【木村ヒデノリのTech Magic #159】2017年に発売されたマイク「Ambeo VR Mic」が再び注目されている。VRを楽しむ環境が整ってきたためだ。高品質なゴーグルが手頃な値段で手に入るようになったと同時に、YouTubeが対応したことで誰でもVRコンテンツを楽しめるようになった。VRはすでに「自分で作る時代」に突入している。
マイクロフォンの老舗メーカーであるSennheiserはAMBEOブランドのVRマイクを2017年に発売したが、これが現在の潮流に乗って再び必要とされてきている。このマイクを使うと360度の高品質な音声を収録でき、後からそれを様々な形で利用できるというわけだ。
これまでVR音声というのは簡易的な収録方法か、かなり大掛かりな収録方法のどちらかしかなかった。しかし技術革新のおかげで、現在はかなりコンパクトな装備で投資も少なく収録ができるようになってきている。
収録後パソコン上でプラグインを用いた変換作業が必要だったワークフローも今なら直接YouTubeで使えるフォーマット(AmbiX)で収録できるようになっている。これによってハイグレードなマイクで録ることがぐっと身近になり、EOS R5などと組み合わせることで手軽に高品質なコンテンツを作ることができるようになった。
対してカメラで収録すれば良いVR コンテンツは非常に手軽だ。いくつかの機材さえ容易すれば、誰でも空間を切り取って来られる。
自分がVRゴーグルを持っていれば、旅行先の名所を追体験することができるし、コレクションにもできる。YouTubeなどで配信すれば他のユーザーも楽しめるので、今後を見据えて多くラインアップしておくのも良いかもしれない。
Ambeo VR Micで収録された音声はノイズが少なく、細かい環境音のニュアンスまでを精密に収めてくれる。これによって映像の臨場感が増し、コンテンツの魅力も大幅にアップする。
マイク1本に十数万出すのを躊躇するかもしれないが、録音した音声はステレオやバイノーラルにも簡単に書き出せるので持っていて損はないだろう。
これなら突然トラックが通って音が割れてしまった、ということも防げるし、録音レベルが低過ぎてノイズが多くなってしまった、という失敗もない。
解像度は少し低い96kHz での収録となってしまうが、それでもCDの2倍だ。慣れてきたら24bit 収録に戻して192kHz収録すればさらにリアルな音質となる。
2023年3月現在では32bit Float 収録できるVR 機材は他にないので、このセットアップはかなり便利だ。筆者は今までZoom のH3-VR で何度か収録をしてきたが、マイクの品質が物足りないのと、録音レベルの設定が難しいことに悩まされていた。
VR撮影は10分以上固定で撮ることも珍しくないが、その間に大きな音が入ることがままある。せっかく環境オンや鳥の声が綺麗に撮れていてもいきなり車が通って台無し、ということが頻発した。
対してこの最新セットアップなら収録後に大きかったところのレベルだけ下げれば大丈夫で、音質も損なわれない。まさに最強のセットアップだ。
スピーカーの音声比較なども収録してみたが、バイノーラルで書き出すと非常にリアルだ。これまで伝えづらかった音の響きの違いなどが収録したコンテンツで伝えられるようになるのには重宝する。
タイムコードも使えるので、映像と音声を後から合わせる手間もなく一瞬でそろえられる。これがあることで気軽にAmbeo VR Mic単体で収録できるし、単体ならどこにでも置けるメリットがある。
そもそもマイクの品質が低いとうまくいかないが、そこはさすがSennheiserの製品。すごく頭のいい近眼の人が、メガネなしにノートを取れないのと同じで、収録機材が良くても入口が悪ければ良いものが録れない。「自分はマイクの品質なんてわからないから……」という人ほどこれをおすすめしたい。音大時代からいくつもマイクを使ってきたが、自信を持っておすすめできる。
マイクロフォンは、新しい古いに関わらず良いものが長く使われる業界。Ambeo VRMic はすでに成熟した製品なので、今後新しいものが出て陳腐化することもないだろう。これからVR コンテンツは当たり前のように消費されるようになると思うので、今から作るのに慣れておきたい。
まずは自分でお気に入りの風景をコレクションするような楽しみ方から始めて見るのはどうだろうか。
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
高品質な音声が映像を左右する
VRコンテンツというと360度もしくは180度で撮影された映像に意識が行きがちだが、音声が非常に重要だ。自然や雑踏など、ある空間を切り抜くVRコンテンツでは、リアルな音声が没入感を大幅にアップさせる。マイクロフォンの老舗メーカーであるSennheiserはAMBEOブランドのVRマイクを2017年に発売したが、これが現在の潮流に乗って再び必要とされてきている。このマイクを使うと360度の高品質な音声を収録でき、後からそれを様々な形で利用できるというわけだ。
これまでVR音声というのは簡易的な収録方法か、かなり大掛かりな収録方法のどちらかしかなかった。しかし技術革新のおかげで、現在はかなりコンパクトな装備で投資も少なく収録ができるようになってきている。
収録後パソコン上でプラグインを用いた変換作業が必要だったワークフローも今なら直接YouTubeで使えるフォーマット(AmbiX)で収録できるようになっている。これによってハイグレードなマイクで録ることがぐっと身近になり、EOS R5などと組み合わせることで手軽に高品質なコンテンツを作ることができるようになった。
メタバースよりも作るのが容易
VRというとメタバースを思い浮かべがちだが、こちらは自分で作るハードルが高い。3DCGの知識や高スペックのパソコンを容易するなどまだ誰でも作れるようにはなってにはなっていない。対してカメラで収録すれば良いVR コンテンツは非常に手軽だ。いくつかの機材さえ容易すれば、誰でも空間を切り取って来られる。
自分がVRゴーグルを持っていれば、旅行先の名所を追体験することができるし、コレクションにもできる。YouTubeなどで配信すれば他のユーザーも楽しめるので、今後を見据えて多くラインアップしておくのも良いかもしれない。
Ambeo VR Micで収録された音声はノイズが少なく、細かい環境音のニュアンスまでを精密に収めてくれる。これによって映像の臨場感が増し、コンテンツの魅力も大幅にアップする。
マイク1本に十数万出すのを躊躇するかもしれないが、録音した音声はステレオやバイノーラルにも簡単に書き出せるので持っていて損はないだろう。
Float 32bitで音量に煩わされないセットアップは唯一
良いマイクを使っても、素人では収録自体が難しいと思われている方も安心してほしい。Ambeo VR Mic を使った最新セットアップなら今話題のFloat 32bit で360 度収録ができる。これなら突然トラックが通って音が割れてしまった、ということも防げるし、録音レベルが低過ぎてノイズが多くなってしまった、という失敗もない。
解像度は少し低い96kHz での収録となってしまうが、それでもCDの2倍だ。慣れてきたら24bit 収録に戻して192kHz収録すればさらにリアルな音質となる。
2023年3月現在では32bit Float 収録できるVR 機材は他にないので、このセットアップはかなり便利だ。筆者は今までZoom のH3-VR で何度か収録をしてきたが、マイクの品質が物足りないのと、録音レベルの設定が難しいことに悩まされていた。
VR撮影は10分以上固定で撮ることも珍しくないが、その間に大きな音が入ることがままある。せっかく環境オンや鳥の声が綺麗に撮れていてもいきなり車が通って台無し、ということが頻発した。
対してこの最新セットアップなら収録後に大きかったところのレベルだけ下げれば大丈夫で、音質も損なわれない。まさに最強のセットアップだ。
360度以外にも色々使えるので持っておいて損はない
空間を丸ごと収録できるマイクはインタビューなどにももってこいだ。メインのマイクに加えて収録しておくことで、後から好きな方向からステレオで切り出した環境音を追加するなど、もしもの時に色々使える。スピーカーの音声比較なども収録してみたが、バイノーラルで書き出すと非常にリアルだ。これまで伝えづらかった音の響きの違いなどが収録したコンテンツで伝えられるようになるのには重宝する。
タイムコードも使えるので、映像と音声を後から合わせる手間もなく一瞬でそろえられる。これがあることで気軽にAmbeo VR Mic単体で収録できるし、単体ならどこにでも置けるメリットがある。
そもそもマイクの品質が低いとうまくいかないが、そこはさすがSennheiserの製品。すごく頭のいい近眼の人が、メガネなしにノートを取れないのと同じで、収録機材が良くても入口が悪ければ良いものが録れない。「自分はマイクの品質なんてわからないから……」という人ほどこれをおすすめしたい。音大時代からいくつもマイクを使ってきたが、自信を持っておすすめできる。
マイクロフォンは、新しい古いに関わらず良いものが長く使われる業界。Ambeo VRMic はすでに成熟した製品なので、今後新しいものが出て陳腐化することもないだろう。これからVR コンテンツは当たり前のように消費されるようになると思うので、今から作るのに慣れておきたい。
まずは自分でお気に入りの風景をコレクションするような楽しみ方から始めて見るのはどうだろうか。
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)