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ポタ電の内側は先端技術が盛り沢山! ユーザー視点で進化したEcoFlowのポータブル電源 RIVER 3 シリーズ

新製品

2024/12/20 17:30

 電気を蓄えて、家電製品に給電する。ポータブル電源の役割は極めてシンプルだ。そのシンプルさゆえ、製品には大した技術が使われていないと思っているのなら、それは大きな間違いである。EcoFlowの新製品RIVER 3 シリーズは同社の独自技術が結集したポータブル電源だ。

EcoFlowの小型・軽量ポータブル電源RIVER 3 Plus

RIVERはRIVER 3へと進化

 近年、防災対策グッズとしてポータブル電源の注目度が爆上がりしている。電気を充電しておき、必要に応じて家電製品に給電する。文字にするとシンプルで、携帯用のモバイルバッテリーのイメージもあることから単純な技術の製品と思うかもしれない。
 
 しかし、ポータブル電源の内側には表面からは見えない技術が詰め込まれているのだ。その技術の一端をEcoFlowが2024年9月以降に発売した「RIVER 3 シリーズ」で見てみよう。
 
 ちなみにRIVER 3 シリーズのラインアップは、9月に発売した容量245WhのRIVER 3と11月に発売した容量286WhのRIVER 3 Plus、容量572WhのRIVER 3 Max、容量858WhのRIVER 3 Max Plusの4モデルである(以下、シリーズを総称してRIVER 3と表記)。
 
容量が異なるラインアップのRIVER 3 シリーズ

 EcoFlowは2017年の創業以来、ポータブル電源を中心に高い技術力で製品開発を行ってきた。同社によると、全従業員の約4割が研究開発に携わっており、これまでに取得した特許技術は1125件にのぼるという。テック企業というとIT系のソフトウェア企業がイメージされるが、同社はエネルギーソリューションにおけるテック企業といっても過言ではないだろう。

 RIVERは創業年にラスベガスで開催された世界最大の家電見本市のCESに初めて出品した製品で、軽量・小型が特徴のポータブル電源。その3世代目がRIVER 3だ。
 

高効率のGaNを採用し本格的なUPS機能も搭載

 RIVER 3の大きな特徴の一つが、使用している半導体の材料に窒化ガリウム(以下、GaN)を採用したX-GaNPower技術である。従来の半導体は材料にシリコンが用いられていた。シリコンは安価で加工しやすいが、電気抵抗が高く、発熱しやすいというマイナス面もある。

 GaNは次世代の半導体材料として注目されているガリウム(Ga)と窒素(N)の化合物。シリコンと比較して電気抵抗が低いため、ポータブル電源の使用中や待機中のエネルギー損失が少ないという特長があり、熱伝導率が高く、シリコンよりも放熱を抑えられる。
 
GaN技術の採用で稼働時間が延長

 また、GaNは高いスイッチング周波数により、高速で電気をオンとオフに切り替えるスイッチングでの電力ロスも抑制する。これらに加えてGaNは高い電流密度と耐熱性があるため、デバイス自体をコンパクトで小型に設計することもできたと同社では話す。

 EcoFlowのRIVER 3は、X-GaNPower技術でGaNの持つ特長を活かすだけでなく、製造工程においてもチップ実装型で放熱性能が向上したため、放熱部品や冷却ファンが小型化し、静音性もアップした。さらに直流と交流を切り替えるインバータとバッテリーパックを一体化させてコンパクトにし、それぞれを管理するソフトウェアも統合したことで電圧や電流、温度などの制御や不具合情報の把握も改善されている。

 RIVER 3はこれらの技術を搭載した結果、100W未満の低消費電力の家電製品に接続して電力を供給する場合、その製品の使用時間を最大91%延長することが可能になった。また、製品のコンパクト化では体積が約30%縮小。冷却ファンの小型化や回転数の抑制では、稼働音が30dBまで低下した。
 
稼働音は深夜の郊外図書館並みの30dBを実現

 さらにRIVER 3 Plusでは新たにUPS機能を搭載している。UPSは、停電などで電力がオフになっても自動で接続している機器に電力を供給する装置のこと。EcoFlowのこれまでの製品にはUPS機能ではなく、緊急電力供給機能としてEPS機能が搭載されていた。

 EPS機能は電力がオフになってから30ms(0.03秒)で電力を供給するが、RIVER 3 PlusのUPS機能は10ms(0.01秒)で動作する。同社によると、この進化はハードウェアとソフトウェアの両面からアプローチして実現したという。
 
RIVER 3 Plusは本格的なUPS機能を搭載

 GaNの採用やUPS機能の搭載は、実のところ、大きなコスト増につながる。高額で大容量のポータブル電源ならコストを吸収できるが、容量が1000Wh以下のRIVER 3では単に製造コストアップになるだけだ。

 それにも関わらず、これらの機能を搭載したことに対して、EcoFlowでは「なるべく少ない費用で、ユーザーに高品質かつコストパフォーマンスに優れた製品を提供したい」ことから採用したという。
 

3つの主要素からなるX-Core 3.0

 EcoFlowでは同社のすべてのポータブル電源を、統合技術アーキテクチャーシステムのX-Core 3.0に基づいて開発している。これはインテリジェンス、高性能、安全性を主要な3つのポイントとして、それぞれに貢献する技術を製品に実装するテクノロジープラットフォームというものである。
 
X-Core 3.0を構成する3つの要素

 インテリジェンスに含まれる技術では、EcoFlow OASISがある。これは主としてスマートフォンとの連携や他の機器との連携などでの電源管理に関わるもの。スマートホームを構成する要素として電力の見える化や遠隔操作などにも対応している。

 高性能では業界最速クラスの充電スピードを誇る急速充電のX-Streamや電圧を調整してほぼすべての家電製品を稼働させるX-Boost、温度変化により放熱を最適化してファンの稼働音を抑える静音技術のX-Quiet、そして前述のX-GaNPower技術などが含まれる。

 容量286WhのRIVER 3 Plusを例に挙げると、X-Streamにより満充電までの時間はわずか1時間で、X-Boostをオンにすると900Wまで出力が可能。X-Quietで騒音レベルは30dBに抑えている。

 安全性ではX-Guardを搭載。これはバッテリーと内部構造を一体化したCTCデザインやPACKモジュール、IP65による防水・防塵性などハードウェアに関する安全対策に加え、安全性を24時間365日モニタリングするソフトウェアを統合した技術だ。
 
X-Core 3.0の思想が具現化されたRIVER 3 Plus

 これらの技術はすべて創業から7年の間に培われたもので、先述の同社が保有する特許技術の点数からも、いかに技術開発を重視しているかをうかがい知ることができる。

 技術の進化はともすれば自己満足的な形となってしまうこともある。EcoFlowではユーザーからのフィードバックに対して、問題を解決する手法として技術を用いているという。冒頭に記したように、ポータブル電源の内側には隠されてはいるが、進化する技術が盛り沢山なのだ。
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