アップルが独自に設計したシステムオンチップ「Apple M2」を搭載し、パフォーマンスの向上を図った新しい「MacBook Air」が7月15日に発売を迎えた。2008年の誕生以来、初めて大幅にデザインを一新したことからも話題を呼ぶマシンだ。同機を1週間ほど試用して得た手応えをレポートする。
MacBook Airは誕生以来、長く「ウェッジシェイプ」というパネルを閉じた状態で先端に向かってシャープになるデザインを踏襲してきた。今回、約14年半ぶりにデザインが大きく変わった。
パネルを閉じた状態で全体が均一に1.13cmの薄さになる。質量も50gほど軽くなったが、それよりも薄さのインパクトが大きいと感じる。ビジネスバッグのスペースを余計に取らない薄さと軽さだ。
試したモデルは新色の「ミッドナイト」。ブラックのようにも見えるが、光を当てると深い紺色に輝く。派手さを抑えた上品な色合いだ。ほかにもシャンパンゴールド調の「スターライト」と、トラディショナルなスペースグレイ、シルバーを加えた全4色がそろう。
アップルの発表によると、Apple M2チップの処理性能は先代のM1チップに対して最大1.4倍高速化しているという。CPUの性能をベンチマークソフトの「Geekbench 5」で調べた。比較対象には20年に発売されたM1搭載MacBook Airを使っている。
3回続けて行った計測の平均値は、M2搭載MacBook Airのスコアがシングルコアで1881、マルチコアで8798となった。M1搭載MacBook Airはシングルコアが1736、マルチコアが7556だった。
iPhone 13 Proで撮影した動画を新旧MacBook Airで読み込み、それぞれにiMovieアプリケーションで10分前後の動画を作成。画質優先の設定でファイルに書き出したところ、M2搭載MacBook Airの方が約2分1の時間で処理を完了した。CPUに大きく負担がかかるタスクほど、新しいM2チップのパフォーマンスが向上したことを実感できると思う。
筆者は新しいMacBook Airを1週間試用して、三つのポイントに魅力を感じた。
新しいMacBook Airは前のモデルから本体のサイズをほとんど変えることなく、サイズを少し拡大した13.6インチのLiquid Retinaディスプレイを搭載している。iPhone 13シリーズのように、ディスプレイの上部中央に切り欠き(ノッチ)を設けて、FaceTime HDカメラユニットなどを配置した。
ノッチ左右のディスプレイにはOSやアプリケーションのメニューが表示される。この部分がM1搭載MacBook Airと比べて領域が広くなっているので、ExcelのスプレッドシートやWebブラウザのコンテンツも画面に映せる情報量が少し増える。
かつてMacBook Airにも搭載されていた、マグネットで着脱するMagSafeコネクタによる給電方式が復活した。万が一、電源ケーブルに脚を掛けて引っ張ってもMacBookの本体がダメージを負う不安から解消される。
MagSafeで本体を給電すれば、2基のUSB-CポートはiPhoneからデータを読み出したり、さまざまなUSBアクセサリーをつなぐ用途のため自由に使えるメリットもある。もちろん従来の通りUSB-Cポートからの充電にも対応する。
新しいMacBook Airには合計4基のスピーカーユニットにより、明瞭なステレオ再生を実現する「4スピーカーサウンドシステム」が内蔵されている。音楽や映画のサウンドを再生すると、M1搭載機よりも分離感に富んだサウンドが楽しめる。音場の中央に定位する「人の声」の再現力がとても高く、オンライン会議の音声が聴きやすい。
M2搭載MacBook Airはディスプレイ上部に搭載するFaceTime HDカメラが1080p対応になった。720p対応のM1搭載機に比べて、映像の明るい箇所の白飛びを抑えたナチュラルで見やすい映像を再現できる。高性能な指向性ビームフォーミングマイクも内蔵しているので、リモートワーク用のモバイルPCとしても選びやすい。
このほかにも、静かなファンレス設計、内蔵バッテリーが1度のフル充電から約18時間の連続使用に対応するスタミナをM1搭載MacBook Airから受け継いだ。
MacBook Airといえば、アップルのモバイルPCの中では10万円台前半から買えるエントリーモデルとしても親しまれている。新しいM2搭載MacBook Airは基本仕様を選んでもスタート価格が16万4800円になる。この時期に買い換えを検討していた場合、価格を目の当たりにして購入を躊躇しているかもしれない。
ただ、従来機から進化した機能、あるいは全体のパフォーマンス向上により、ビジネスやクリエーティブワークのメインPCとして新しいMacBook Airは存分に真価を発揮できると思う。
もし懐に余裕があれば、動画や静止画などクリエーティブ系のデータは1件当たりのファイルサイズが大きくなることを踏まえて内蔵ストレージの容量を増やしたい。または新しいMacBook Airに搭載された高速充電が生かせる67W USB-Cアダプタを買い足してもいい。
M1搭載MacBook Airも13万4800円で引き続き併売されるので、やはり少しでも安価なモデルを選ぶのであれば同機が狙い目だ。(フリーライター・山本敦)
デザインを一新。M2チップも高性能
MacBook Airは誕生以来、長く「ウェッジシェイプ」というパネルを閉じた状態で先端に向かってシャープになるデザインを踏襲してきた。今回、約14年半ぶりにデザインが大きく変わった。
パネルを閉じた状態で全体が均一に1.13cmの薄さになる。質量も50gほど軽くなったが、それよりも薄さのインパクトが大きいと感じる。ビジネスバッグのスペースを余計に取らない薄さと軽さだ。
試したモデルは新色の「ミッドナイト」。ブラックのようにも見えるが、光を当てると深い紺色に輝く。派手さを抑えた上品な色合いだ。ほかにもシャンパンゴールド調の「スターライト」と、トラディショナルなスペースグレイ、シルバーを加えた全4色がそろう。
アップルの発表によると、Apple M2チップの処理性能は先代のM1チップに対して最大1.4倍高速化しているという。CPUの性能をベンチマークソフトの「Geekbench 5」で調べた。比較対象には20年に発売されたM1搭載MacBook Airを使っている。
3回続けて行った計測の平均値は、M2搭載MacBook Airのスコアがシングルコアで1881、マルチコアで8798となった。M1搭載MacBook Airはシングルコアが1736、マルチコアが7556だった。
iPhone 13 Proで撮影した動画を新旧MacBook Airで読み込み、それぞれにiMovieアプリケーションで10分前後の動画を作成。画質優先の設定でファイルに書き出したところ、M2搭載MacBook Airの方が約2分1の時間で処理を完了した。CPUに大きく負担がかかるタスクほど、新しいM2チップのパフォーマンスが向上したことを実感できると思う。
新MacBook Airが進化した三つのポイント
筆者は新しいMacBook Airを1週間試用して、三つのポイントに魅力を感じた。
表示領域が広くなったディスプレイ
新しいMacBook Airは前のモデルから本体のサイズをほとんど変えることなく、サイズを少し拡大した13.6インチのLiquid Retinaディスプレイを搭載している。iPhone 13シリーズのように、ディスプレイの上部中央に切り欠き(ノッチ)を設けて、FaceTime HDカメラユニットなどを配置した。
ノッチ左右のディスプレイにはOSやアプリケーションのメニューが表示される。この部分がM1搭載MacBook Airと比べて領域が広くなっているので、ExcelのスプレッドシートやWebブラウザのコンテンツも画面に映せる情報量が少し増える。
MagSafeが復活。USBポートの自由度が高まった
かつてMacBook Airにも搭載されていた、マグネットで着脱するMagSafeコネクタによる給電方式が復活した。万が一、電源ケーブルに脚を掛けて引っ張ってもMacBookの本体がダメージを負う不安から解消される。
MagSafeで本体を給電すれば、2基のUSB-CポートはiPhoneからデータを読み出したり、さまざまなUSBアクセサリーをつなぐ用途のため自由に使えるメリットもある。もちろん従来の通りUSB-Cポートからの充電にも対応する。
品質が向上した内蔵スピーカーとFaceTime HDカメラ
新しいMacBook Airには合計4基のスピーカーユニットにより、明瞭なステレオ再生を実現する「4スピーカーサウンドシステム」が内蔵されている。音楽や映画のサウンドを再生すると、M1搭載機よりも分離感に富んだサウンドが楽しめる。音場の中央に定位する「人の声」の再現力がとても高く、オンライン会議の音声が聴きやすい。
M2搭載MacBook Airはディスプレイ上部に搭載するFaceTime HDカメラが1080p対応になった。720p対応のM1搭載機に比べて、映像の明るい箇所の白飛びを抑えたナチュラルで見やすい映像を再現できる。高性能な指向性ビームフォーミングマイクも内蔵しているので、リモートワーク用のモバイルPCとしても選びやすい。
このほかにも、静かなファンレス設計、内蔵バッテリーが1度のフル充電から約18時間の連続使用に対応するスタミナをM1搭載MacBook Airから受け継いだ。
大きな進化は魅力、価格アップをどう割り切るか
MacBook Airといえば、アップルのモバイルPCの中では10万円台前半から買えるエントリーモデルとしても親しまれている。新しいM2搭載MacBook Airは基本仕様を選んでもスタート価格が16万4800円になる。この時期に買い換えを検討していた場合、価格を目の当たりにして購入を躊躇しているかもしれない。
ただ、従来機から進化した機能、あるいは全体のパフォーマンス向上により、ビジネスやクリエーティブワークのメインPCとして新しいMacBook Airは存分に真価を発揮できると思う。
もし懐に余裕があれば、動画や静止画などクリエーティブ系のデータは1件当たりのファイルサイズが大きくなることを踏まえて内蔵ストレージの容量を増やしたい。または新しいMacBook Airに搭載された高速充電が生かせる67W USB-Cアダプタを買い足してもいい。
M1搭載MacBook Airも13万4800円で引き続き併売されるので、やはり少しでも安価なモデルを選ぶのであれば同機が狙い目だ。(フリーライター・山本敦)