パナソニックは7月20日、10年ぶりとなる炊飯器のフラグシップモデルを大幅にリニューアルした可変圧力IHジャー炊飯器ビストロ「Vシリーズ SR-V10BA」を発表した。調理家電「ビストロ」ブランドの5製品目として、初めて炊飯器が対象になった。釜内に設けた三つのセンサーが米や水、圧力の状況を検知しながら、火力と圧力を最適に制御して炊き上げる「ビストロ匠技AI」を搭載した。9月上旬の発売予定。価格はオープンで実勢価格は9万9000円前後。一升炊きの「SR-V18BA」は10万4000円前後。
具体的には、調理苦手層などターゲット層を拡大し、ビストロ製品群もさらに増やし、ダイレクトECやサブスクなど新たな販売チャネルの強化により実現していく。
また、ビストロのブランド認証を得るには、顧客の期待を超えるおいしさを実現する「テイストクオリティ」と、あらゆる空間に調和し、道具としての使いやすさと機能美を追求する「デザイン」、調理科学と独自テクノロジーを融合した「テクノロジー」の三つを備えていることが条件だという。
釜底温度センサーと沸騰検知センサーは、沸騰までの時間を秒単位で検知し、米と水量の変化を解析する。火加減で20通り、電圧で2通りの組み合わせが可能となる。これに先述のリアルタイム圧力センサーによる240通りの圧力加減が加わり、約9600通りの中から最適な炊き方を自動で調整する。
こうしたハードのテクノロジーと、ソフトの「Panasonic Cooking @Lab」開発陣による調理再現性技術を融合した「ビストロ匠技AI」は、米の乾燥具合やブランドに関わらず、炊飯器におまかせで誰でもおいしくごはんが炊けるためのコアテクノロジーとなっている。
これまではスチームを閉じ込めて加圧していたため、水蒸気量が少ないと加圧までの時間を要していたが、加圧熱風ポンプは瞬時に高温の熱風を釜内に送り込めるので、いつでも最適なタイミングで加圧できるようになった。
圧力のタイミングでいえば、特に沸騰時の残水量が少ないタイミングや追い炊き時でも急減圧したり、圧力を加減したりできるのが大きい。炊飯工程における米の状態に合わせた圧力加減の調整が、従来よりも大幅に伸ばせるようになったからだ。この点は「ビストロ匠技AI」の今後の新境地を切り開く伸びしろとなるだろう。
さらに加圧熱風ポンプの採用は、デザイン面にも大きく寄与している。これまでスチームをつくるために必要だった水タンクが不要となり、その分、本体の奥行きを短くでき、丸みを帯びたスリムでスタイリッシュなデザインを生み出した。
そんなプロの料理人である神田さんはVシリーズの炊き上がりを、「筋肉質でよくしまっている。甘さの中に食べた後の透明感がある」として、「わざわざ食べたくなるごはん。理想に近い炊き上がり」と絶賛した。
炊き上がりの釜内をのぞくと、炊きムラが少なく、熱が均等に伝わっているときに出る「カニ穴」が多くあり、米が立っていて粒感もあった。
神田さんは各テーブルを自らまわり、ごはんのよそい方を伝授。炊き上がったごはんは、かき混ぜるのではなく、米粒同士の距離感を保ったままそっとすくい、やさしく茶碗によそうと、さらにおいしくなるとのこと。実際に試食すると「筋肉質」の意味がわかるような粒感があり、甘さがありながらも食べた後のあっさりとした感じが印象的だった。(BCN・細田 立圭志)。
2025年にビストロ群で200億円以上
2023年のビストロ製品群はオーブンレンジとトースター、自動調理鍋、ホームベーカリーの4製品あり、売上規模は約100億円。パナソニック くらしアプライアンス社の下林伸行常務は、Vシリーズを新たに加えることで「25年に最低でも倍の200億円以上を目指したい」と意気込みについて語った。具体的には、調理苦手層などターゲット層を拡大し、ビストロ製品群もさらに増やし、ダイレクトECやサブスクなど新たな販売チャネルの強化により実現していく。
また、ビストロのブランド認証を得るには、顧客の期待を超えるおいしさを実現する「テイストクオリティ」と、あらゆる空間に調和し、道具としての使いやすさと機能美を追求する「デザイン」、調理科学と独自テクノロジーを融合した「テクノロジー」の三つを備えていることが条件だという。
「ビストロ匠技AI」のカギとなる「リアルタイム圧力センサー」
Vシリーズの釜内に搭載した三つのセンサーは「釜底温度センサー」と「沸騰検知センサー」、「リアルタイム圧力センサー」。特にリアルタイム圧力センサーは、釜内の圧力状況をリアルタイムにセンシングし、調圧弁と連動しながら圧力を調節する。釜底温度センサーと沸騰検知センサーは、沸騰までの時間を秒単位で検知し、米と水量の変化を解析する。火加減で20通り、電圧で2通りの組み合わせが可能となる。これに先述のリアルタイム圧力センサーによる240通りの圧力加減が加わり、約9600通りの中から最適な炊き方を自動で調整する。
こうしたハードのテクノロジーと、ソフトの「Panasonic Cooking @Lab」開発陣による調理再現性技術を融合した「ビストロ匠技AI」は、米の乾燥具合やブランドに関わらず、炊飯器におまかせで誰でもおいしくごはんが炊けるためのコアテクノロジーとなっている。
炊飯の新境地を開拓する「加圧熱風ポンプ」
また、新デバイス「加圧熱風ポンプ」にも注目したい。これまでパナソニックの炊飯器では過熱水蒸気である高温スチームを釜内に送り込むことで高温炊飯を実現していた。ところがVシリーズでは、スチームではなく加圧熱風ポンプを採用した。クランプの穴から外気をポンプで強制的に取り込み、ヒーターユニットで瞬時に約150℃の熱風にして釜内に送り込むシステムである。これまではスチームを閉じ込めて加圧していたため、水蒸気量が少ないと加圧までの時間を要していたが、加圧熱風ポンプは瞬時に高温の熱風を釜内に送り込めるので、いつでも最適なタイミングで加圧できるようになった。
圧力のタイミングでいえば、特に沸騰時の残水量が少ないタイミングや追い炊き時でも急減圧したり、圧力を加減したりできるのが大きい。炊飯工程における米の状態に合わせた圧力加減の調整が、従来よりも大幅に伸ばせるようになったからだ。この点は「ビストロ匠技AI」の今後の新境地を切り開く伸びしろとなるだろう。
さらに加圧熱風ポンプの採用は、デザイン面にも大きく寄与している。これまでスチームをつくるために必要だった水タンクが不要となり、その分、本体の奥行きを短くでき、丸みを帯びたスリムでスタイリッシュなデザインを生み出した。
日本料理「かんだ」の神田裕行さんの感想は「筋肉質なごはん」
発表会ではミシュラン三つ星の日本料理「かんだ」の神田裕行さんもトークセッションに登壇した。04年にオーナーシェフとして「かんだ」をオープンし、07年にミシュラン三つ星を獲得して以降継続。21年は後進の手本となるシェフに与えられるミシュラン「メンターシェフアワード」で世界3人目の受賞者となるほどの実力者。そんなプロの料理人である神田さんはVシリーズの炊き上がりを、「筋肉質でよくしまっている。甘さの中に食べた後の透明感がある」として、「わざわざ食べたくなるごはん。理想に近い炊き上がり」と絶賛した。
炊き上がりの釜内をのぞくと、炊きムラが少なく、熱が均等に伝わっているときに出る「カニ穴」が多くあり、米が立っていて粒感もあった。
神田さんは各テーブルを自らまわり、ごはんのよそい方を伝授。炊き上がったごはんは、かき混ぜるのではなく、米粒同士の距離感を保ったままそっとすくい、やさしく茶碗によそうと、さらにおいしくなるとのこと。実際に試食すると「筋肉質」の意味がわかるような粒感があり、甘さがありながらも食べた後のあっさりとした感じが印象的だった。(BCN・細田 立圭志)。