24時間生演奏で癒し音楽が聴ける! スマートオルゴールの最高峰「Primotone」は数十万出しても惜しくない逸品だった
【木村ヒデノリのTech Magic #139】 スマートオルゴール「Primotone(プリモトーン)」は日本のものづくりの集大成とも言える製品だ。心臓部である櫛歯は精密製造業で有名な長野県諏訪で一つひとつ丁寧に作られ、抜群の音色を誇る。中の精密電子部品も国産ならではの性能の高さだ。
以前、海外製スマートオルゴールを紹介したことがあるが、その差は歴然。クラシック音楽の速いパッセージも緻密に演奏してくれる。音声データでは楽しめない可聴範囲外の音を含み、スピーカーと違って360度に音が広がる。生演奏の音楽が毎日楽しめることが醍醐味であり、最高の贅沢と言えるだろう。
まず奏でられる音楽の品質が段違いに良い。以前紹介したスマートオルゴールではそれぞれの音が鳴らされるタイミングが微妙にずれるなど、音楽の品質としてはイマイチだった。しかし、プリモトーンは完璧なタイミングでの発音が可能なため、オルゴール的なポロロンという、わざとずらして演奏する表現も際立つ。
演奏する速さも一定の割合で早くしたり遅くしたりできるが、速度を変更しても演奏のクオリティは変わらない。これは櫛歯の品質が良いだけでなく、電子制御のムーブメントのクオリティが高いことを意味する。
さらに驚くのが音量まで変えられる点。通常のオルゴールは共鳴させる箱などの大きさによって音量が決まるのが当たり前。しかしプリモトーンはムーブメントを物理的に前後させることで音量を変化させることができる。櫛歯が弾かれる量を変化させることができるのだ。
これらは一朝一夕には実現不可能な技術で、ここまで完成度の高いスマートオルゴールが製品化されていることに非常に驚いた。商業的に見ればオルゴール市場が拡大しているわけではない。したがってこんな革新的で品質が高い製品がリリースされること自体が奇跡に近い。価格は高いがこの完成度の高さ、買って損はないだろう。
また、生演奏ならではといえるのが、その響き方と発音される周波数だ。スピーカーでは主に前側に音が飛ぶのに対し、プリモトーンは360度、さらに上方向にも音が強く出る。これも最初は分かりづらいが、日常づかいをすると次第に違いが分かってくる。スピーカーで鳴らすと聴く位置が変わった時に不快に感じる時があるが、プリモトーンではそれがほぼない。
鳴っている周波数がほとんどの音源データと違い、可聴範囲外も含んでいる点も無意識下に作用しているだろう。例えば、低音があまりでない小さなスピーカーで長時間聴取するのが困難なように、音とストレスは密接な関係にある。クラシック演奏などでは特に聴こえない範囲の倍音などが多く含まれることで音源にはない良さを感じたりするわけで、その効果を想像するのは容易だろう。
さらに通常よりも高い528Hzで調律されている点も他では実現できない体験だ。通常の音源に使われる12音階はラの音(A=440Hz)で調律されているので、癒し効果が高いとされる528Hzの音はどの音を弾いても出てこない。しかしドの音(C=528Hz、A=443.9Hz)で調律すると、真ん中のドの音を弾いた際にこの周波数が鳴るようになる。オルゴールの音色だけでなくこうした工夫がされているのもならではと言えるだろう。
古く貴族の間では宮廷音楽家や楽団を雇って生演奏させるのが贅沢とされていたが、プリモトーンでは現代版貴族の楽しみというレベルの高品質な生演奏が実現できる。
シンセサイザーやシーケンサーが発達して自動演奏楽器というジャンルは衰退してしまったが、響きにこだわるなら音源より自動で演奏される楽器の方が断然良い。現代のテクノロジーと、古き良き自動演奏の良いとこ取りができるのがプリモトーンの魅力だ。
そこはさすが、JOYSOUNDを展開するエクシングが作っているだけあって、MIDIデータの品質も申し分ない。オルゴール用にアレンジされた300曲を超える楽曲(モデルにより付属する楽曲数には違いがある)はどれも櫛歯の限られた音階を十二分に活かすように考えられている。
普通ならこんなに多くの高品質の楽曲があっても持て余してしまうが、そこはスマートオルゴールが活きてくるところ。演奏開始、停止、演奏する楽曲、時報で鳴らす楽曲など、さまざまな機能があるので、季節や気分に応じて自動で演奏してくれるように設定可能だ。
自分の好きな楽曲をまとめてプレイリストにもできるので、楽曲が多いほど楽しい。追加で楽曲ダウンロードもできるので、12月に入ったらクリスマスソングをダウンロードして毎日演奏してもらうのもムードを盛り上げてくれるだろう。
ほとんど完璧で満足いく製品だが、一つだけ、遠くからコントロールできるようになるとさらに良いと感じた。せっかく電子制御なのだから、リモコンなどで遠くからコントロールできれば利便性が上がる。アプリと連携して手元でプレイリストや設定のコントロールができればなお良いだろう。
オルゴールと考えると高額だが、自動演奏してくれる生楽器を買うと思えば妥当な金額。一度買えばメンテしながら長く愛用できるはずだ。エクシングではプリモトーンをさらに改良、発展させた演奏できる鍵盤型オルゴール「グランゴール」も開発中とのこと。インテリアとしても、楽器としても楽しめる製品だというので今後が楽しみでならない。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
以前、海外製スマートオルゴールを紹介したことがあるが、その差は歴然。クラシック音楽の速いパッセージも緻密に演奏してくれる。音声データでは楽しめない可聴範囲外の音を含み、スピーカーと違って360度に音が広がる。生演奏の音楽が毎日楽しめることが醍醐味であり、最高の贅沢と言えるだろう。
価格は高いが、それを遥かに上回るパフォーマンス
先に断っておくと、価格はそれなりにする。マホガニーを使ったブラウンモデルは69万3000円(共鳴台付き)。サクラを使った手軽なサクラモデルでも32万7800円(共鳴台別売)と決して安くはない。しかし、その性能は価格に見合うどころかそれをかなり上回る素晴らしさなのだ。まず奏でられる音楽の品質が段違いに良い。以前紹介したスマートオルゴールではそれぞれの音が鳴らされるタイミングが微妙にずれるなど、音楽の品質としてはイマイチだった。しかし、プリモトーンは完璧なタイミングでの発音が可能なため、オルゴール的なポロロンという、わざとずらして演奏する表現も際立つ。
演奏する速さも一定の割合で早くしたり遅くしたりできるが、速度を変更しても演奏のクオリティは変わらない。これは櫛歯の品質が良いだけでなく、電子制御のムーブメントのクオリティが高いことを意味する。
さらに驚くのが音量まで変えられる点。通常のオルゴールは共鳴させる箱などの大きさによって音量が決まるのが当たり前。しかしプリモトーンはムーブメントを物理的に前後させることで音量を変化させることができる。櫛歯が弾かれる量を変化させることができるのだ。
これらは一朝一夕には実現不可能な技術で、ここまで完成度の高いスマートオルゴールが製品化されていることに非常に驚いた。商業的に見ればオルゴール市場が拡大しているわけではない。したがってこんな革新的で品質が高い製品がリリースされること自体が奇跡に近い。価格は高いがこの完成度の高さ、買って損はないだろう。
毎日生演奏が聴ける最高の贅沢
聴き始めは違いが分からないかもしれないが、生演奏の醍醐味は毎日聴き続けることで実感できる。実際にはじいた櫛歯を筐体や共鳴箱が受けて発音する構造のため、特にその日の湿気などで響きが変わる。夏場は少しこもった音だったのが、秋にさしかかると軽やかな音に変わる。毎日聴いているとこうした些細な変化もわかるようになって楽しさを見出せるのだ。また、生演奏ならではといえるのが、その響き方と発音される周波数だ。スピーカーでは主に前側に音が飛ぶのに対し、プリモトーンは360度、さらに上方向にも音が強く出る。これも最初は分かりづらいが、日常づかいをすると次第に違いが分かってくる。スピーカーで鳴らすと聴く位置が変わった時に不快に感じる時があるが、プリモトーンではそれがほぼない。
鳴っている周波数がほとんどの音源データと違い、可聴範囲外も含んでいる点も無意識下に作用しているだろう。例えば、低音があまりでない小さなスピーカーで長時間聴取するのが困難なように、音とストレスは密接な関係にある。クラシック演奏などでは特に聴こえない範囲の倍音などが多く含まれることで音源にはない良さを感じたりするわけで、その効果を想像するのは容易だろう。
さらに通常よりも高い528Hzで調律されている点も他では実現できない体験だ。通常の音源に使われる12音階はラの音(A=440Hz)で調律されているので、癒し効果が高いとされる528Hzの音はどの音を弾いても出てこない。しかしドの音(C=528Hz、A=443.9Hz)で調律すると、真ん中のドの音を弾いた際にこの周波数が鳴るようになる。オルゴールの音色だけでなくこうした工夫がされているのもならではと言えるだろう。
古く貴族の間では宮廷音楽家や楽団を雇って生演奏させるのが贅沢とされていたが、プリモトーンでは現代版貴族の楽しみというレベルの高品質な生演奏が実現できる。
シンセサイザーやシーケンサーが発達して自動演奏楽器というジャンルは衰退してしまったが、響きにこだわるなら音源より自動で演奏される楽器の方が断然良い。現代のテクノロジーと、古き良き自動演奏の良いとこ取りができるのがプリモトーンの魅力だ。
スマートオルゴールだから活用できる300を超える楽曲
最後に音源データの重要性についても触れておきたい。いくらハードウェアが良くても、中に入っている演奏データの品質が悪ければ本末転倒だ。そこはさすが、JOYSOUNDを展開するエクシングが作っているだけあって、MIDIデータの品質も申し分ない。オルゴール用にアレンジされた300曲を超える楽曲(モデルにより付属する楽曲数には違いがある)はどれも櫛歯の限られた音階を十二分に活かすように考えられている。
普通ならこんなに多くの高品質の楽曲があっても持て余してしまうが、そこはスマートオルゴールが活きてくるところ。演奏開始、停止、演奏する楽曲、時報で鳴らす楽曲など、さまざまな機能があるので、季節や気分に応じて自動で演奏してくれるように設定可能だ。
自分の好きな楽曲をまとめてプレイリストにもできるので、楽曲が多いほど楽しい。追加で楽曲ダウンロードもできるので、12月に入ったらクリスマスソングをダウンロードして毎日演奏してもらうのもムードを盛り上げてくれるだろう。
胎教や引退にプレゼントしたい逸品
価格だけにおいそれとは手を出しにくいプリモトーンだが、価格以上の性能があるのは前述した通り。自分で買うには贅沢すぎるが、孫が出来たタイミングや、両親が退職したお祝いなどには最高だ。ほとんど完璧で満足いく製品だが、一つだけ、遠くからコントロールできるようになるとさらに良いと感じた。せっかく電子制御なのだから、リモコンなどで遠くからコントロールできれば利便性が上がる。アプリと連携して手元でプレイリストや設定のコントロールができればなお良いだろう。
オルゴールと考えると高額だが、自動演奏してくれる生楽器を買うと思えば妥当な金額。一度買えばメンテしながら長く愛用できるはずだ。エクシングではプリモトーンをさらに改良、発展させた演奏できる鍵盤型オルゴール「グランゴール」も開発中とのこと。インテリアとしても、楽器としても楽しめる製品だというので今後が楽しみでならない。(ROSETTA・木村ヒデノリ)