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iPhone標準搭載の「ジャーナル」。そもそもDiaryとJournalって何が違うんだっけ?~使わないともったいないジャーナルしたくなるアプリ~

レビュー

2024/02/17 14:00

2023年11月にApple純正の「日記」アプリである「ジャーナル」がiPhone向けに公開された。記録をつけるアプリとしては、iPhoneの登場時から搭載されている「メモ」アプリがあるのに、あえて「ジャーナル」をリリースしたポイントはどこにあるのか?そして「ジャーナル」は日記アプリとして最強なのか?日記が大好きで、紙の10年日記を20年以上つけている筆者が、「ジャーナル」の魅力と弱点、その弱点を補うアプリについて紹介する。

2023年11月に公開された日記アプリの「ジャーナル」

Appleから「ジャーナル」がリリースされたけど、日本人には「日記」ではない

 iOS 17が発表されたとき、目玉機能の一つとしてお披露目されたのが日記アプリ「ジャーナル」だ。

 iPhone内に記録されている写真や位置情報、Apple Musicで聴いた音楽などをトリガーとして、その時に感じたことや自分が考えたことの記録がスムーズにできるようになった。

 日記と言えば、まず日付があって、そこに天気や気温を記入し、今日あったことを記述していく。この形というか、スタイルに慣れている日本人にとっては最初ちょっと面食らう。
 
筆者が愛用して記している
石原出版社の「石原10年日記」

 「これ、どこから書けばいいの?」そんな感じが「ジャーナル」アプリを使ってみた際の第一印象だった。

 しかし、途方に暮れていても仕方がないので、普通の日記を書くように、今日あったことなどをつらつらと書いていく。

 日記というくらいだから、毎日書くものだろう、という従来の感覚で二日間つらつらと記入してみたが、まったく面白くない。
 
普通に日記を書くように書いてみたが面白くない

 これがiOS 17の「鳴り物入り」の新機能なの?と少しがっかりしながらジャーナルアプリを立ち上げた三日目のこと。

 記録を促す例のトリガーの中に「振り返り」というものがあり、それが「最近学んだよい教訓はなんですか?」という質問で、これに答える形で記述してみた。

 書き始めてふと思った。「これって日記・・・ではないよね?」

 どちらかというと、エッセイ?ブログ?・・・

 そんな思いを抱きながら、書き終えた。ジャーナルの一行目は「休むことも、重要な人生のイベント」。

 なんだか、深い。
 
休むことも、重要な人生のイベント

ジャーナルアプリへの感じ方が一変

 この投稿から、ジャーナルアプリへの感じ方が一変した。どうも「日記」というジャンルのアプリではないんじゃないか、と。

 ふと思いついてGoogleさんに日記を英訳してもらったら、「Diary」とでた。では「Journal」と「Diary」の違いは?と調べてみたら、「Diaryは秘密性の高い日記、Journalは人に見てもらうブログのような書き物」と出た。

 なるほど!Appleの考えるジャーナルアプリの位置付けは、日記というよりはブログ的なものを作成するものだったのだ。この日を境に、ジャーナルアプリへの記録が面白くなってきた。
 

写真、メールとの連動が書く楽しみをブーストする

 ジャーナルアプリに新しく記録するには、画面下部にある「+」ボタンをタップする。書きたいことが決まっていて、このボタンをタップしたのなら、画面上部の「新規エントリー」をタップして、書き始めればいい。

 特に何か書きたいわけでもない時に、この「+」ボタンをタップするのがおもしろい、ということがわかってきた。

 「+」ボタンをタップしたときに出てくる画面には、最近外出した時の写真や位置情報が表示されたり、「フィットネス」アプリの最近の運動状況が表示されたり、「写真」アプリの「メモリーのハイライト」という昔の写真のピックアップが表示されたり、最近聞いたポッドキャスト番組が表示されたり、と自分の行動を振り返ることができるのだ。

 ジャーナルアプリでは、これらを「モーメント」と呼ぶ。
 
ジャーナルアプリのモーメント

 「あ、ここに行ったのははこの日だったか!」とか「ああ、このポッドキャスト、おもしろかったな」とか、「こんなとこ、何しに行ったんだっけ?」などなど、自分の行動を振り返るだけでも楽しい。

 その中から、今ちょっと思ったことを書き添えてみようと思えば、そのモーメントをタップして書き始めればいい。

 気になったけど今はちょっと時間がないな、という場合はそのモーメントだけを記録しておくこともできる。

 モーメントには動画も含まれていて、動画モーメントを選んで書いたジャーナルは、一覧表示のプレビューで動画がちゃんと動く。これがまた楽しくて、どこかに行ったらできるだけ動画を撮っておこうという気分になる。

 先日は、BOSE社からのメルマガにあった『「サウンドのパワー」があなたをサポート』というコピーが面白く、それを画面キャプチャした。

 画面キャプチャの編集画面で「共有」ボタンをタップすれば、ジャーナルアプリに送って、すぐにジャーナルを書き始められるので、「達成するための目標」というジャーナルを書いた。
 
「達成するための目標」というジャーナル

 ジャーナルアプリ、恐るべし。ただの日記アプリだと思わせておいて、実は、思索を深めたり、経験をより豊かにしたりできるアプリだったのだ。
 

ジャーナルにはできない時間の記録をしたい場合は「MemoMa」がおススメ

 実は、ジャーナルアプリは時間の記録ができない。記録した際に、日にちは自動的に設定される。また、その日にちは、後から変更することもできる。だが、書いた時間は記録することができないのだ。
 
Journalは時間が記録できない

 Appleは、時間に関してはあまり厳格に考えていないように思える節がある。

 例えば、モーメントとして出てくる「場所」の記録だが、これも日にちは出てくるが時間はアバウトで、「午後」とか「夕方」とかしか表記されていなかったりする。

 余談だが、Appleが記録した日時をあまり気にしてないように感じるのは、「メモ」アプリにも言える。

 メモアプリの場合、記録した日付も時間もしっかりと設定されるのだが、メモを編集してしまうと、編集した時の日時に打ち替えてしまう。

 メモをアップデートした場合はそれでもよいのだが、メモを見返して誤字とかを見つけたとき、それを修正しただけで、元の記録日時が消えてしまうのはちょっといただけない。

 このような仕様も含めて、ジャーナルアプリは日記というよりもブログ的な記録を残すもののように感じる。

 では、日々の暮らしの中でちょっと思いついたことや、実行したことを、時間とともに記録するにはどうしたらいいか?

 実は、それにぴったりのアプリがiPhoneにある。「MemoMa」というアプリだ。
 
MemoMaアプリ

 iPhoneには純正メモを含めてたくさんのメモアプリが存在するが、MemoMaが極めて特徴的なのは、記録する先が純正「カレンダー」アプリというところ。MemoMaに記録した内容は、カレンダーにも連動して記録されるのだ。

 カレンダーに記録するということは、年月日と合わせて時間も記録される。
 
MemoMaに記録した内容は・・・
 
カレンダーにも記録される

 しかも、カレンダーアプリはiPhoneのもっとも基本的な機能なので、まず廃版になるようなことがない。

 つまり、iPhoneが機能しつづける限り、MemoMaで記録したことも残るという「絶大なる安心感」がある。

 カレンダーのデータなので、内容を編集しても、純正メモアプリのように記録した日時が変更されてしまう心配もない。

 何月何日何時に何をやったか、ということを記録しておくのに最適なアプリなのだ。
 

MemoMa開発者に聞いた開発秘話

 今回、MemoMaの開発者である丹羽剛氏にお話しをうかがうことができた。

 丹羽氏はエンジニアであり、かつジャズ・サックス奏者でもあるというユニークな経歴の方だ。
 
MemoMa開発者でエンジニアの丹羽剛氏

 現在、ニューヨーク在住である。若いころ音楽では十分な収入が得られなかったことから、好きな音楽を続けるためにエンジニアの仕事で生計を立てていたとのこと。そのエンジニア経験を活かして、MemoMaは開発された。

 丹羽氏は、iPhone 3GからのiPhoneユーザーだそうだが、その頃からカレンダーアプリベースの日記アプリが欲しかったとのこと。

 米国では仕事や音楽活動で数えきれないほどの人に会うので、とても全員を覚えきれない。そのため彼には何月何日に誰と会った、という記録をすばやくできるアプリに必要性を感じたわけだ。
 
MemoMa開発のきっかけは、仕事や音楽活動で
会う多くの人々をすばやく記録するため(画像はイメージ)

 純正のメモアプリは、編集すると日時が書き換えられるので不可。では、たくさんリリースされているカレンダーアプリに日記機能を追加してもらおうと、20種ぐらいのカレンダーアプリの開発者に連絡を入れてみたが、まったく返信をもらえなかったそうだ。

 丹羽氏曰く、「アメリカ人は日記というものを書く人が少ないという印象」だそうだ。

 今回Appleがリリースした「ジャーナル」アプリも、日記というよりはエッセイ的な「作品」を作る人向けのツールという感じがするとのこと。

 前述のように筆者自身もそのように感じていたので、ニューヨーク在住の丹羽氏と同じ感じ方だったというわけだ。

 そんな経緯もあって、「ないものは作ろう!」ということで開発したのがMemoMaだった。
 

MemoMaはこう使え!

 開発者の丹羽氏は、開発時の目的の通り人と会った時の記録としてMemoMaを使っている。MemoMaの入力は極めてシンプルなので、必要なことをサッと入力できる。
 
MemoMaの入力画面は極めてシンプル

 サブスク契約をすれば、写真も同時に表示できる。一覧では入力したテキストと写真が時系列に並ぶので、会った人の写真を撮り、同時にMemoMaでプロフィールを書いておけば、顔と名前が同時に記録できる。

 ここで、丹羽氏からとても合理的な使い方をしているユーザーの事例を教えてもらったので紹介しよう。

 その方は、病気の関係でドクターから「毎日食べたものを記録するように」と指示されたそうだが、それをMemoMaで記録して、記録したカレンダーをドクターと共有しているとのこと。

 これならば、日時と一緒に確実に記録できて、しかも記録、即、ドクターへのレポートにもなる。
 
ドクターとの記録の共有でもMemoMaが活躍
(画像はイメージ)

 しかもこの方、MemoMaへの入力はApple WatchのMemoMaアプリで行っているとのこと。なんとも、すばらしい活用法だ。

 ちなみに筆者は朝、目覚めたときに、「起床!」と入力し、続いてその時の気温と天気を入力する。

 朝、起きたときの励みになるし、天気って数日たつとすぐに忘れるので記録しておくと何かと助かる。

 MemoMaには、日時を指定して表示できる機能があるので、気温を記録しておけば、去年の今日は何度だったか?と地球温暖化の影響を身をもって知ることもできる。

 さらに、ノスタルジーモードという、過去に記録した同月同日を一覧表示する機能があり、去年の今日、おととしの今日などを一覧で見ることができるので、数年にわたる気温の変化もチェックできる。
 

MemoMaはまだまだ進化する!?

 せっかくなので丹羽氏に今後の開発目標も聞いてみた。いつ頃実装するという約束はできないが、という言葉の後に、

・連絡先アプリと連携できたらおもしろい

・より文章を作りやすい文字入力画面を検討中

・Android版もできたらやってみたい

 などとてもワクワクするような構想を教えてもらった。

 しかしながら現在の丹羽氏はミュージシャンが本業になっていて、開発に避ける時間は以前ほどとれないとのこと。それでも、今後のMemoMaの進化に期待したいと思う。(3Dデザイナーズスクール https://3dschool.jp/ 学長 西脇 功) 

■Profile
西脇 功
製薬会社勤務を経て、1987年にApple社のMacintoshに出会いコンピュータ業界へと転進。IT系企業数社でコンテンツマーケティング、広報・宣伝のプロとして活動。製品導入事例の執筆、オウンドメディアのWebサイト立ち上げからコンテンツ作成までを一人で担当。2020年独立し、合同会社天使の時間を設立。3DCGソフト活用のためのオンラインスクール運営や、Webメディアへの記事執筆を行っている
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