タイガー魔法瓶は高級コーヒーメーカー市場参入の第一弾として、自動サイフォン式コーヒー抽出システムを搭載したコーヒーメーカー「Siphonysta（サイフォニスタ） ADS-A020」を発表した。発売は2月21日、価格はオープンで市場想定価格は6万6000円。

 

スチームで蒸らし注湯で撹拌

　コロナ禍で在宅時間が増え、家でコーヒーを飲む機会が増加。スペシャルティコーヒーの輸入比率も高くなっているという。タイガー魔法瓶では既存のコーヒーメーカーや電気ケトル、ジャー炊飯器などで培ったスチームと熱の制御技術を生かした新しいコーヒーメーカーを開発、発表した。

　サイフォニスタと命名されたADS-A020は、コーヒーにこだわりを持つカフェや喫茶店で使われているサイフォン式のコーヒーメーカー。開発には約2年をかけた。豆本来の味を引き出しつつ、クリアーで雑味の少ないコーヒーを抽出できるという。
　一般的なサイフォンは下部のフラスコに水を入れ、上部のロートにコーヒー粉を入れる。しかし、ADS-A020ではこれが逆。下のシリンダーにコーヒー粉、上のシリンダーには水を入れるのだ。
　入れた水は同社の電気ケトルで採用しているプリントヒーターを応用した新技術により、すぐにスチームとなって下のシリンダーに送られ、コーヒー粉を蒸らす。さらにヒーターで加熱されたお湯が注がれてコーヒー粉を浸し、撹拌する。
　続いて上のシリンダー内部の空気を抜いて減圧すると、抽出されたコーヒーが噴水のように噴き上げられる。あとは本体右側にカップを置き、レバーを引いてカップにコーヒーを注ぐだけ。使用水量は0.29Lで、カップ1～2杯分。スタートから最短2分40秒という速さでできあがる。
　上下のシリンダーの間にはメッシュフィルターを採用。布フィルターと異なり、コーヒー豆の油分をろ過しないので香りやコクのある味わいに仕上げる。

　コーヒーが噴き上がる様子が美しく見えるようにシリンダーとパイプの距離も計算されているという。コーヒーの味を楽しむだけでなく、抽出工程を見て楽しめるのもADS-A020ならではだ。

　また、コーヒーをカップに注ぐときは、自分でレバーを引く。全自動工程の最後にあえて手動を採用したことで、自分で淹れている感覚も体感できるというわけだ。
 

注湯の温度を切り替えるDual Temp機能を搭載

　ADS-A020は、こだわりを持ってコーヒーを楽しむ人に向けた製品。それゆえコーヒーの味にもこだわり、風味は酸味～苦味の3段階、濃さはライト～ストロングの3段階で抽出できる。

　さらにこの9通りに加えて、2段階温度抽出法を意味するDual Tempモードも搭載している。これは注湯の前半は高温、後半は低温に切り替えて抽出するモード。湯の温度を下げることでコーヒー粉から出る雑味を抑え、コーヒー豆本来の風味が楽しめるという。

　同じコーヒー粉でも9＋1＝10通りの味が楽しめるので、自分に最適の味を見つけてみるのもコーヒーの楽しさの一つといえるだろう。  
　上下のシリンダーやジョイント、パッキン、フィルターなどは毎回手入れが必要だが、上下のシリンダーとふた、湯水パイプは食洗機に対応している。内部の経路は水だけ入れて運転することで洗浄できる。また、内部の経路にミネラル成分が溜まるとアラームがなる。このミネラル成分を取り除くためにクエン酸を使った洗浄モードも搭載している。

　ADS-A020は自宅で、よりコーヒーを楽しみたいというニーズに合致した製品となっている。味はもちろんだが、抽出工程が視認できてミニマルかつモダンテイストなデザインは視覚的にも楽しめる。コーヒー好きは、ぜひ店頭で実機を見てみよう。