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CP+2023、来場者は過去最低でもオンライン参加者は過去最高、問われるリアル開催の意義

イベント

2023/03/12 18:30

 4年ぶりにリアル会場での開催を実現させたCP+だったが、延べ来場者数は4日間合計で3万8181人にとどまり、リアル開催時の過去最低記録を更新した。一方で、会期中の延べオンライン参加者数は11万8476人を数え、合計参加者数は15万6657人と、過去最高を記録した。


 2月23日から26日までの4日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催したCP+2023。23日が祝日で例年より条件は良かったものの、会場を訪れた延べ来場者数は、2010年の第1回開催時に記録した4万1033人を初めて下回った。3回目の12年以降、大雪の影響で会期が1日短くなった14年を除き、CP+は安定的に6万人を超える来場者を維持。カメラ市場の縮小が続く中にもかかわらず、コロナ前年の19年には6万9615人と過去最高の来場者数を記録していた。しかしコロナ禍に突入したことで20年、21年、22年と3年連続でリアル開催を断念。3回分のブランクは大きく、コロナ禍でカメラ業界が受けた傷の深さを示す結果になった。
 
初日の2月23日が祝日で例年より好条件だったが、
土日の来場者が伸び悩み、
総来場者数が4万人を割り込んだ

 コロナ禍の影響は規模の縮小にも表れた。CP+の出展社数を見ると、初回の2010年でも77社。ピーク時の2016年には132社に上る盛況ぶりでパシフィコ横浜の展示会場一杯にブースが広がっていた。しかし今回は、総数でもわずか47社。リアル会場への出展は44社と極めて低調だった。コロナ禍の影響が強く残る中での募集、準備、開催だったためやむを得ない事態だ。しかし、次回以降どこまで規模を戻すことができるかは大きな課題といえるだろう。

 20年は開催直前に急遽中止したため、オンラインへの移行は間に合わなかったが、21年はオンラインで開催し、会期中の参加者数は5万15人。22年はオンラインとリアル会場のハイブリッド開催を目指したものの、直前の感染者急増を受け、リアル会場での開催を中止。オンラインのみに切り替え、参加者数は7万2475人を数えた。CP+も、オンラインでも参加できる見本市という、新たなスタイルを獲得。オンライン参加者は回を追うごとに増えている。とはいえ手放しでは喜べない。「オンラインがあるなら、わざわざ足を運ぶ必要はない」と、さらなる来場者の減少を招く恐れもあるからだ。オンラインイベントの拡大は痛し痒しの状況ともいえる。
 
各社とも撮影体験コーナーに力を入れており、
例年より充実していた
(ソニーブース)

 久々のリアル開催ということもあり、出展各社は撮影体験コーナーに力を入れていた。以前見られた「他社製カメラでの撮影お断り」という理不尽な規制は見かけなくなり、比較的自由に撮影を楽しむ場は確保できていたように思う。とはいえ、従来と変わらぬ、通り一遍の展示も多く、既視感溢れるイベントだったことも否めない。相変わらず平均年齢は高く、子どもはちらほら程度。モデル撮影を目的に訪れる通称「カメコ」は、「絶滅寸前ではないか」と思えるほど少なかった。
 
詳しい説明を聞きながら実機を手に取って試せるのが、
リアル開催の大きなメリットだ
(富士フイルムブース)

 次回のCP+2024は、24年2月22~25日の開催だ。いよいよコロナの影響が消えたフルフルのイベントになる。「リアル開催の必然性」はもとより、「本質的なカメラの役割」や「写真や映像が人々の人生にもたらす本当の価値」が試されることになるだろう。(BCN・道越一郎)