【木村ヒデノリのTech Magic #162】 DIYに新時代が到来している。AIを使うことももちろんだが、自宅で使える加工機の進化に驚いた。特に今回のbeamoはCO2を使う方式にも関わらず、かなりコンパクトで実用性が非常に高い。この記事ではレーザー加工機での事例が少ないレザーの加工と、それを使ったトートバッグの製作を試してみた。加工機など環境を整えれば自宅で1個からプロ顔負けのオートクチュールができる時代が到来している。
よくレーザーのワット数が高ければ加工できるものが増えるという誤解をされがちだが、加工できるものは波長によって変わってくる。このため半導体方式で加工できないものはワット数が上がっても加工できない。
加工サンプルとして木材に刻印しているものなどが多く紹介されているが、実際普段使うものを作ろうとすると透明なものが加工できた方が良い場合が多い。例えば今回のようなバッグも透明のブランドタグをつけてあげれば高級感がグッと増す。
これまでCO2加工機は自宅には置けない大きさのものが多かったが、beamoは一番長い横幅が60cm弱とかなり小さい。さらにカメラでの位置合わせや火災を防ぐ消炎機能などもついており、痒いところに手が届く仕様だ。加工できる材料が一番多いCO2レーザーがこの大きさなのは驚きで、価格も29万7000円と頑張れば手が届く。
筆者は半導体レーザーもいくつか試しているが、これから自分の作品を販売していきたいなら確実にbeamoを選ぶのが良いと断言できるほど使い勝手が良かった。
位置合わせもカメラで置いたものを見て行えるので業務用マシンのように治具などを別途作る必要がない。beamoの唯一の弱点はA4サイズまでしか加工できない点だが、カメラを使えば2回に分けて加工できるので今回のような大きなレザーにも刻印が可能だ。
Adobe Illustratorのデータで色分けしておけば、色に応じて加工の強さを変えることも簡単。このため連続して複数の加工をする時も刻印と切断を一連の流れで行うことができて時間短縮ができる。
レザーに加工する場合もそうで、自由にデザインを入れられる反面、加工部分が黒く焼けるなどいかにもレーザー加工といった見た目になってしまうのが残念だ。こんな時は材料にひと工夫すると良いだろう。
今回使ったのはLaser Styleのシンセティックレザーという商品。これは色違いの合皮が2層になったもので、レーザー加工しただけで箔押しのような効果を得られる。大きさもA4が2枚取れるようになっているのでbeamoとも相性が良かった。
通常、レザーへの箔押しは大きな機械や技術が必要で難易度が高い。特に今回のようにA4サイズを超える大きな箔押しともなれば、この加工だけでもかなりの費用がかかるだろう。これでは試作を繰り返す作品作りには向かない。
対してこのシンセティックレザーを使った加工であれば、事前に最適なレーザー強度を調べておくだけで試作から製作までが非常に早い。また強度を変えるだけで持ち手のような使い古した金属感も出すことができる。箔押しだけでは難しかった新しい表現が可能なのだ。
Laser Styleでは金属風に見えるアクリルの二層板など、他にも多くの興味深い材料が販売されている。材料を工夫するとレーザーで作ったとは思えない作品にできるのでおすすめだ。beamoの機能性と併せることで可能性の幅が大きく広がるのはクリエイターとして嬉しい限りだ。
3Dプリンターや他の工作機械、レジンキャストなども組み合わせると作れるものの幅がまさに無限大なbeamo。あれこれ作りたいアイデアが浮かびすぎているので今後も作って紹介していこうと思う。リクエストや質問などがあればTwitterで知らせて欲しい。
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
世界最小でCO2が使える強み
安くてコンパクトなレーザー加工機は多く出ているが、CO2方式は珍しい。光が青白く見えるタイプのものは半導体方式の加工機で、安価で手軽なものの透明なものは加工できないという致命的な欠点がある。対してCO2方式は金属への刻印に専用の薬剤がいるものの、透明アクリル等も加工できるのでアクセサリーの製作にも適している。よくレーザーのワット数が高ければ加工できるものが増えるという誤解をされがちだが、加工できるものは波長によって変わってくる。このため半導体方式で加工できないものはワット数が上がっても加工できない。
加工サンプルとして木材に刻印しているものなどが多く紹介されているが、実際普段使うものを作ろうとすると透明なものが加工できた方が良い場合が多い。例えば今回のようなバッグも透明のブランドタグをつけてあげれば高級感がグッと増す。
これまでCO2加工機は自宅には置けない大きさのものが多かったが、beamoは一番長い横幅が60cm弱とかなり小さい。さらにカメラでの位置合わせや火災を防ぐ消炎機能などもついており、痒いところに手が届く仕様だ。加工できる材料が一番多いCO2レーザーがこの大きさなのは驚きで、価格も29万7000円と頑張れば手が届く。
筆者は半導体レーザーもいくつか試しているが、これから自分の作品を販売していきたいなら確実にbeamoを選ぶのが良いと断言できるほど使い勝手が良かった。
ソフトウェアも優秀、直感的に作品が作れる
beamoに付属のBeam Studioが使いやすいのもおすすめポイントだ。通常ここまで業務用と遜色ない加工ができるレーザー加工機はソフトウェアが複雑になりがちだが、Beam Studioはパラメーターの項目名もわかりやすく、少し触ればマニュアルなしでも使えるレベル。位置合わせもカメラで置いたものを見て行えるので業務用マシンのように治具などを別途作る必要がない。beamoの唯一の弱点はA4サイズまでしか加工できない点だが、カメラを使えば2回に分けて加工できるので今回のような大きなレザーにも刻印が可能だ。
Adobe Illustratorのデータで色分けしておけば、色に応じて加工の強さを変えることも簡単。このため連続して複数の加工をする時も刻印と切断を一連の流れで行うことができて時間短縮ができる。
材料にひと工夫してレーザー加工くささを消す
レーザーで作って作品にありがちなのが特有のレーザーくささがあること。焼き切るので側面が黒くなるなどレーザーっぽくなってしまうことが気になる人も多いだろう。レザーに加工する場合もそうで、自由にデザインを入れられる反面、加工部分が黒く焼けるなどいかにもレーザー加工といった見た目になってしまうのが残念だ。こんな時は材料にひと工夫すると良いだろう。
今回使ったのはLaser Styleのシンセティックレザーという商品。これは色違いの合皮が2層になったもので、レーザー加工しただけで箔押しのような効果を得られる。大きさもA4が2枚取れるようになっているのでbeamoとも相性が良かった。
通常、レザーへの箔押しは大きな機械や技術が必要で難易度が高い。特に今回のようにA4サイズを超える大きな箔押しともなれば、この加工だけでもかなりの費用がかかるだろう。これでは試作を繰り返す作品作りには向かない。
対してこのシンセティックレザーを使った加工であれば、事前に最適なレーザー強度を調べておくだけで試作から製作までが非常に早い。また強度を変えるだけで持ち手のような使い古した金属感も出すことができる。箔押しだけでは難しかった新しい表現が可能なのだ。
Laser Styleでは金属風に見えるアクリルの二層板など、他にも多くの興味深い材料が販売されている。材料を工夫するとレーザーで作ったとは思えない作品にできるのでおすすめだ。beamoの機能性と併せることで可能性の幅が大きく広がるのはクリエイターとして嬉しい限りだ。
3Dプリンターや他の工作機械、レジンキャストなども組み合わせると作れるものの幅がまさに無限大なbeamo。あれこれ作りたいアイデアが浮かびすぎているので今後も作って紹介していこうと思う。リクエストや質問などがあればTwitterで知らせて欲しい。
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)