いまマツダ車の進化が凄い! 独自路線を突っ走る「MX-30」は現代の生活に最高の一台だった
【木村ヒデノリのTech Magic #089】 なにかとマツダ車に縁のある筆者。最初に購入した車は「RX-8」だったし、弟が選んだ車も「CX-5」だった。それぞれ「ロータリーエンジン」「ディーゼルエンジン」と他の国内メーカーに類を見ないチャレンジが感じられるマツダ。当時から独自路線を行くマツダの新車に久々に乗ってみたが、その進化が凄まじかった。
以前からエクステリアのデザイン性は目を見張るほど向上しており、欧州車にも負けないようになっていたのは事実。ただ今回紹介する「MX-30」に乗って、インテリアもここまですばらしいのかと驚愕した。もちろん車の良さというのは人それぞれで、走りが物足りないという意見もあるだろう。ただ、筆者個人としては、現代的な乗り方においてかなり完成度の高い車に仕上がっていると感じた。
インテリアのデザインも秀逸だ。ダッシュボードからエアコンの吹き出し口に至るまで一部の隙もなく作り込まれている。普段カーシェアやレンタカーでさまざまな車に乗るが、ここまで隙がなく作り込まれている車内空間は見たことがない。その上、素材はペットボトルをリサイクルした繊維素材や糸を採用。プラスチック中心の内装でどうしても安っぽく見えがちな国産車だが、マツダは同じプラスチック原料でも温かみを感じるような使い方をすることで欧州車のような上質感を実現した。
また、センターコンソールにはコルクを採用。マツダのルーツである東洋コルク工業を彷彿させる素材採用も粋だ。シフトレバーとコマンダーコントロールはやや上に浮き、アームレストを使ってちょうど操作しやすい高さに調整されている。奥側にはUSBポートやHDMI端子があり、ケーブルで繋いだスマホはコンソール横のスペースに置くこともできる。コンソールがなく前後が行き来できる車も便利だが、MX-30の大きさと用途を考えると運転しやすさに特化した構造には好感が持てる。
Apple CarPlay自体がタッチ操作を前提としたUIなのを考えると一見不便そうに見えるが、固定した位置に操作系が配置され、視覚を使わずにコントロールできるのは理にかなっている。もちろん走行中にナビを操作するのはご法度だが、停車中のちょっとした操作も直感的にできる仕様は秀逸。タッチパネルのように手を伸ばさなくても運転姿勢そのままで操作ができるのは非常に良いのではないだろうか。
他にも前2席のシートヒーターや運転席10wayパワーシート、駐車時に真上から見たように位置を確認できる360°ビューモニターなどオプションも充実。サウンドシステムでは運転手だけが良いバランスで聞こえるモードと、全席で良い音質を実現できるモードを切り替えられる。フロントガラスにはスピードや制限速度などが表示されるため、目を離さずとも情報の確認が容易だ。
写真は上がCX-5、下がMX-30の結果。左からアイドリング中、時速50km程度、高速走行の順に測定したものだ。特に高速走行中では20dBほど差があり、静音性が高いことがわかる。車内の静音性も高級感や非日常感を感じさせるのに重要な要素なので、ここまでこだわった設計には舌を巻いた。
販売方法も感心するところがある。MX-30は基本的に値引きしない車両だと話していた販売店の担当者が印象的だった。国産車は燃費の良さや手頃さを追求するあまり、前述したようなチープな作りになってしまっている。マツダはそこを敢えて品質良く作り、値引きしないという戦略でブランド価値を高めているのは昨今の隆盛を見ても明らかだ。試乗中もこちらの質問に全て的確に返答してくれたので安心できた。
他のレビューでは走りのパワフルさが足りないといった指摘も見受けられるが、街乗りではマイルドハイブリッドの利点が生かされるし、基本的に二人で乗る層には非常に便利だ。汎用的になりすぎても尖った車はできないので、このくらいターゲットユーザーを絞った開発を今後も続けてほしい。久しぶりにワクワクする車に出会えて満足な年末年始だった。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
以前からエクステリアのデザイン性は目を見張るほど向上しており、欧州車にも負けないようになっていたのは事実。ただ今回紹介する「MX-30」に乗って、インテリアもここまですばらしいのかと驚愕した。もちろん車の良さというのは人それぞれで、走りが物足りないという意見もあるだろう。ただ、筆者個人としては、現代的な乗り方においてかなり完成度の高い車に仕上がっていると感じた。
復活した観音開きドア、瞬時に圧倒されるデザイン性
筆者が一番うれしかったのは観音開き式フリースタイルドアの復活だ。人生で最初の車を購入する決め手となったこのフリースタイルドアはロータリーエンジンとともにマツダを象徴する仕様。RX-8以降出ていなかったこの仕様が便利かと言われれば必ずしもそうではないがロマンがある。インテリアのデザインも秀逸だ。ダッシュボードからエアコンの吹き出し口に至るまで一部の隙もなく作り込まれている。普段カーシェアやレンタカーでさまざまな車に乗るが、ここまで隙がなく作り込まれている車内空間は見たことがない。その上、素材はペットボトルをリサイクルした繊維素材や糸を採用。プラスチック中心の内装でどうしても安っぽく見えがちな国産車だが、マツダは同じプラスチック原料でも温かみを感じるような使い方をすることで欧州車のような上質感を実現した。
また、センターコンソールにはコルクを採用。マツダのルーツである東洋コルク工業を彷彿させる素材採用も粋だ。シフトレバーとコマンダーコントロールはやや上に浮き、アームレストを使ってちょうど操作しやすい高さに調整されている。奥側にはUSBポートやHDMI端子があり、ケーブルで繋いだスマホはコンソール横のスペースに置くこともできる。コンソールがなく前後が行き来できる車も便利だが、MX-30の大きさと用途を考えると運転しやすさに特化した構造には好感が持てる。
Apple CarPlayにも対応、ハードとソフトの良さを両立
コマンダーコンソールを操作の軸とした点も面白い。タッチパネルが主流となるなか、マツダが出したのは「車ではハード的な操作の方が圧倒的に便利」という答えだという。Apple CarPlay自体がタッチ操作を前提としたUIなのを考えると一見不便そうに見えるが、固定した位置に操作系が配置され、視覚を使わずにコントロールできるのは理にかなっている。もちろん走行中にナビを操作するのはご法度だが、停車中のちょっとした操作も直感的にできる仕様は秀逸。タッチパネルのように手を伸ばさなくても運転姿勢そのままで操作ができるのは非常に良いのではないだろうか。
他にも前2席のシートヒーターや運転席10wayパワーシート、駐車時に真上から見たように位置を確認できる360°ビューモニターなどオプションも充実。サウンドシステムでは運転手だけが良いバランスで聞こえるモードと、全席で良い音質を実現できるモードを切り替えられる。フロントガラスにはスピードや制限速度などが表示されるため、目を離さずとも情報の確認が容易だ。
CX-5より車内の静音性がアップ、販売の仕方にも独自性が見える
その他で特に印象的だったのは車内の静音性だ。入った感じでも明らかに外の音が聞こえず静か、という感覚を得られるが数値で測定しても同様の結果だった。写真は上がCX-5、下がMX-30の結果。左からアイドリング中、時速50km程度、高速走行の順に測定したものだ。特に高速走行中では20dBほど差があり、静音性が高いことがわかる。車内の静音性も高級感や非日常感を感じさせるのに重要な要素なので、ここまでこだわった設計には舌を巻いた。
販売方法も感心するところがある。MX-30は基本的に値引きしない車両だと話していた販売店の担当者が印象的だった。国産車は燃費の良さや手頃さを追求するあまり、前述したようなチープな作りになってしまっている。マツダはそこを敢えて品質良く作り、値引きしないという戦略でブランド価値を高めているのは昨今の隆盛を見ても明らかだ。試乗中もこちらの質問に全て的確に返答してくれたので安心できた。
他のレビューでは走りのパワフルさが足りないといった指摘も見受けられるが、街乗りではマイルドハイブリッドの利点が生かされるし、基本的に二人で乗る層には非常に便利だ。汎用的になりすぎても尖った車はできないので、このくらいターゲットユーザーを絞った開発を今後も続けてほしい。久しぶりにワクワクする車に出会えて満足な年末年始だった。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)