アップルが新しい第10世代のiPadを発売した。最も安価なエントリーモデルのiPadに採用を続けてきたTouch ID内蔵のホームボタンを省き、画面占有率の高いオールスクリーンデザインに刷新した。ビジネスシーンにも新しいiPadは活用できるのか。試用インプレッションをレポートする。
マスクを装着したままでも指紋認証で画面ロックを解除できるところが、Face IDのみ搭載する上位iPad Proとの違い。冬から春にかけてマスクを着けて外に出る機会も増えるので、第10世代のiPadはリモートワークにも適したモバイルデバイスだといえる。
新しいiPadの価格はWi-Fiモデルが6万8800円から、5G対応(Sub-6帯)のWi-Fi+Cellularモデルが9万2800円からとなる。MacBookにはまだセルラー通信機能を本体に内蔵するモデルがないので、新しいiPadの方がテザリングや公衆Wi-Fiを使わず、セキュアに「いつでも・どこでも」ネットワークに接続しやすい。仕事のメインPCにはMacBookを選びつつ、出張やリモートワークの際に機動力を重視してセルラーモデルのiPadを活躍させるという使い分けも考えられそうだ。
第10世代のiPadは、歴代iPadの中で初めて、横向きに構えた本体のフロント側センターの位置にカメラを配置した。MacBookシリーズや多くのノートPCと同じになったということなのだが、筆者のようなiPadユーザーには注目すべき吉報だ。というのも、従来のiPadをビデオ付きのオンライン会議などに使うと、カメラの位置がフロントパネルの左側になるので、画面越しだが通話相手に目線を合わせづらかった。新しいiPadであれば、自然にカメラの方を向くことができる。通話相手にも良い印象を与えられるだろう。このフロントカメラの仕様は今後iPadのスタンダードになりそうだ。
iPadを充電したり、ストレージメディアなど外部アクセサリ機器との接続にも使うデジタルコネクタはLightning端子からUSB-C端子に変更された。先行してUSB-Cに置き換わったiPad Pro/Air/miniにそろった格好だ。昨今はモバイルPCやワイヤレスイヤホンにもUSB-Cコネクタを採用する機器が増えている。これらの機器を一緒に持って出張に出かける際、充電ケーブルを一本化できるメリットがある。ワイヤレスイヤホンやスマートウォッチなど小型のデバイスのバッテリが残り少なくなったらiPadから分け与えることもできた。
USB-Cコネクタになって、一つ不便を感じることもある。対応する第1世代のApple PencilがiPadに直接挿して充電できないのだ。充電やペアリングを行うためUSBケーブルのほかに、新しく発売されるアクセサリの「USB-C to Apple Pencilアダプタ」が必要になる。アクセサリを持ち歩いていない時にApple Pencilのバッテリが消耗してくると不安になる。ほかのiPadはアクセサリを使わずにApple Pencilが充電できる機能を特徴として掲げているので、アップルにはぜひUSB-Cコネクタに直接つなげられるApple Pencilを商品化してもらいたい。なお、iPhoneユーザーであれば万が一の際、第1世代のApple PencilをLightning端子に挿して充電できる「ウラ技」があることを覚えておきたい。
PCに代わるモバイルデバイスとして第10世代のiPadを徹底活用するために、アップル純正の「Magic Keyboard Folio」は欠かさず手に入れたい。価格は3万8800円だ。
第10世代iPadの専用アクセサリとして設計されたキーボードは、iPad本体側面にあるSmart Connectorに接続するキーボードと、背面にマグネットで固定するバックカバーによる2ピース構成のアイテム。キーボードはiPadから給電されるので、別途充電やペアリングが不要だ。
キーボードはフルサイズで、14のファンクションキーも備える。1mmのキーストロークを確保しているので、タイピング感は心地よく疲れにくい。iPad本体の価格に比べるとやや高価なアクセサリだが、トラックパッドを備え、iPadのディスプレイを保護するプロテクターの役割も兼ねるマルチなアクセサリであることも考えれば、手に入れて損はない。
一つ課題があるとすれば、キーボード自体がそれなりに重いので、装着したまま手で持ちながら長時間の読書やゲームを楽しむ用途には向いていないこと。キーボードは搭載しないが、iPadをしっかりと保護できる軽量なSmart Folioカバーの備えもあれば万全だ。
iPad本体にMagic Keyboard FolioとApple Pencilを買いそろえると、トータルの価格は12万円を超えてくる。セルラー対応モデルならネットワークに常時接続ができることや、Apple Pencilによる手書き入力にも対応することを考えれば、ノートPCと上手に使い分けて仕事の効率が高められる。ビジネスシーンにも必携のアイテムといえるだろう。
引き続き販売を継続する第9世代iPadであれば、同じ一式をそろえても価格は10万円以内に収まる。だがキーボードのタイピング感が心地よいMagic Keyboard FolioによりiPadの生産性が格段に高まる。購入を検討する段階では、iPadだけでなくキーボードとApple Pencilを組み合わせて試すことをおすすめしたい。(フリーライター・山本敦)
モバイルPCとはひと味違う「iPadならではの魅力」がきわ立つ
ホームボタンを搭載する第9世代までのiPadに比べると、第10世代のiPadは確かにデザインが大きく変わっている。だが、そのベースは第5世代のiPad Airと共通するところも多い。ディスプレイのサイズは同じ10.9インチとして、Touch IDを搭載するトップボタンを本体の側面に配置した。マスクを装着したままでも指紋認証で画面ロックを解除できるところが、Face IDのみ搭載する上位iPad Proとの違い。冬から春にかけてマスクを着けて外に出る機会も増えるので、第10世代のiPadはリモートワークにも適したモバイルデバイスだといえる。
新しいiPadの価格はWi-Fiモデルが6万8800円から、5G対応(Sub-6帯)のWi-Fi+Cellularモデルが9万2800円からとなる。MacBookにはまだセルラー通信機能を本体に内蔵するモデルがないので、新しいiPadの方がテザリングや公衆Wi-Fiを使わず、セキュアに「いつでも・どこでも」ネットワークに接続しやすい。仕事のメインPCにはMacBookを選びつつ、出張やリモートワークの際に機動力を重視してセルラーモデルのiPadを活躍させるという使い分けも考えられそうだ。
センター中央にフロントカメラを配置した
第10世代のiPadは、歴代iPadの中で初めて、横向きに構えた本体のフロント側センターの位置にカメラを配置した。MacBookシリーズや多くのノートPCと同じになったということなのだが、筆者のようなiPadユーザーには注目すべき吉報だ。というのも、従来のiPadをビデオ付きのオンライン会議などに使うと、カメラの位置がフロントパネルの左側になるので、画面越しだが通話相手に目線を合わせづらかった。新しいiPadであれば、自然にカメラの方を向くことができる。通話相手にも良い印象を与えられるだろう。このフロントカメラの仕様は今後iPadのスタンダードになりそうだ。
iPadを充電したり、ストレージメディアなど外部アクセサリ機器との接続にも使うデジタルコネクタはLightning端子からUSB-C端子に変更された。先行してUSB-Cに置き換わったiPad Pro/Air/miniにそろった格好だ。昨今はモバイルPCやワイヤレスイヤホンにもUSB-Cコネクタを採用する機器が増えている。これらの機器を一緒に持って出張に出かける際、充電ケーブルを一本化できるメリットがある。ワイヤレスイヤホンやスマートウォッチなど小型のデバイスのバッテリが残り少なくなったらiPadから分け与えることもできた。
USB-Cコネクタになって、一つ不便を感じることもある。対応する第1世代のApple PencilがiPadに直接挿して充電できないのだ。充電やペアリングを行うためUSBケーブルのほかに、新しく発売されるアクセサリの「USB-C to Apple Pencilアダプタ」が必要になる。アクセサリを持ち歩いていない時にApple Pencilのバッテリが消耗してくると不安になる。ほかのiPadはアクセサリを使わずにApple Pencilが充電できる機能を特徴として掲げているので、アップルにはぜひUSB-Cコネクタに直接つなげられるApple Pencilを商品化してもらいたい。なお、iPhoneユーザーであれば万が一の際、第1世代のApple PencilをLightning端子に挿して充電できる「ウラ技」があることを覚えておきたい。
専用アクセサリ「Magic Keyboard Folio」は必ず手に入れたい
PCに代わるモバイルデバイスとして第10世代のiPadを徹底活用するために、アップル純正の「Magic Keyboard Folio」は欠かさず手に入れたい。価格は3万8800円だ。
第10世代iPadの専用アクセサリとして設計されたキーボードは、iPad本体側面にあるSmart Connectorに接続するキーボードと、背面にマグネットで固定するバックカバーによる2ピース構成のアイテム。キーボードはiPadから給電されるので、別途充電やペアリングが不要だ。
キーボードはフルサイズで、14のファンクションキーも備える。1mmのキーストロークを確保しているので、タイピング感は心地よく疲れにくい。iPad本体の価格に比べるとやや高価なアクセサリだが、トラックパッドを備え、iPadのディスプレイを保護するプロテクターの役割も兼ねるマルチなアクセサリであることも考えれば、手に入れて損はない。
一つ課題があるとすれば、キーボード自体がそれなりに重いので、装着したまま手で持ちながら長時間の読書やゲームを楽しむ用途には向いていないこと。キーボードは搭載しないが、iPadをしっかりと保護できる軽量なSmart Folioカバーの備えもあれば万全だ。
iPad本体にMagic Keyboard FolioとApple Pencilを買いそろえると、トータルの価格は12万円を超えてくる。セルラー対応モデルならネットワークに常時接続ができることや、Apple Pencilによる手書き入力にも対応することを考えれば、ノートPCと上手に使い分けて仕事の効率が高められる。ビジネスシーンにも必携のアイテムといえるだろう。
引き続き販売を継続する第9世代iPadであれば、同じ一式をそろえても価格は10万円以内に収まる。だがキーボードのタイピング感が心地よいMagic Keyboard FolioによりiPadの生産性が格段に高まる。購入を検討する段階では、iPadだけでなくキーボードとApple Pencilを組み合わせて試すことをおすすめしたい。(フリーライター・山本敦)