【木村ヒデノリのTech Magic #127】 カリンバが密かな流行を見せている。楽器といえば趣味の王道だが、ギターやピアノはややハードルが高い。その点カリンバは小さな本体と一人で完結できる手軽さやオルゴールのような美しい音色がはじめての趣味楽器として最適だ。ただこのカリンバも音符やポジション番号を読みながら弾かなければならないとなるとレパートリーを増やす前に挫折してしまうことが多かった。そんなデメリットを完全に解消してくれるのがこの「Kalimba GO」だ。一見音ゲーのように見えるが、弾くキーを指示してくれるだけでなく、その音を鳴らすまで待ってくれる。さらに弾きたい曲をYouTubeや音声データから自動変換して取り込んでくれるなど相当実用度の高い製品で驚いた。これなら譜面が読めなくてもすぐにいろいろな曲を弾けるようになるだろう。
トロントを拠点とするEvie Innotech Inc.が開発したこの製品を世界中に眠っている 「あったら良いな!」という品々を見つけて届けることをコンセプトにする株式会社Cana'Well(カナウェル)の八角社長が発掘し、国内でも手軽に手に入るようになった。
使い方は簡単で、まずは自分の弾きたい曲を選ぶ。しばらくすると音ゲーのように上からLEDランプが降ってくるので、その下にあるキーを弾く。音が鳴ったのを本体がマイクで感知して次の音に進んでくれるので、初めて弾く曲でもゆっくりと確認しながら練習することができる仕様だ。特にすぐれているのはこの音を感知して進めてくれるオートモードと、どのキーをどのくらいの間隔で弾けば良いのかというユーザーインターフェース。紙面のように視線を移動させることなく、目線はキーに向けたままで効率よく練習を進められる。
慣れてきたらプレイバックスピードを0.25xや0.5xに変更すれば音を弾かなくても譜面が進んでいくので通し練習ができる。スピードは1.25xまで設定できるので暗譜していない曲の演奏用にも使うことができる。音大でもピアノを弾いてきた筆者はこの手の「光った場所を弾く」という方式に懐疑的だったが、意外や意外。カリンバには非常にマッチした練習法だった。後述する楽譜のインポート機能と組み合わせるとすぐに何曲も弾けるようになるだろう。
新しい曲の追加もWi-Fiを介して行うことができ、有線接続の必要がないのが便利だ。Kalimbago.comへアクセスしてクラウドライブラリへアップロード、本体でダウンロードする方式か、IPアドレスで本体に接続し直接アップロードする方式が使える。アプリがあればさらに便利だろうが、実際そこまで頻繁に本体と通信する必要はない。主にスタンドアロンで使うことを考えるとこの仕様でも全く問題ないと感じた。実際アプリだとスマホからしかアクセスできないが、この方式ならブラウザを介してPCからも譜面のアップロードができるので便利に感じた。
URLによってはうまく変換できないことがあるので、その際は音声データを使うと良い。こちらならほぼ100%変換ができる。「カリンバの演奏以外でも変換できることがある」との記載があるが、波形が複雑になって音符を拾いきれないので基本的にはカリンバもしくは単楽器で演奏された楽曲を読み込む用途のみと考える方が良いだろう。
オートトランスクライブボタンを押すと音の始まりを認識して点が配置される。プレイバックして確認し、余分な音を削除すれば完成だ。このように自分が弾きたい曲の音声さえあれば練習が始められるのもアコースティック楽器にはないすぐれたポイントと言えるだろう。
唯一のデメリットは電源の入りやすさ。本体画面に少しでも触れるとオンになってしまうため、いつの間にか電池が消費されてしまっていることがあった。念のため充電式の単4電池を数セット用意しておくと良いだろう。この手軽さで和音を使った複雑な曲まで弾けるようになれる楽器は他にはない。コンパクトなので持ち運んで練習、演奏ができるし音もオルゴールのようで癒される。五感を使い脳トレにも良さそうなので筆者は両親の定年後の趣味にも薦めてみるつもりだ。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Tech Director、スマートホームブランドbentoを展開。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
譜面が完全に読めなくてもすぐに弾きはじめられる手軽さが秀逸
「譜面がなくても弾ける」が売りのカリンバだが、実際は譜面に対応した音板番号を追う必要がある。確かに番号なら音符が読めなくても大丈夫だが、譜面とキーを行ったり来たりして確認しながら進める練習は意外と面倒だ。このように楽器初心者にやさしくないところも多い練習フローを劇的に改善してくれるのが今回紹介するKalimba GOだ。トロントを拠点とするEvie Innotech Inc.が開発したこの製品を世界中に眠っている 「あったら良いな!」という品々を見つけて届けることをコンセプトにする株式会社Cana'Well(カナウェル)の八角社長が発掘し、国内でも手軽に手に入るようになった。
使い方は簡単で、まずは自分の弾きたい曲を選ぶ。しばらくすると音ゲーのように上からLEDランプが降ってくるので、その下にあるキーを弾く。音が鳴ったのを本体がマイクで感知して次の音に進んでくれるので、初めて弾く曲でもゆっくりと確認しながら練習することができる仕様だ。特にすぐれているのはこの音を感知して進めてくれるオートモードと、どのキーをどのくらいの間隔で弾けば良いのかというユーザーインターフェース。紙面のように視線を移動させることなく、目線はキーに向けたままで効率よく練習を進められる。
慣れてきたらプレイバックスピードを0.25xや0.5xに変更すれば音を弾かなくても譜面が進んでいくので通し練習ができる。スピードは1.25xまで設定できるので暗譜していない曲の演奏用にも使うことができる。音大でもピアノを弾いてきた筆者はこの手の「光った場所を弾く」という方式に懐疑的だったが、意外や意外。カリンバには非常にマッチした練習法だった。後述する楽譜のインポート機能と組み合わせるとすぐに何曲も弾けるようになるだろう。
本体は小さいがよく考えられたIoT機器
小型でシンプルな製品だが、IoT機器としてもよく考えて作られている。本体単体でWi-Fiネットワークに接続し、ファームウェアアップデートを機器の介在なしで行うことができる。単4電池2本で駆動するので、内蔵型電池よりも電池切れ対応がしやすい点も良い選択だ。新しい曲の追加もWi-Fiを介して行うことができ、有線接続の必要がないのが便利だ。Kalimbago.comへアクセスしてクラウドライブラリへアップロード、本体でダウンロードする方式か、IPアドレスで本体に接続し直接アップロードする方式が使える。アプリがあればさらに便利だろうが、実際そこまで頻繁に本体と通信する必要はない。主にスタンドアロンで使うことを考えるとこの仕様でも全く問題ないと感じた。実際アプリだとスマホからしかアクセスできないが、この方式ならブラウザを介してPCからも譜面のアップロードができるので便利に感じた。
YouTubeからも変換できる譜面、音声データならさらに精度が良い
音声データだけでなく、YouTubeのURLから直接譜面に変換できるサービスも実用重視の良い機能だ。Kalimbago.comへアクセスすると、上部にその機能が表示される。はじめてアクセスする際はサインアップし、自分のアカウントでログインすると使用可能に。カリンバを弾いている動画のURLを入力するとKalimba GOで使える形式に変換してくれる。URLによってはうまく変換できないことがあるので、その際は音声データを使うと良い。こちらならほぼ100%変換ができる。「カリンバの演奏以外でも変換できることがある」との記載があるが、波形が複雑になって音符を拾いきれないので基本的にはカリンバもしくは単楽器で演奏された楽曲を読み込む用途のみと考える方が良いだろう。
オートトランスクライブボタンを押すと音の始まりを認識して点が配置される。プレイバックして確認し、余分な音を削除すれば完成だ。このように自分が弾きたい曲の音声さえあれば練習が始められるのもアコースティック楽器にはないすぐれたポイントと言えるだろう。
本当に効率よく練習、習得ができる実用性が魅力
そのほかチューナー機能を内蔵するなど、練習に必要な機能は一通り搭載してくれている点もありがたい。通常いくつかのチューニングを曲目によって変更したい場合は別途購入する必要があるからだ。唯一のデメリットは電源の入りやすさ。本体画面に少しでも触れるとオンになってしまうため、いつの間にか電池が消費されてしまっていることがあった。念のため充電式の単4電池を数セット用意しておくと良いだろう。この手軽さで和音を使った複雑な曲まで弾けるようになれる楽器は他にはない。コンパクトなので持ち運んで練習、演奏ができるし音もオルゴールのようで癒される。五感を使い脳トレにも良さそうなので筆者は両親の定年後の趣味にも薦めてみるつもりだ。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Tech Director、スマートホームブランドbentoを展開。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
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