電子読書リーダーとしてKindle Oasisを1年ほど重宝してきたが、Kindle以外の電子書籍サービスや漫画アプリを利用できないデメリットは常に感じていた。そこで、Kindle Oasisの穴を埋めてより快適な読書ライフを送るべく、「コスパがいい」と評判のタブレット端末「Xiaomi Pad 5」を購入した。「エンターテインメントと仕事の質を向上」させると謳う「Xiaomi Pad 5」を1カ月ほど使った所感を、エンターテインメント(主に読書)と仕事の2軸で紹介していく。
筆者が今まで使っていたKindle Oasisは小説を読むことに特化していて、ディスプレイも7インチと小ぶりだ。漫画を読むには心もとなく、会話が多くてフォントサイズが小さいパートはズームしないと文字を識別できない。一方の「Xiaomi Pad 5」は11インチのWQHD+(1600 × 2560)ディスプレイを搭載しており、漫画はもちろん、アメコミや雑誌など1ページの情報量が多い書籍もズームなしで鑑賞できる。目指している方向性が全く異なるデバイスなのでフェアな比較ではないが、Kindle Oasisの価格は2万9980円~なので、1万円強の上乗せで汎用性がかなり広がる。
さらにMIUIは読書に特化した独自の機能「読書モード」を搭載している。これは夜間モードのようにディスプレイのブルーライトを軽減しつつザラついたノイズを画面全体にかけ、画面の質感を「紙っぽく」する機能だ。色温度やノイズ強度は細かくカスタマイズできる。ゲームプレイや動画鑑賞時など、ノイズが邪魔になる場合はクイック設定パネルからワンタップでオフにできるため使い勝手もいい。読書モードの存在を知らずに「Xiaomi Pad 5」を購入したが、漫画や小説をよく読む筆者にとって地味ながら嬉しいサプライズだった。
なお、Xiaomiのメモ帳アプリ「メモ」(以下、Xiaomiメモ)の設定で「クイックメモ」をONにすると、画面左端上部に専用のアイコンが表示されるようになる。アイコンを右にスワイプすると、Xiaomiメモがフローティングウィンドウとして表示される。サッとメモを取りたい時に便利そうな機能だが、Xiaomiメモはインポート機能を持たないので、メモ帳アプリを乗り換えるハードルは高めだ。Xiaomiメモ以外のアプリをクイックメモ機能に割り当てられるといいのだが……。
話を元に戻そう。フローティングウィンドウは、画面分割で2つのアプリを開いていても使用できる。要は、3つのアプリを同時に表示しておけるわけだ。筆者は本稿執筆に際して、画面分割を使ってGoogle ドキュメントとGoogle Chromeを開きつつ、Google Chatをフロートさせて作業を行っていた。物理キーボードやマウスを接続すればPCのような感覚で操作・入力でき、ほぼ問題なく記事執筆を行えた。
「ほぼ」と歯切れが悪い言い方をしたのは、物理キーボードとの相性が悪いアプリがいくつかあったからだ。文字入力中に入力カーソルが勝手に移動したり、文字変換を確定するために押した「Enter」を変換確定+送信として処理したりと、思うように入力できない場面が多かった。筆者がよく使うSlackも、PCとは異なるタイミングで「メッセージ送信」の判定がなされるため、物理キーボード使用時はメッセージの誤送信を頻繁に起こしていた。
また、MIUIのUIはWindowsほどマルチタスク性に優れているわけでもない。MIUIだと画面分割をした左右のアプリを簡単に入れ替えられないし、分割の比率も数パターンに限られている。「『Xiaomi Pad 5』で仕事をしよう」と思っている人は少ないだろうが、PCの代替として使うにはストレスを感じる場面が多い。
ただ、筆者の使い方ではスペックの高さを端的に感じられる場面が少ないので、本稿執筆にあたりあえて普段以上の負荷をかけることにした。試しに『CoDモバイル』をメインに起動して『アークナイツ』をフロートさせてみる。前者はグラフィック品質「最高」、後者は省エネモード「OFF」と、グラフィック重視の設定にしておいた。
『CoDモバイル』でオンライン対戦しながら、『アークナイツ』は自動指揮(クリアしたステージを全自動で再プレイしてくれる機能)で出撃したところ、どちらも難なくプレイできた。爆発などのエフェクトが同時に発生した際は少しフレームがカクつくこともあったが、カジュアルにプレイする分には気にならない程度だ。複数のアプリを同時に使いたい人にとっても、非常に優秀なデバイスだと言えるだろう。
設定>サウンド>サウンドアシスタントより設定しておけば開いている複数アプリの各音量を調整できるので使い道は多そうだが、とにかくグラフィック重視のゲームでも十分余裕をもってプレイできるスペックということだ。手元のPixel 3a(チップセットはSnapdragon 670、RAMは4GB)だと『CoDモバイル』のグラフィック設定を下げても動作がカクつくことがあるくらいスペックに差があるので、もうPixel 3aでのゲームプレイには戻れなさそうだ。
・アプリを様々なサイズで表示できるようになる(フローティングウィンドウとの併用も可)
・アプリのリストをサイドバーに表示でき、タップするとフローティングウィンドウとして開けるようになる
以上に加えて、MIUI 13では約3000のアプリがタブレット用に最適化されることも発表された。現状、スマホ向けの画面を拡大表示しただけのアプリも多く、操作に問題はないにせよ視覚的なチグハグ感は確かに感じていた。最適化されるアプリのリストは公表されておらず、筆者が普段使っているアプリに影響があるかは不明だが、タブレット用の調整をしようとする姿勢だけでもありがたい。「Xiaomi Pad 5」が仕事にも使えるような、より汎用性の高いデバイスに進化することを期待したい。ただ、MIUI 13へのアップデートは始まりつつあるものの、タブレット向けの最適化や新機能の追加はもう少し先になりそうだ。
なお、通常価格でも十分コスパがいい「Xiaomi Pad 5」だが、様々なECサイトで頻繁にセールが行われている。256GBモデルが4万円台まで値下げされることもあるので、急がないのであればセールを待ってもいいだろう。エンターテインメントと(ちょこっと)仕事の質を向上させてくれる「Xiaomi Pad 5」を、ぜひ手にとってもらいたい。(浦辺制作所・佐島 蒼太)
「読書モード」を使ってみてほしい
まず、筆者が最も求めていた「読書用デバイス」としての使い勝手は非常にいい。「Xiaomi Pad 5」はAndroid OSをベースにした独自のOS「MIUI(ミーユーアイ)」を搭載しており(記事執筆時点ではAndroid 11ベースのMIUI 12.5)、Google Play ストアを通してAndroid向けアプリを利用できる。タブレットに対応していないアプリがあるものの、KindleやDMMブックス、ジャンプ+などの主要な電子書籍サービス・漫画アプリは問題なくインストールできた。筆者が今まで使っていたKindle Oasisは小説を読むことに特化していて、ディスプレイも7インチと小ぶりだ。漫画を読むには心もとなく、会話が多くてフォントサイズが小さいパートはズームしないと文字を識別できない。一方の「Xiaomi Pad 5」は11インチのWQHD+(1600 × 2560)ディスプレイを搭載しており、漫画はもちろん、アメコミや雑誌など1ページの情報量が多い書籍もズームなしで鑑賞できる。目指している方向性が全く異なるデバイスなのでフェアな比較ではないが、Kindle Oasisの価格は2万9980円~なので、1万円強の上乗せで汎用性がかなり広がる。
さらにMIUIは読書に特化した独自の機能「読書モード」を搭載している。これは夜間モードのようにディスプレイのブルーライトを軽減しつつザラついたノイズを画面全体にかけ、画面の質感を「紙っぽく」する機能だ。色温度やノイズ強度は細かくカスタマイズできる。ゲームプレイや動画鑑賞時など、ノイズが邪魔になる場合はクイック設定パネルからワンタップでオフにできるため使い勝手もいい。読書モードの存在を知らずに「Xiaomi Pad 5」を購入したが、漫画や小説をよく読む筆者にとって地味ながら嬉しいサプライズだった。
マルチタスクに向いた作りだが、ビジネス用途には一歩届かず
MIUIはマルチタスクがしやすいよう、対応しているアプリを「フローティングウィンドウ」として画面にピン留めできる。フローティングウィンドウとして表示したアプリは画面の4分の1程度の大きさで表示され、操作しない場合は画面の四隅にコンパクト化してフロートさせておくこともできる。たとえばGoogle Chromeで調べ物をする際にメモ帳アプリをフロートさせておけば、2つのアプリを行き来する手間が省けるわけだ。なお、Xiaomiのメモ帳アプリ「メモ」(以下、Xiaomiメモ)の設定で「クイックメモ」をONにすると、画面左端上部に専用のアイコンが表示されるようになる。アイコンを右にスワイプすると、Xiaomiメモがフローティングウィンドウとして表示される。サッとメモを取りたい時に便利そうな機能だが、Xiaomiメモはインポート機能を持たないので、メモ帳アプリを乗り換えるハードルは高めだ。Xiaomiメモ以外のアプリをクイックメモ機能に割り当てられるといいのだが……。
話を元に戻そう。フローティングウィンドウは、画面分割で2つのアプリを開いていても使用できる。要は、3つのアプリを同時に表示しておけるわけだ。筆者は本稿執筆に際して、画面分割を使ってGoogle ドキュメントとGoogle Chromeを開きつつ、Google Chatをフロートさせて作業を行っていた。物理キーボードやマウスを接続すればPCのような感覚で操作・入力でき、ほぼ問題なく記事執筆を行えた。
「ほぼ」と歯切れが悪い言い方をしたのは、物理キーボードとの相性が悪いアプリがいくつかあったからだ。文字入力中に入力カーソルが勝手に移動したり、文字変換を確定するために押した「Enter」を変換確定+送信として処理したりと、思うように入力できない場面が多かった。筆者がよく使うSlackも、PCとは異なるタイミングで「メッセージ送信」の判定がなされるため、物理キーボード使用時はメッセージの誤送信を頻繁に起こしていた。
また、MIUIのUIはWindowsほどマルチタスク性に優れているわけでもない。MIUIだと画面分割をした左右のアプリを簡単に入れ替えられないし、分割の比率も数パターンに限られている。「『Xiaomi Pad 5』で仕事をしよう」と思っている人は少ないだろうが、PCの代替として使うにはストレスを感じる場面が多い。
ハード面のポテンシャルは高い
ソフトウェアの不満は残るものの、ハードウェアの性能は十分に高い。チップセットはSnapdragon 860、RAMが6GB、ディスプレイは120Hzと、同じ価格帯のAndroid系タブレットと比較すると「こんなに高いスペックでいいの?」と思ってしまうくらいだ。バッテリー容量も8720mAhで、『Call of Duty: Mobile(以下、CoDモバイル)』を1時間ほどプレイするとおよそ10%減る程度。ゲームをプレイし続けても単純計算で約10時間は保つし、調べ物をしたり本を読んだりするくらいであれば3~4日は充電せずに使える。アプリ起動や画面スクロールもサクサクで充電の頻度も少なくて済むので、快適この上ない。ただ、筆者の使い方ではスペックの高さを端的に感じられる場面が少ないので、本稿執筆にあたりあえて普段以上の負荷をかけることにした。試しに『CoDモバイル』をメインに起動して『アークナイツ』をフロートさせてみる。前者はグラフィック品質「最高」、後者は省エネモード「OFF」と、グラフィック重視の設定にしておいた。
『CoDモバイル』でオンライン対戦しながら、『アークナイツ』は自動指揮(クリアしたステージを全自動で再プレイしてくれる機能)で出撃したところ、どちらも難なくプレイできた。爆発などのエフェクトが同時に発生した際は少しフレームがカクつくこともあったが、カジュアルにプレイする分には気にならない程度だ。複数のアプリを同時に使いたい人にとっても、非常に優秀なデバイスだと言えるだろう。
設定>サウンド>サウンドアシスタントより設定しておけば開いている複数アプリの各音量を調整できるので使い道は多そうだが、とにかくグラフィック重視のゲームでも十分余裕をもってプレイできるスペックということだ。手元のPixel 3a(チップセットはSnapdragon 670、RAMは4GB)だと『CoDモバイル』のグラフィック設定を下げても動作がカクつくことがあるくらいスペックに差があるので、もうPixel 3aでのゲームプレイには戻れなさそうだ。
MIUI 13の進化に期待
エンターテインメント面では文句なしの「Xiaomi Pad 5」も、ビジネス用途には課題が残っている……とまとめたいところだが、徐々に始まりつつある「MIUI 13」へのアップデートでよりマルチタスクがしやすくなるだろう、と期待している。デザインのブラッシュアップや安定性の向上はもちろん、様々な面でタブレットへの最適化が行われる予定だ。特に下記のような新機能は、先に挙げた「Xiaomi Pad 5」のソフトウェア面での課題を解決してくれるかもしれない。・アプリを様々なサイズで表示できるようになる(フローティングウィンドウとの併用も可)
・アプリのリストをサイドバーに表示でき、タップするとフローティングウィンドウとして開けるようになる
以上に加えて、MIUI 13では約3000のアプリがタブレット用に最適化されることも発表された。現状、スマホ向けの画面を拡大表示しただけのアプリも多く、操作に問題はないにせよ視覚的なチグハグ感は確かに感じていた。最適化されるアプリのリストは公表されておらず、筆者が普段使っているアプリに影響があるかは不明だが、タブレット用の調整をしようとする姿勢だけでもありがたい。「Xiaomi Pad 5」が仕事にも使えるような、より汎用性の高いデバイスに進化することを期待したい。ただ、MIUI 13へのアップデートは始まりつつあるものの、タブレット向けの最適化や新機能の追加はもう少し先になりそうだ。
なお、通常価格でも十分コスパがいい「Xiaomi Pad 5」だが、様々なECサイトで頻繁にセールが行われている。256GBモデルが4万円台まで値下げされることもあるので、急がないのであればセールを待ってもいいだろう。エンターテインメントと(ちょこっと)仕事の質を向上させてくれる「Xiaomi Pad 5」を、ぜひ手にとってもらいたい。(浦辺制作所・佐島 蒼太)