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E-バイク界のテスラ「VanMoof」からPowerBankが登場! 充電手段の拡張で「車の代用」が現実的に

レビュー

2022/04/09 19:00

【木村ヒデノリのTech Magic #101】 先日手元に届いた画期的な製品がある。VanMoofの航続距離を伸ばす外部バッテリ「PowerBank」だ。「S3」と「X3」の2モデルに対応し、充電方法の幅も広げてくれる。これまでは直接電源が取れない集合住宅などで導入しづらかったVanMoofのE-バイクだが、PowerBankの登場によって駐輪場所に電源がなくても利用できるようになった。加えて、4月6日にアナウンスされた新モデルでも改良版の外部バッテリが使えるようだ。E-バイク界を牽引するVanMoofの最新動向をお伝えする。

海外では少し前から販売されていたVanMoofのPowerBankが国内でも購入できるようになった
 
デザインや装着場所もスマート

電動を忘れる乗り心地、ハードとソフトが高度に融合したE-バイク

 VanMoofが他のE-バイクと大きく違う点はその乗り心地だ。E-バイクの多くがモーターの作動を感じてしまうのに対して、VanMoofは走りを拡張しているようなイメージ。踏む動作と連動してスムーズに、そして力強く加速するので、まるで自分がペダルを踏む力が大きくなったような錯覚を覚える。普段使いしているとアシストを忘れるほどで、電池が切れてしまったごく稀なタイミングで「あぁ、すごくアシストしてくれていたんだな」と実感していたわけだが、今回のPowerBankでそれもなくなりそうだ。
 
パッケージには本体と設置するためのアダプター類、マニュアルが同梱されている

 乗り心地がよくてパワフルなのと航続距離はトレードオフになりそうだが、VanMoof S3/X3の場合はエコノミー時150km、フルパワー時でも60kmとかなり長い。とはいえ帰宅したら充電しておかないと長距離通勤には厳しかったため、前述したように集合住宅での利用は懸念されていた。同モデルのバッテリーは内蔵型LG製バッテリーを採用しているので取り外せないし、キャンプ用などの外部電源を使った利用は不具合が起こる可能性がある。

 ところが純正バッテリの登場でこうした心配がなくなり、利便性が飛躍的に上がった。重量は2.8kgと軽くはないが、自転車を上げ下げすることを考えれば十分軽い。通勤後駐輪場からバッテリだけを持ち帰り、充電して運用すれば本体の充電なく平日の通勤が可能なのではないだろうか。
 
本体には持ち運ぶストラップも付いているので取り外して持ち運びやすい

充電時間も速くロックも可能、保証も付いて安心のバッテリ

 使ってみて最初に驚いたのは充電時間の速さだ。前日に充電に使ったバッテリを朝イチで充電していたのだが、日曜の朝の掃除を終える頃にはもう充電が完了していた。カタログスペックでは3時間でゼロからフル充電となっているが、感覚的にはあっという間に満タンになっているという印象。これなら充電を忘れていて出かけたいとき、少し充電しただけでも安心感がある。

 電池容量は378Whなので、本体の504Whと比べると3分の2程度だが、それでも航続距離は45~100km伸びる。これだとフルパワーで100km近く走れるので、遠方まで通勤するのでも安心だ。本体への充電も2時間で0から65%まで、走りながらも充電することができるので突然の外出時にバッテリが足りなそうで使えないといった状況がなくなるかもしれない。
 
PowerBankを接続すると航続距離は約1.75倍に
 
本体バッテリの代わりにはならない点は注意が必要。
本体の電池がゼロでも接続しながら乗ることはできるが、
モーターが作動するのは本体バッテリーが15%まで充電されてからとなる

 使い方も簡単。設置用のLock Dockを自転車に取り付け、専用ロックで固定する。ファームウェアが1.6.8以上であることを確認した上で、充電ケーブルを自転車に差し込み、電源を入れれば良い。正常に動作しているとマトリクスディスプレイにPowerBankの充電アニメーションが表示され、走り出しても充電し続けられるので出発が可能となる仕組みだ。
 
上の図が出ていれば充電しながら走行することができる。接続時にPowerBankの電源が入っていると
外部充電器が接続されていると誤認して自転車の電源が入らないので、その場合は一旦ケーブルを抜き、
PowerBankの電源を切ってから接続し、電源を入れる

 2年間という比較的長めな保証期間があるのも安心だ。通常のプロダクトなら1年間がほとんどだがVanMoofは自転車に3年、バッテリーにも2年の保証期間がある。PowerBankは総容量の60%を切ってしまうまでに500回の充電が可能としているので、通勤で毎日の利用はやや心配になる読者もいるかもしれない。そんな場合でも2年保証というのは安心だ。その他、充電用ポートのゴムキャップを閉めていれば雨天での充電走行も可能だし、専用キーでロックできる機構は充電しながら駐輪する際に安心だ。

新たなVanMoofの登場、新モデル専用の外部バッテリも

 さらにVanMoofは直近となる4月6日0時に新モデルとなる「S5」と「A5」を発表した。昨年秋頃にハイスピードモデルのVanMoof Vを発表したばかりだが、日本への発送開始は2023年となっている。S5やA5はこれと同じかひょっとすると早く手に入れることができるかもしれない。特にA5はこれまで体型の小さい人が乗りづらかったVanMoofに新たな可能性を提供している。
 
公称値では155-200cm向けとX3と同じ記載になっているが、フレームが斜めになったことで
女性でも格段に乗りやすく(跨ぎやすく)なっていることが想像できる、これは大きな変化だ

 S5、A5にもアクセサリーとしてClick-OnバッテリがラインナップされていることがWebサイトで明らかになっており、今後は充電場所関係ない運用が全モデルで可能になることを示唆している。集合住宅に住む割合の多い国内でも「車の代わりにE-バイク」という選択肢がより現実的になるだろう。
 
アナウンスされているS5・A5専用Click-Onバッテリー
 
A5ではX3にくらべフレームが斜めになったので女性でも跨ぎやすくなっている

 筆者が継続して伝えてきているVanMoofのE-バイクだが、乗ってみればわかる明らかな可能性を秘めている。それは、確実に車に代わる移動手段としての実用性を持っているということだ。乗らなくなるかと思っていた冬場にも、2年間毎日の子供の送り迎えから買い物まで大活躍してくれている。新モデルに関して今回詳しい紹介は省くが、キックロックが簡単にでき、近づくと自動で開いてくれる機能や、念願のスマホ連携機能など、魅力的なアップデートが目白押しだ。
 
 
完全に新しくなったロックは近づくだけで自動開錠してくれる

 新製品に関しては筆者自ら購入し、しっかりと乗って検証したレビューを掲載しようと思うので期待してほしい。E-バイク業界に旋風を巻き起こすVanMoofから目が離せない。(ROSETTA・木村ヒデノリ)


■Profile

木村ヒデノリ 
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)