長年の腰痛の悩みが消えた!! デスクワーク歴40年生が進める腰痛対策ガジェット5選

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2024/05/28 16:05

 筆者が本格的に腰痛対策に乗り出したのが1年前のこと。体操、ヨガ、湿布から、筆者らしくガジェット系のものまで、これはというものを色々と試した。そして、いつのまにやら、あれだけつらかった腰痛のことをすっかり忘れている! 冒頭の書き出しからお分かりになるだろうが、筆者は結構な年齢なので、自然治癒力など望むべくもないから、色々試したやつが功を奏したのは間違いない。ということで、長年の腰痛の悩みが消えたシニアITライターの筆者が贈る、誰にでも導入可能な腰痛対策ガジェット五選の話である。

そもそも腰痛の原因は……

 腰痛の原因にはさまざまなものがあるが、座業が多い人にとっての原因は概ね以下のとおりだ。

・姿勢が悪い

 長時間、座りっぱなしだと、どうしても姿勢が悪くなる。特にIT系の場合は、パソコン(PC)での作業が基本になるので、キーボードにかじる付くような前屈みになりがち。そのような姿勢は腰椎に負担がかかる。では、前屈みでなければ良いのかというと、そうでもない。椅子の背もたれに思いっきり背中を預け、尻を座面の前の方にずらして、半分寝そべったようなスタイルで座る、いわゆる「プログラマー座り」のサブマリンスタイルも、腰椎のカーブが不自然になって腰痛の原因になる。
 

 筆者は、このサブマリンスタイルになりがちだった。

 ・筋力不足
 座業ばかりだと、運動不足になるので、筋力も低下する。特に腰や腹部の筋力が低下すると、しっかりと状態を支えられなくなるので、腰椎への負担が増す。

・血行不良
 座りっぱなしは当然ながら血の巡りが悪くなる。これが筋肉疲労の回復を遅らせたり、こわばらせたりする。これも腰痛の原因になる。

・椎間板への圧力
 座った姿勢では椎間板への圧力が増す。それが長時間に及ぶと、椎間板ヘルニアなどのリスクが高まる。筆者の場合、年齢的なことも椎間板ヘルニアのリスク要因であろう。

・体に合わない椅子の利用
 椅子が体に合っていないと、腰への負担が高まるので、腰痛になりやすい。できればエルゴノミクスデザインの椅子を使いたいが、価格が高いのがネック。
 

腰痛対策をガジェットでなんとかできないか

 さて、筆者はこれらの腰痛の原因について、すべて思い当たるところがある。座っている時の姿勢は、猫背かサブマリンスタイル、フリーランスになってからはほとんど外出しないので筋力の低下は否めないし、座っている時間が長いので血行不良になり椎間板への圧力はマシマシである。さらには、在宅ワークでの椅子をケチって1万円ぐらいの椅子にしたので、腰への負担は高まるばかりであった。

 そこで、一念発起して運動するのだ! とはならないのが筆者である。「ガジェット」でなんとかしようとしようとするのが筆者というものだ。ということで、筆者が実際に購入して1年間にわたって試した腰痛対策ガジェットを紹介する。
 

お尻のまくら「Keeps」

 エルゴノミクスチェアを買うのは価格的にハードルが高い。それならば、ガジェットで少しでもエルゴノミクスな椅子に近づけよう、ということで導入したのが「Keeps」である。ふとんで有名な西川が開発した、いわゆるクッションである。
 
Keeps

 クッションというとふんわりしたイメージだがこのKeepsは硬めのウレタン素材でできていて、かっちりとした座り心地だ。西川の製品ページの「間違った座り方」の写真は、すべてまさに筆者の座り方そのもので笑える。

 Keepsの座りごこちは独特だ。硬めのウレタンは、お尻を側面から支えるように包み込むので、すっぽりと尻が収まる感じ。コレにより、自然に背筋がスッと伸びる。多少前屈みになっても、猫背にはなりにくいようにできている。そして、尻が固定されるので、座面の前に滑っていくことがでず、サブマリンスタイルには絶対にならない。さらに座面後部が立っていて仙骨を適度に押す「仙骨ポイント」になっている。この形状が骨盤を正しい角度に導いてくれる。

 価格は結構高めで、1万1000円もするのだが、エルゴノミクスチェアを買うことを思えば全然安い。ということで、1年前にこのKeepsを購入して、座業の時はコレまで使っていた椅子にこのクッションを置いて仕事をしている。背筋がスッと伸びるので腰はかなり楽になったが、副次的な効果として尾骨の痛みがかなり軽減されるのも良い。

 年齢とともに尻の肉が薄くなってくるのか、長時間座っていると尾骨がものすごく痛くなっていたのだが、Keepsを導入してから徐々に痛みが改善され、1年たって気がついたら全く尾骨が痛くならなくなっている。この価格でコレだけの効果があったのなら安い買い物だと思う。1年間Keepsの上に座り続けている(筆者の体重は70kg)が、全くへたった感じはしないので、耐用年数はまだまだありそうだ。

・スタンディングデスク

 座っている時の姿勢問題はKeepsで改善できたので、次は血行不良対策としてスタンディングデスクを導入した。会社員時代は、オフィスにガス圧昇降式のスタンディングデスクがあったので、時々そのデスクで執務をしていたが、気分を変えるのにも良かったし、長時間座って凝り固まったお尻をほぐせるような感じもあったので、効果については疑いはなかった。

 問題は、サイズである。本格的なガス圧昇降式のスタンディングデスクはグラつき防止のためもあって、脚部のフットプリントがかなり広い。筆者の自宅オフィスにはすでに幅1m20cmの執務デスクが置いてある。時々使うためのものとしてはあまり場所をとるスタンディングデスクは置けないのだ。そこでAmazonで探したのが、これ。
 
Amazon.co.jpで購入したスタンディングデスク

 価格は6000円前後と手ごろ。なんといってもフットプリントが小さい。土台部分はわずか直径30cmほど。天板も45cm×28cmほどととてもコンパクト。コレならば、今の執務デスクの横に並べて置いて、気が向いた時にちょっと立って仕事をするのにちょうど良いのではないか。ということで、導入したのだが、スタンディングデスクとしてはちょっと微妙だった。

 購入者レビューにも書いてあったのだが、天板を支える支柱が一本なので、使い方によっては結構ぐらつくのだ。紙にペンで書くような作業だと、かなりストレスがかかる。キーボードを使った執筆作業も、スピードを上げてガシガシと打ち込むとやっぱりグラグラと揺れて、パソコン画面もふらつくので、長時間それを続けていると酔ってしまいそうだ。

 なので、このスタンディングデスクでの作業は、ちょっと気晴らしに立ち仕事をするぐらいの短時間で済ますようにしている。普段はサイドテーブルとして、資料の置き場所にも使えているので、まあ無駄にはなっていない。昇降の方法がネジを回して上下させるという手動式なので、気軽に高さを変えられないのが最大の弱点だ。
 

MOFT Z ノートPCスタンド

 本格的なスタンディングデスクを置く場所はない。でも時々立って仕事することは腰にも血流にも良いし……。ということで、場所を取らない、そしてぐらつかないスタンディングデスクを探してたどり着いたのが、MOFT Zだ。

 MOFTはガジェット好きにはお馴染みの、iPhoneなどをちょうど良い角度で立てることができるスマホスタンドで有名なメーカー。そのMOFTでも異色の製品がMOFT Zだ。
 
MOFT Z

 一応、PCスタンドという位置付けで、さまざまな角度でPCやタブレットを傾けて立てられるという機能もあるのだが、筆者が注目したのはスタンディングモード。MOFT Zという製品名の由来にもなった「Z」型にセットアップして執務デスクの上に置くと、スタンディングデスクのような高さでノートPCやタブレットが使えるのだ。

 スタンディングデスクとしての最適な高さは、キーボードに手を置いたときに肘が90度に曲がるぐらいなので、MOFT Zはちょっと低いのだが、その代わりにどこにでも持っていけるというメリットがある。自宅オフィスでの仕事に行き詰まったら、リビングやダイニングに場所を変えて気分転換するときも結構あるのだが、その時にスタンディングデスク環境を持ち歩けるので重宝する。見た目が薄っぺらい板なので、こんなもので大丈夫か? と最初は思ったのだが、見た目を完全に裏切る剛正感で、ちょっと驚く。

 MacBook Air 13インチを載せてもびくともしない。ただ、13インチクラスになると、MOFT Zから左右ともに本体がはみ出してしまうので、見た目はちょっと不安になるので、筆者はiPad Pro 11inchを載せて使うことが多い。価格は7000円越えと、スタンドとしては高めだけれど、腰痛対策としてどこでもスタンディングデスクが欲しい人にはオススメのガジェットである。
 

腸腰筋リラックスベルト「ラクナール」

 これをガジェットというべきかちょっと悩んだのだが、腰痛対策としてかなり効果があるように思うので、やっぱり紹介しておきたい。
 
ラクナール

 商品名はとてもインチキくさいのだが、世界的に特許もとっているというちゃんとした製品で、医療従事者からも評価されている。強力なゴムの力で、背骨と腰椎と骨盤の3つに作用して骨盤を立てるとともに、筋肉にも刺激を与えるという。

 確かにラクナールを装着すると、自然に背筋が伸びる。そして、ゴムで引っ張られているのだが、腰が楽に感じる。一回25分ほど装着したら、いったん外して緩めるように、取り扱い会社の方から言われたのだが、25分で一回休み、というのはポモドーロテクニックにもちょうど良いのだ。そして、ラクナールを外した直後は、腹筋が鍛えられたなあ、というように感じられるのも心地よい。

 ラクナールを装着し始めて2カ月ほどになるが、腰が痛いなあ、と思う日がほとんどなくなったように感じるので、かなり効果があるのではないかと思う。
 

まとめと番外編

 なんにしろ、座りっぱなしが良くないのは誰もがご存知の通りだ。Apple Watchだって1時間に一回は「立て!」と言ってくる。腰痛の予防はもちろんのこと、エコノミークラス症候群の予防のためにも、正しい姿勢で座り、時々は立ち上がり、筋力アップも狙ってスタンディングで仕事をするのは、IT業界で長く健康に働くためには重要なことだ。

 今回紹介したガジェットは、すべて筆者が実際に長期間使ってみて、「これは使える!」と思ったものばかりなので、腰痛で悩んでいる人はもちろん、座りっぱなしの運動不足が気になっている人も、ぜひ参考にしていただきたい。

 最後に番外編として、キングジムの「ノッテオン」も紹介する。このガジェットは、ノートパソコンやタブレットとキーボード、マウス、書類などの仕事道具一式を収納するカバン的なものなのだが、そのカバンの側面が角度をつけて開くので、PCスタンドとしても使える。
 
ノッテオン

 筆者は、ノッテオンにノートPCやiPad Pro、appy Hacking Keyboard、MOFT Zを入れて、自宅オフィスとリビングを行き来して仕事をしている。MOFT Zは前述の通りスタンディングデスクとしては高さがちょっと足りないのだが、ノッテオンにMOFT Zを載せて使うと、これがちょうど良い高さのスタンディングデスクになるのだ。

 ノッテオンは思いのほかしっかりしたつくりなので、MOFT Zを載せてもぐらつかない。移動式スタンディングデスクセットとして、ノッテオンとMOFT Zの組み合わせは、かなりオススメだ。こんな使い方を提案している変わり者は、筆者ぐらいのものだと思うが、「どこでもスタンディングデスク」を実現したい人にはぜひ試していただきたい。

■Profile
西脇 功
3Dデザイナーズスクール(https://3dschool.jp/)学長。製薬会社勤務を経て、1987年にApple社のMacintoshに出会いコンピュータ業界へと転進。IT系企業数社でコンテンツマーケティング、広報・宣伝のプロとして活動。製品導入事例の執筆、オウンドメディアのWebサイト立ち上げからコンテンツ作成までを一人で担当。2020年独立し、合同会社天使の時間を設立。3DCGソフト活用のためのオンラインスクール運営や、Webメディアへの記事執筆を行っている。

 
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