【木村ヒデノリのTech Magic #143】 この発想は新しい。もうクリップオン(カメラの上につけるタイプ)のストロボを使うことはないかなと思っていたけれど、これは普段から持ち歩くようになった。影がくっきりしてしまうクリップオンストロボだが、Lux Seniorは輪郭が柔らかい。素人でも上手に撮りやすく、SNSに上げる写真が一層楽しくなる製品だ。
Hasselbladとも抜群の相性のLux Senior
(1万8088円、2022年11月現在のAmazonでの価格)
レトロな見た目だが実用性は高い
オート、マニュアル両方で撮れるのでオールドカメラにも使える
リフレクターとフラッシュバルブを収納してたためる
折り畳めば手のひらサイズなので持ち運びが容易
USB-Cで充電、シンクロケーブルも接続できる
最近発売されたキヤノン「EL-1」。
ウェディングフォトには必須のアイテム
こうした潮流に逆らって見事に使う意義を提案してみせたのが、Lux Seniorだ。「フィルターを使わずにレトロな写真が撮れる」というコンセプトの製品だが、実用においても非常に優秀だった。
今回多くの作品はHasselblad 907xとLux Seniorの組み合わせで撮影した
まず注目すべきは光の質。正面から強い光を当てるクリップオンストロボは一様に明るく、また影も濃くなってしまうのが常。しかしLux Seniorは柔らかな光で調整次第で明るい中でも陰影の繊細な表現ができる。
通常ストロボ撮影だとこんな雰囲気に、影もはっきり写る
さらに影の縁がはっきり現れることなくなだらかにグラデーションになってくれるので、背景が近い場合でも自然に被写体だけを明るくできるのだ。
Lux Seniorでは影の縁がなだらかに描写される
そして、この品質をこのコンパクトさで持ち運べるのも良い。バッテリー内蔵で満充電すればかなり持つ。筆者は3~4回撮影に持ち出したがまだ1度も充電していない。
電池交換できないのは不便かと思ったがここまで持つならOK
ちょっとだけ被写体を明るくして背景と露出を合わせるなど、かなり柔軟に、また繊細に光をコントロールできるので街中スナップにももってこいだ。手軽に持ち出せて、正面から当てても良い感じになるというクリップオンストロボの良いところだけ抽出したような性能はかなり実用的だった。
街中でサッと使えるのがとても手軽で便利だった
背景と被写体の明るさを合わせると両方映えて、ドラマティックな写真になる
通常あまり目にすることがない画が撮れる日中シンクロだが、これまではカメラとは別の位置におけるストロボを容易する必要があるなど気軽にできなかった。
日中シンクロで綺麗に撮ろうと思ったら機材がいろいろと必要だった
しかし柔らかな光をさまざまな強さで照射できるLux Seniorならカメラに付けた状態で日中シンクロにチャレンジできる。これは画期的だ。
Lux Seniorならカメラ1つでこの仕上がり
もちろんこれまでのクリップオンストロボでも同じことができることはできるが、光の質でどうしても素人くさい仕上がりになってしまう。
何も気にしないとこんな感じに写ってしまうので普通のクリップオンストロボは難しい
Lux Seniorなら強くしすぎないことだけ考えておけば雰囲気良く日中シンクロを撮ることが可能。面倒な機材のセッティングなしに手持ちで撮れるので表現の幅がグッと広がるだろう。
強くしすぎなければこんなに自然な感じでストロボ撮影が可能と優秀
ストロボにフィルターでこの雰囲気に
最近はあえて写ルンですなどレトロなカメラで撮ってSNSにアップするというのが流行っているが、オールドカメラとLux Seniorで撮ればさらに一歩踏み込んだレトロフォトが撮れる。
レトロがおしゃれということで再燃している写ルンです人気
いろいろなフィルターをかけていってもスマホの写真より明らかにおしゃれになるので楽しい。やはり元の写真がどのように撮られているかは重要だ。
ストロボ無しでフィルターをかけてもそこそこ良いが…
ストロボを使ったものと比較するとその差は歴然
スマホの写真より良いと書いたが、Lux Senior自体をスマホと連携すればSNSにアップするのが楽になる。iPhoneのRAW形式でLux Seniorを使って撮影し、現像からフィルター、投稿までをiPhone上で行えば一味違った写真を毎日投稿しやすいだろう。
対応の機材やシンクロケーブルでiPhoneとも連携させて使える
Lux Senior自体はスマホ連携に非対応だが、同じGODOX製品には連携機能がある製品もあったので搭載されることを期待しよう。現在は連携できる機器とシンクロケーブルで繋ぐことで実現できる。
折りたたみ式のリフレクターやフラッシュバルブがベストマッチ
また、古いHasselbladとの相性も良い。Hasselbladはレンズシャッターを採用しているため、前述した日中シンクロが1/500秒のシャッタースピードでも可能。したがって夕方など少し暗くなるタイミング以外でも日中シンクロを楽しむことができる。
レンズシャッターのHasselbladとテクノロジーの組み合わせは新たな可能性を拓く
古いカメラの物理フィルターとも相性が良い。写真はHasselbladのSofter IIIフィルターを使っているが、ストロボの光質とフィルターがレトロな仕上がりにしてくれている。
光学的にフワッとさせてくれるフィルターで
デジタル処理で不可能なテイストを出す
レトロといっても工夫次第で様々な雰囲気にすることができて面白い
他にも以前紹介したHassyPBを使えば古いHasselbladの描写を直接インスタントフィルムにのせることができるなど、可能性は無限大だ。
そのままインスタントフィルムで出力しても良い雰囲気になる
あえて反射を入れてみる、場所も相まってかなり古い印象に
そのコンセプトの面白さはさることながら、実用においてもかなり使い所が多いのが良い。このクオリティなら次世代機も開発されるだろうが、そのタイミングで1点だけ改良してほしいところがある。
コンパクトになるのに角度が変わらないのが惜しい
Lux Seniorはかなりコンパクトになるものの、装着したままだと直立してしまう。これが結構使いづらい。シューと本体を繋ぐ場所にボタンを配置し、押しながら角度を変えられるようになればレンズと並行に寝かせられるので移動中にかさばらず、便利だ。
やや上、やや下など角度で表現も変えられるので次のバージョンでほしい機構だ
カバンに入れる時もそのままだと入れづらかったので、この点はぜひ改善してほしい。とはいえ、価格も1万円台(円安になる前は1万6000円くらいだった)なところも含め、コスパが非常に高い製品だ。
カラーエディションも登場し、より自分のカメラに合わせやすくなった
かなりの頻度スナップで使えるので、個人的にはこの価格がかなり安く感じた。自分の写真表現の引き出しの一つとして持っていて損はない製品だろう。ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Tech Director、スマートホームブランドbentoを展開。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
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(1万8088円、2022年11月現在のAmazonでの価格)
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クリップオンストロボの良さだけ抽出
最近はカメラが高性能になっているのでクリップオンストロボの出番はかなり減っている。暗くても撮れるし、正面から強い光を当てるのは難易度も高い。おそらく現在もクリップオンストロボを使っているのはウェディングフォトグラファーくらいではないだろうか。
ウェディングフォトには必須のアイテム
こうした潮流に逆らって見事に使う意義を提案してみせたのが、Lux Seniorだ。「フィルターを使わずにレトロな写真が撮れる」というコンセプトの製品だが、実用においても非常に優秀だった。
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まず注目すべきは光の質。正面から強い光を当てるクリップオンストロボは一様に明るく、また影も濃くなってしまうのが常。しかしLux Seniorは柔らかな光で調整次第で明るい中でも陰影の繊細な表現ができる。
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さらに影の縁がはっきり現れることなくなだらかにグラデーションになってくれるので、背景が近い場合でも自然に被写体だけを明るくできるのだ。
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そして、この品質をこのコンパクトさで持ち運べるのも良い。バッテリー内蔵で満充電すればかなり持つ。筆者は3~4回撮影に持ち出したがまだ1度も充電していない。
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ちょっとだけ被写体を明るくして背景と露出を合わせるなど、かなり柔軟に、また繊細に光をコントロールできるので街中スナップにももってこいだ。手軽に持ち出せて、正面から当てても良い感じになるというクリップオンストロボの良いところだけ抽出したような性能はかなり実用的だった。
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日中シンクロが手軽に! 写真表現の幅が大きく広がる
「日中シンクロ」というのは、逆光状態で背景と被写体の明るさを合わせて撮影するテクニックだ。通常逆光だと被写体が暗くなってしまうが、この方法だと背景の美しさと被写体の美しさを同時に収めることができる。
通常あまり目にすることがない画が撮れる日中シンクロだが、これまではカメラとは別の位置におけるストロボを容易する必要があるなど気軽にできなかった。
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しかし柔らかな光をさまざまな強さで照射できるLux Seniorならカメラに付けた状態で日中シンクロにチャレンジできる。これは画期的だ。
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もちろんこれまでのクリップオンストロボでも同じことができることはできるが、光の質でどうしても素人くさい仕上がりになってしまう。
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Lux Seniorなら強くしすぎないことだけ考えておけば雰囲気良く日中シンクロを撮ることが可能。面倒な機材のセッティングなしに手持ちで撮れるので表現の幅がグッと広がるだろう。
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アプリでフィルターをかけるのがさらに楽しい
フィルター無しでも映える写真ができるLux Seniorだが、これで撮れたレトロ調の写真にフィルターをかけるとさらに良い出来栄えになる。
最近はあえて写ルンですなどレトロなカメラで撮ってSNSにアップするというのが流行っているが、オールドカメラとLux Seniorで撮ればさらに一歩踏み込んだレトロフォトが撮れる。
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いろいろなフィルターをかけていってもスマホの写真より明らかにおしゃれになるので楽しい。やはり元の写真がどのように撮られているかは重要だ。
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スマホの写真より良いと書いたが、Lux Senior自体をスマホと連携すればSNSにアップするのが楽になる。iPhoneのRAW形式でLux Seniorを使って撮影し、現像からフィルター、投稿までをiPhone上で行えば一味違った写真を毎日投稿しやすいだろう。
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Lux Senior自体はスマホ連携に非対応だが、同じGODOX製品には連携機能がある製品もあったので搭載されることを期待しよう。現在は連携できる機器とシンクロケーブルで繋ぐことで実現できる。
Hasselbladと相性抜群、デザイン性もテンションが上がる
Lux Seniorはオールドカメラとも相性抜群だ。見た目がとにかくフィットするのでLeicaやFujiなどオールド調のデジカメとともに使うのはテンションが上がる。
また、古いHasselbladとの相性も良い。Hasselbladはレンズシャッターを採用しているため、前述した日中シンクロが1/500秒のシャッタースピードでも可能。したがって夕方など少し暗くなるタイミング以外でも日中シンクロを楽しむことができる。
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古いカメラの物理フィルターとも相性が良い。写真はHasselbladのSofter IIIフィルターを使っているが、ストロボの光質とフィルターがレトロな仕上がりにしてくれている。
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デジタル処理で不可能なテイストを出す
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クリップオンストロボの使い方を再提示する画期的製品
Lux Seniorは使われなくなってきているクリップオンストロボに新たな使い方を提示する画期的製品だ。
そのコンセプトの面白さはさることながら、実用においてもかなり使い所が多いのが良い。このクオリティなら次世代機も開発されるだろうが、そのタイミングで1点だけ改良してほしいところがある。
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Lux Seniorはかなりコンパクトになるものの、装着したままだと直立してしまう。これが結構使いづらい。シューと本体を繋ぐ場所にボタンを配置し、押しながら角度を変えられるようになればレンズと並行に寝かせられるので移動中にかさばらず、便利だ。
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カバンに入れる時もそのままだと入れづらかったので、この点はぜひ改善してほしい。とはいえ、価格も1万円台(円安になる前は1万6000円くらいだった)なところも含め、コスパが非常に高い製品だ。
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かなりの頻度スナップで使えるので、個人的にはこの価格がかなり安く感じた。自分の写真表現の引き出しの一つとして持っていて損はない製品だろう。ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Tech Director、スマートホームブランドbentoを展開。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)