【木村ヒデノリのTech Magic #137】 5年以上スマート照明を使ってきたが、この製品はちょっと画期的だ。Philipsが展開を始めた「WiZ(ウィズ)」という新しいスマート照明ブランドは「価格を安く、アプリは誰でも使える」というコンセプトで作られている。HueにはないWi-Fiセンシングという機能も画期的。センサー無しで動きを感知してオン/オフすることができる。さらに国内の照明メーカーに向けて部品やアプリを自社製品として展開できるようにしてくれるOEMも興味深い。WiZで日本の照明市場のIoT化が本格的に進むかもしれない。
またアプリとの親和性も高く、個数を増やしていってもスムーズにコントロールできるのも、Amazonで安価に売られている格安スマート照明とは一線を画している。アプリはほとんどの人が30秒以内で設定できるうえに、個人情報(メールアドレスなど)を一切入れなくて良いのでテック系に疎いと感じているユーザーにもやさしい。
Wi-Fiセンシングという機能を使うためには最低2つの電球を導入する必要があるが、マルチカラーでも6556円とこれまでに比べると安い。IKEAのマルチカラー電球と比べると少しだけ高いが、機能性を考えればコスパは高いだろう。
万が一自宅のWi-Fiが切れてもリモコンと電球が直接通信してくれるので、ほぼ普通の電球のように使えるのは年配のユーザーにもうれしい点ではないだろうか。
最新機能のWi-FiセンシングはWiZ製品を2つ以上使うことで部屋のWi-Fiの揺らぎを検知して照明をコントロールできる。これまで人感センサーなどを用いても戸建の階段などではうまくオン/オフができなかったが、空間全体を感知できるWi-Fiセンシングなら可能だ。
WiZが部品とアプリを提供することで、小ロット・ミニマム投資でこれまで作っていた電球をWiZに対応させることが可能。アプリはロゴやカラーもカスタマイズでき、もちろん純正のWiZアプリでもコントロールできる。
これまで各社違うプラットフォームで運用してきたスマート照明だが、この取り組みがその垣根を取り払うことになる。各社が自社製品としてリリースしていても、WiZのチップが入っていれば横断的に使うことができるのだ。
スマート照明が普及しなかった原因として各社が独自のプラットフォームで運用していたことがあげられるので、WiZにはそうした問題点の解決を期待したい。
照射角が狭い(25°程度)照明でスマート照明に対応したものが出て来れば住宅内での照明デザインも一変する(スマートホームの設計も手がける筆者は以前からこの狭角タイプのスマート照明を熱望している)。
ブラックライトのような特殊な照明もラインアップに加われば、利用シーンがぐんと広がるだろう。これから日本のさまざまな照明会社が取り入れてラインアップが拡充することを願うが、個人的にも今手がけているプロジェクトで新しい照明が作れないか考えている。興味のある企業はぜひ連絡してほしい。
WiZは照明を「ちょっと便利にしたい」くらいのライトユーザーには価格も機能も申し分ない製品だ。筆者も年末に帰省したときは、これで実家のスマート化をさらに推し進めようと思う。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Tech Director、スマートホームブランドbentoを展開。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
安価で簡単なスマート照明という差別化
WiZは手軽という点でHueよりもスマート照明初心者が手に取りやすくなっている。電球のみで動作し、ハブは不要なので、これまでどうしても1万円以上かかってしまっていたスマート照明が2680円から導入ができるので敷居がだいぶ下がった。またアプリとの親和性も高く、個数を増やしていってもスムーズにコントロールできるのも、Amazonで安価に売られている格安スマート照明とは一線を画している。アプリはほとんどの人が30秒以内で設定できるうえに、個人情報(メールアドレスなど)を一切入れなくて良いのでテック系に疎いと感じているユーザーにもやさしい。
Wi-Fiセンシングという機能を使うためには最低2つの電球を導入する必要があるが、マルチカラーでも6556円とこれまでに比べると安い。IKEAのマルチカラー電球と比べると少しだけ高いが、機能性を考えればコスパは高いだろう。
万が一自宅のWi-Fiが切れてもリモコンと電球が直接通信してくれるので、ほぼ普通の電球のように使えるのは年配のユーザーにもうれしい点ではないだろうか。
最新機能のWi-FiセンシングはWiZ製品を2つ以上使うことで部屋のWi-Fiの揺らぎを検知して照明をコントロールできる。これまで人感センサーなどを用いても戸建の階段などではうまくオン/オフができなかったが、空間全体を感知できるWi-Fiセンシングなら可能だ。
WiZ Pro、OEMで自社製品をWiZ化できる凄さ
ここまでだとちょっとすごいスマート照明で終わってしまうが、WiZのすごいところは自社製品をWiZ化できるところにある。WiZが部品とアプリを提供することで、小ロット・ミニマム投資でこれまで作っていた電球をWiZに対応させることが可能。アプリはロゴやカラーもカスタマイズでき、もちろん純正のWiZアプリでもコントロールできる。
これまで各社違うプラットフォームで運用してきたスマート照明だが、この取り組みがその垣根を取り払うことになる。各社が自社製品としてリリースしていても、WiZのチップが入っていれば横断的に使うことができるのだ。
スマート照明が普及しなかった原因として各社が独自のプラットフォームで運用していたことがあげられるので、WiZにはそうした問題点の解決を期待したい。
期待したいラインアップの拡充
WiZの登場はスマート照明の法人利用も促しそうだ。これまでスマート照明といえば電球タイプとリボンタイプが主流で、店舗などで導入しづらい原因になっていた。しかし、前述したOEMで業務用照明機器メーカーが自社製品をWiZに対応させれば時間帯ごとにお店の演出を変える、といったことも可能になる。照射角が狭い(25°程度)照明でスマート照明に対応したものが出て来れば住宅内での照明デザインも一変する(スマートホームの設計も手がける筆者は以前からこの狭角タイプのスマート照明を熱望している)。
ブラックライトのような特殊な照明もラインアップに加われば、利用シーンがぐんと広がるだろう。これから日本のさまざまな照明会社が取り入れてラインアップが拡充することを願うが、個人的にも今手がけているプロジェクトで新しい照明が作れないか考えている。興味のある企業はぜひ連絡してほしい。
手頃なWiZ、Hueとはエンタテイメントで棲み分け
WiZが安価で優れているとはいえ、Hueに敵わない点がある。それはエンタテイメント的なリアルタイム演出だ。Hueには以前紹介したHDMI Sync Boxなどのオプションがあり、音楽や映像に照明をシンクロできる。この点ではやはりHueの方が優れているので、複雑な利用を想定しているテックに明るいユーザーはこれまで通りHueを使えば良いだろう。WiZは照明を「ちょっと便利にしたい」くらいのライトユーザーには価格も機能も申し分ない製品だ。筆者も年末に帰省したときは、これで実家のスマート化をさらに推し進めようと思う。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Tech Director、スマートホームブランドbentoを展開。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)