ノートPCの自力バッテリ交換、互換品初期不良から換装完了までの道のり

レビュー

2022/06/05 18:30

 ノートPCのバッテリが死んでしまった。全く充電できないばかりか、中を開けるとバッテリ自体が膨らんでしまっている。このまま使い続けると発火の恐れもあり危険だ。新しいバッテリに交換したいが、クラウドファンディングで調達したマシンのため、国内では入手が困難。急ぎ中国から輸入することにした。20日ほどして届いた互換品は、充電できない初期不良品だった。結局、再度別の製品を購入してやっとPCがまともに動くようになった。この間40日あまり。バッテリの購入と不良の確認、返金交渉に再購入と、なかなか面倒な手順を踏むハメになった。マイナーなPCのバッテリ自力交換を考える人のために、その顛末をまとめた。

ChuwiのMiniBook CWI526。
8インチのmini PCながら、なかなか使えるマシンだ

 バッテリが死んだのは、中国の中堅PCメーカーChuwiのMiniBook。8インチのミニPCだ。2019年にクラウドファンディングサイト、INDIEGOGOで調達した。メインとして使うにはかなり小さいが、持ち運びには便利。いざPCが必要という場面で活躍する。毎日持ち運んで使っていた。CPUはCore m3-8100Y、メモリは16GB。画面の小ささを我慢すれば、日常的なデータ整理やちょっとした画像加工ぐらいなら問題ない。最小限のパワーはあって重宝していた。コロナ前の話だ。翌20年、コロナ禍に突入し、テレワーク対応のためメインマシンを14インチのノートPCにスイッチ。以後、MiniBookの出番はほとんどなくなっていた。

 つい先日、メインで使っている14インチノートPCでキーボード故障が発生。修理に出すことになった。メインマシンが不在の間、MiniBookでしのぐことにした。しかし、長いこと放置していたため久々に引っ張り出して使おうとしたらバッテリが死んでいた、というわけだ。結局、バッテリを外し常時AC電源に接続して使用することで乗り切った。とはいえ、これからのことも考え、バッテリを交換することにした。
 
一番手前がオリジナルのバッテリ。少し膨らんでおり、
この状態で使い続けるのは危険だ。真ん中は購入したが初期不良だった互換バッテリ、
一番奥が、新たに購入した良品の互換バッテリ

 さまざまな電子部機器や部品、怪しいガジェットの宝庫、Aliexpressで互換バッテリを発注。商品ページには2カ月ほどかかるとの表記もあったが、意外に早く20日ほどで届いた。早速PCの裏ブタを開け、古いバッテリと入れ替える。しかし充電できない。MiniBookは、充電中は赤ランプ点灯、充電完了で青に変わる。しかし、異常を示す赤ランプ点滅状態のまま。全く充電できる気配がない。測ってみると電流が全く流れておらず、バッテリ異常の疑いが濃厚だ。ただ、電源への接続と切断を繰り返したり、ちょっと電気的な刺激を与えると正常に動き出すこともある。しかしダメ。一向に電流は流れない。
 
互換バッテリを接続したが、充電時の電流は0A。
全く電流が流れず充電できない。初期不良の疑いが濃厚

 OSはWindows10。PCを立ち上げても「バッテリがありません」といわれ、OS側にもバッテリが認識されていない。BIOSを更新してみたり、リカバリーデータをChuwiから取り寄せてOSの再インストールしたり、できる限り手を尽くしてみたが、やれることはなくなってしまった。初期不良はほぼ確定。返金だ。Aliexpressでは、商品に欠陥があったり商品説明と異なっていた場合、受け取り後15日以内なら「紛争」を始めることで、返金を求めることができる。日本の業者なら、比較的簡単に交換や返品に応じてくれるが、相手は中国の業者。なかなか手強い。電流計をつなぎ、充電できていない状態の写真を示して、全額返金を求めた。
 
PCを起動したものの「バッテリがありません」と言われ、OSでも認識できていない

 しばらくして業者から返答があった。返金額は0円。彼らは正常に動いていると主張する。しかし充電しようとしても電流計は0A。全く電流が流れていないにも拘わらず、非を認めない。「それでも返金を求めるなら再度動画を撮って送れ」という。以前も、AliexpressでPCを購入した際、初期不良を引いてしまったことがあった。ひどく苦労して交渉した結果、なんとか交換にこぎつけた。その際も動画の送付を求められた。確かに、動画で録れば、より分かりやすく、充電されていないことが明らかにわかる。言われた通り動画を撮影し送付、再度全額返金を求めた。しばらくして業者から帰ってきた答えはやはり返金額0円。理由は不明だがバッテリは動いているとの主張だ。

 こうしたやり取りを続けて一週間。やれ不良品だ、いや良品だと水掛け論を続けても収拾がつかない。そんな場合は、途中からAliexpressが仲裁に入る。アップロードしたビデオを、今度はAliexpressの担当者が見て判断するわけだ。結果、不良と判断され、全額返金が認められた。4日ほどして決済に利用したPayPal口座に全額返金された。やれやれ。ちなみに今回、返品の必要はなかった。今回、価格は5000円あまり。少額商品の場合返品は求められない場合も多い。まあ、不良品のバッテリを持っていても、しょうがないのだが。
 
再度別の業者から購入した互換バッテリを搭載した。
しっかりと電流も流れており充電できるようになった。
これでmini PC本来の用途で使えそうだ

 返金交渉の傍ら、別のバッテリを探す。同じ業者だと再び外れを引く可能性もある。別の業者から買うことにした。MiniBookはかなりマイナーな機種だが、対応バッテリのバリエーションは豊富だ。さすがAliexpress。いくつもある選択肢の中から、まともそうなものを選び、再度発注した。今度はさらに速く、ちょうど2週間で届いた。バッテリをつないで充電を試みる。かなりドキドキする瞬間だ。これでダメなら本体の故障という可能性も出てくる。結果、無事赤ランプが点灯し、問題なく充電できた。Windowsにもしっかり認識され、やっとバッテリ交換が完了した。

 バッテリを中国から直輸入するのは初めてだったが、今回一番心配だったのは梱包だ。ボコボコの袋や箱で届くことが多い中国通販。バッテリも同様に適当な梱包だとまずい。輸送中にバッテリが痛むと故障の原因になるばかりか、最悪、使用中に発火する危険性も高まる。しかし、1回目の業者も、2回目の業者もこれでもかというぐらい、緩衝材でぐるぐる巻きにして送ってきた。おかげで安心して換装することができた。バッテリが死んで使うのをあきらめているノートPCがあるなら、Aliexpressで互換バッテリを見つけて自力で交換し蘇生させることもできる、ということだ。不良品に当たるとちょっと厄介だが。(BCN・道越一郎)