥機が設置しにくいという問題が生じている。この問題を解消するのが、1月から発売しているパナソニックのコンパクトなドラム式洗濯乾燥機「SDシリーズ」だ。このほど、1坪のサニタリールームでも搬入・設置できることを示すデモを実施した。
パナソニックのドラム式洗濯乾燥機
「SDシリーズ」
サニタリールームのトレンド
(パナソニックの資料より、以下同じ)
住宅価格が上昇する背景には、建築資材コストの高騰などがある。コストアップに合わせて住宅価格が上昇すると、消費者が購入をためらってしまう。
そこで価格を抑えるための苦肉の策が、面積を小さくすることで建築コストを抑えるという発想だ。同じ価格の物件でも、13年と21年の物件を比較すると、21年の方が狭くなっている。これが住宅の「ステルス値上げ」の正体である。
こうした影響もあって、サニタリールームの広さは既に1坪の限界まできている。洗濯乾燥機を置きたい、大きな洗面台がほしい、タオルや洗剤などの収納スペースがほしい、ちょっとした作業スペースがほしい、身だしなみやメイクがしたいなど、サニタリールームへの要望は増える一方だが、なんにせよ狭い。結果的に、従来のドラム式洗濯乾燥機は設置しにくくなっているという。
具体的に洗濯容量10kg(乾燥5kg)ながら幅600×奥行き650×高さ960mmを実現。特に高さを、同社の縦型8kg洗濯乾燥機の1071mmよりも低く抑えているため、水栓との接続に支障をきたさない。
実際のデモは、1階と2階が吹き抜けになっている都内のスタジオを借りて、2階の真上から搬入や操作の様子がわかる特設ブースを設置して行われた。
SDシリーズならサニタリールームで本体を回転できる
奥までぴったりと設置できる
1坪の限界でも設置できる
マットに載せたSDシリーズを作業員2人で搬入。サニタリールームのドアから搬入して、洗濯機スペースに置くには本体を180度回転させる必要がある。通常のドラム式洗濯乾燥機はこの回転時に手前のドアや壁などに引っかかってしまい設置できなくなるが、SDシリーズはスムーズに回転して余裕をもって設置できる様子が確認できた。
横から見た搬入作業
サニタリールームで回転できるのがポイント
高さ960mmなので水栓の接続もスムーズ
また、日々の洗濯シーンのデモでは、パナソニックのドラム式洗濯乾燥機の代名詞である「ななめドラム」による洗濯物の出し入れのしやすさや、本体の天面に搭載された操作パネルの視認性の高さも確認できた。
操作パネルが天面に
今後購入したい洗濯機のタイプとしてドラム式は39%、タテ洗乾は19%で合計約58%の洗乾比率であるのに対し、23年度の工業会の出荷ベースではドラム式は23%、タテ洗乾は5%で合計約28%にとどまるのだ。
「購入したい」と「洗乾比率」のギャップ
消費者は「いつかは洗濯乾燥機」と思いながらも、実際には約7割が全自動洗濯機を購入しているというわけだ。このギャップを埋めるには、設置できるサイズや手が出る価格が重要といえるだろう。まさにSDシリーズは、このギャップを埋めるための戦略モデルといえる。
ドラム式洗濯乾燥機について「大きすぎて入らないでしょ」「高すぎて買えない」といったイメージを持つユーザーは少なくないかもしれない。SDシリーズが、そうしたイメージを払拭してくれるだろう。
洗濯に求めるシーンに応じて選べる
なお、SDシリーズには「Uタイプ」と「Hタイプ」の2機種ある(低温のヒーター乾燥機能は共通)。スマートフォンとの連携で液体洗剤や柔軟剤を自動投入してスマートに洗濯したい人はUタイプ、液体洗剤は自動投入だけど柔軟剤は素材にあわせて手動で入れたいとか温水洗浄で洗いたいというこだわり派はHタイプというように、ユーザーの使い方によって選べる。
タイプの違う機種を19万7010円という同一価格で販売するのも、パナソニックにとっては新たな試みだという。
SDシリーズは、これまで「あこがれ」で終わっていたドラム式洗濯乾燥機の購入を「当たり前」にしてくれるだろう。新生活家電の選択肢の一つとして覚えておきたい。(BCN・細田 立圭志)
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「SDシリーズ」
住宅の「ステルス値上げ」の正体
住宅金融支援機構の「フラット35利用調査」によると、首都圏のマンションの購入価格は2013年~23年まで上昇傾向を続けている。一方でマンションの面積は14年の70平方メートルから21年の59.3平方メートルまで狭くなり続けている。面積は21年を底に22年、23年は持ち直しているものの、価格の上昇も激しい。
(パナソニックの資料より、以下同じ)
住宅価格が上昇する背景には、建築資材コストの高騰などがある。コストアップに合わせて住宅価格が上昇すると、消費者が購入をためらってしまう。
そこで価格を抑えるための苦肉の策が、面積を小さくすることで建築コストを抑えるという発想だ。同じ価格の物件でも、13年と21年の物件を比較すると、21年の方が狭くなっている。これが住宅の「ステルス値上げ」の正体である。
こうした影響もあって、サニタリールームの広さは既に1坪の限界まできている。洗濯乾燥機を置きたい、大きな洗面台がほしい、タオルや洗剤などの収納スペースがほしい、ちょっとした作業スペースがほしい、身だしなみやメイクがしたいなど、サニタリールームへの要望は増える一方だが、なんにせよ狭い。結果的に、従来のドラム式洗濯乾燥機は設置しにくくなっているという。
設置のカギはサニタリールームで本体を回転できるか
そこでSDシリーズは、マンションのサニタリールームに設置できるコンパクトなサイズと、オンラインストア価格で19万7010円という20万円を切るリーズナブルな価格帯を両立させた。具体的に洗濯容量10kg(乾燥5kg)ながら幅600×奥行き650×高さ960mmを実現。特に高さを、同社の縦型8kg洗濯乾燥機の1071mmよりも低く抑えているため、水栓との接続に支障をきたさない。
実際のデモは、1階と2階が吹き抜けになっている都内のスタジオを借りて、2階の真上から搬入や操作の様子がわかる特設ブースを設置して行われた。
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マットに載せたSDシリーズを作業員2人で搬入。サニタリールームのドアから搬入して、洗濯機スペースに置くには本体を180度回転させる必要がある。通常のドラム式洗濯乾燥機はこの回転時に手前のドアや壁などに引っかかってしまい設置できなくなるが、SDシリーズはスムーズに回転して余裕をもって設置できる様子が確認できた。
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また、日々の洗濯シーンのデモでは、パナソニックのドラム式洗濯乾燥機の代名詞である「ななめドラム」による洗濯物の出し入れのしやすさや、本体の天面に搭載された操作パネルの視認性の高さも確認できた。
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「あこがれ」を「当たり前」に
ドラム式洗濯乾燥機については、気になるデータもある。消費者のあこがれのままで終わっていることを示すデータだ。今後購入したい洗濯機のタイプとしてドラム式は39%、タテ洗乾は19%で合計約58%の洗乾比率であるのに対し、23年度の工業会の出荷ベースではドラム式は23%、タテ洗乾は5%で合計約28%にとどまるのだ。
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消費者は「いつかは洗濯乾燥機」と思いながらも、実際には約7割が全自動洗濯機を購入しているというわけだ。このギャップを埋めるには、設置できるサイズや手が出る価格が重要といえるだろう。まさにSDシリーズは、このギャップを埋めるための戦略モデルといえる。
ドラム式洗濯乾燥機について「大きすぎて入らないでしょ」「高すぎて買えない」といったイメージを持つユーザーは少なくないかもしれない。SDシリーズが、そうしたイメージを払拭してくれるだろう。
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なお、SDシリーズには「Uタイプ」と「Hタイプ」の2機種ある(低温のヒーター乾燥機能は共通)。スマートフォンとの連携で液体洗剤や柔軟剤を自動投入してスマートに洗濯したい人はUタイプ、液体洗剤は自動投入だけど柔軟剤は素材にあわせて手動で入れたいとか温水洗浄で洗いたいというこだわり派はHタイプというように、ユーザーの使い方によって選べる。
タイプの違う機種を19万7010円という同一価格で販売するのも、パナソニックにとっては新たな試みだという。
SDシリーズは、これまで「あこがれ」で終わっていたドラム式洗濯乾燥機の購入を「当たり前」にしてくれるだろう。新生活家電の選択肢の一つとして覚えておきたい。(BCN・細田 立圭志)