冬でも使える日本式サンダル! SUBUの提供するユーザー体験は最高の一言しかない
【木村ヒデノリのTech Magic #083】 「あえていいますが、SUBUは5km歩くのに適したサンダルではありません」――ブランドディレクター府川さんの言葉だ。SUBUは“履物”にフォーカスしたブランドで、ファッションとしての日用品を追求するというアイデンティティのもと、ものづくりを行っている。靴を脱いで生活するという日本の文化に着目し、室内外どちらでもさっと履いて使え、かつリラックスできるというのが他製品と違う点だ。
あえてかかと部分のないサンダルという立ち位置の商品を多くラインアップするのもこうした思想からで、さっと履いて冬でも外に出られる利便性は特筆すべきところがある。また、キャンプや登山などアウトドアにおいても硬い靴から解放されることで癒される体験を提供するなど、サンダルの枠を超えた商品開発が面白い。興味を持った筆者が実際1か月使ってみた感想を踏まえて紹介していこうと思う。
こうした様式に着目したのがSUBUだ。家でリラックスしている最中でちょっと買い出しに、という用途で使いたい、冬でも使えたら便利だ、という発想からプロダクトが生まれたそうだ。ここには「日本人的なユーザー体験」が詰まっており、非常に好感が持てる。靴業界はもはやレッドオーシャンかのように見えていたが、ユーザー体験から逆算して日用品としての実用性を高めることで、見事に新しい市場を作り出した。
クロックスに代表されるサンダルが重宝されるのも日本ならではの様式が背景にあるが、履き心地やデザインまで追求したプロダクトは今まであまりなかった。広義のサンダルとは「足全体が覆われていないもの」となりハイヒールなども含まれるが、日本でサンダルと言えばいわゆる”突っかけ”を想像する人が多いことからもニーズがあることがうかがえるだろう。スリッパ(室内履き)に関してはなんと日本発祥で、江戸から明治にかけて来日した外国人向けに作られたものだった。履物と言えば服と同じく人生をともにする時間が長いものなので、日本人が快適だと思える提案は非常に良いアプローチと言えるだろう。
例えば、ラインアップ内のプレミアムレーベルであるampシリーズは、フォーマルなシーンに合うとまではいかないものの、通勤などでは十分に使えるデザイン性とともに快適な履き心地も実現している。Ampシリーズにはかかと部分にも生地があるが、踏むことでサンダルとしても使える2way構造になっているので、リラックスしたいタイミングでは他の製品と同じように使うこともできる。
また、室内履き専用モデルのLightでは上部に通気性の良いダブルメッシュを採用。内側も抗菌・高吸水性生地を使うことで素足でもドライで清潔さを保つ仕様になっている。筆者が購入したのはこのモデルだが、今まで試したどのスリッパよりも履き心地がよく快適。また、ソールの接地面は外履きと同じようなしっかりしたものになっているため、ホコリなどがつきづらいのもよい。
一般的なスリッパは底面がフラットになっているし、多くの場合薄いので接地面が汚れやすい。水拭きワイパーなどを使っていると、スリッパの底面から汚れが付着してかえって汚くなってしまうなど手入れ問題が発生していたが、SUBU Lightならこれを最小限にできると感じた。スリッパに関してはかなり試行錯誤してきたが、SUBU Lightは履き心地も機能性も抜群に良い。「ファッションとしての日用品を追求」というコンセプトに二言はなかった。
キャンプで意外と困るのが、テントの出入りだ。ワンポールテントなど高さがあるものならいざ知らず、低めのテントでは靴の脱ぎ履きも一苦労。ことアウトドア用の靴は重厚でスニーカーのようにはいかない。そんなシーンでSUBUが提案するのがNANNENシリーズ。設営などアクティブな工程が済んだらこっちに履き替えて焚き火を囲む。冬でもダウンジャケットのような暖かさで、起毛加工の内部生地と4層構造のインソールが抜群のフィット感と履き心地を作り出してくれるそうだ。
通常のシリーズと比べて305Dの記事は5倍の強度で、足の甲側がしっかりとするのでアウトドアでも履きやすい。これならテントへの出入りも非常に楽だし、夜トイレに行きたくなった時もさっと履いて出られる。半分シートをひいたドームなどでは1つ置いておいて誰かが外に出たい時などにシェアするのも良いだろう。
SUBUのブランドラインには他にも飛行機内での利用や登山での利用などシーンごとに特化したものが並ぶ。このように特定の利用シーンを想定して作り込まれたプロダクトは見たことがない。どのラインでも良いから一度履いてみるとその魅力や実用性に取り憑かれることうけあいだ。
筆者はこの後、夫婦のキャンプ用と妻の通勤用も買い増ししようと思っている。キャンプシーンを考えると子供と一緒に履けるとなお良いので、将来的にそういったサイズ展開にも期待したい。久しぶりにガジェット以外でコンセプトとそのアプローチに感銘を受ける製品だった。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
あえてかかと部分のないサンダルという立ち位置の商品を多くラインアップするのもこうした思想からで、さっと履いて冬でも外に出られる利便性は特筆すべきところがある。また、キャンプや登山などアウトドアにおいても硬い靴から解放されることで癒される体験を提供するなど、サンダルの枠を超えた商品開発が面白い。興味を持った筆者が実際1か月使ってみた感想を踏まえて紹介していこうと思う。
冬でも履けるサンダル、日本の文化から生まれた製品思想
日本の住宅は湿気の多い気候から考え出された構造になっている。床が高くなっており、明確に外と中を区別できるため履物を脱いで”上がる”という生活スタイルが定着した。このため日本人は履物を履いている時間が欧米人と比べて非常に短く、足を圧迫されている状態も嫌う傾向にある。こうした様式に着目したのがSUBUだ。家でリラックスしている最中でちょっと買い出しに、という用途で使いたい、冬でも使えたら便利だ、という発想からプロダクトが生まれたそうだ。ここには「日本人的なユーザー体験」が詰まっており、非常に好感が持てる。靴業界はもはやレッドオーシャンかのように見えていたが、ユーザー体験から逆算して日用品としての実用性を高めることで、見事に新しい市場を作り出した。
クロックスに代表されるサンダルが重宝されるのも日本ならではの様式が背景にあるが、履き心地やデザインまで追求したプロダクトは今まであまりなかった。広義のサンダルとは「足全体が覆われていないもの」となりハイヒールなども含まれるが、日本でサンダルと言えばいわゆる”突っかけ”を想像する人が多いことからもニーズがあることがうかがえるだろう。スリッパ(室内履き)に関してはなんと日本発祥で、江戸から明治にかけて来日した外国人向けに作られたものだった。履物と言えば服と同じく人生をともにする時間が長いものなので、日本人が快適だと思える提案は非常に良いアプローチと言えるだろう。
まず履物としてのクオリティが秀逸、内側までが心地良い
SUBUがすばらしいのはまず履物としてのクオリティが高い点だ。サンダルと聞くと簡素なものをイメージしてしまうし、履く時間が短いこともあって粗雑に扱われやすい。一方でかかと部分がないのでさっと履け、靴に比べて履いていて楽なメリットは意外と大きい。SUBUはこのメリット部分を最大化し、かつデザイン性の高さでサンダルのデメリットも補っている。例えば、ラインアップ内のプレミアムレーベルであるampシリーズは、フォーマルなシーンに合うとまではいかないものの、通勤などでは十分に使えるデザイン性とともに快適な履き心地も実現している。Ampシリーズにはかかと部分にも生地があるが、踏むことでサンダルとしても使える2way構造になっているので、リラックスしたいタイミングでは他の製品と同じように使うこともできる。
また、室内履き専用モデルのLightでは上部に通気性の良いダブルメッシュを採用。内側も抗菌・高吸水性生地を使うことで素足でもドライで清潔さを保つ仕様になっている。筆者が購入したのはこのモデルだが、今まで試したどのスリッパよりも履き心地がよく快適。また、ソールの接地面は外履きと同じようなしっかりしたものになっているため、ホコリなどがつきづらいのもよい。
一般的なスリッパは底面がフラットになっているし、多くの場合薄いので接地面が汚れやすい。水拭きワイパーなどを使っていると、スリッパの底面から汚れが付着してかえって汚くなってしまうなど手入れ問題が発生していたが、SUBU Lightならこれを最小限にできると感じた。スリッパに関してはかなり試行錯誤してきたが、SUBU Lightは履き心地も機能性も抜群に良い。「ファッションとしての日用品を追求」というコンセプトに二言はなかった。
アウトドアでも発揮される高い機能性
さらに筆者が魅力を感じたのはアウトドアで使えるラインアップだ。10月8日にリリースされたNANNENシリーズでは、305Dという超高密度の難燃生地を採用。生地は糸を染色するときに難燃コーティングされたものを織って作った独自開発品ということだ。糸の強度も普通のナイロンの10倍相当で、織り方によって水の進入も防げる。アウトドアシーンでも気にせず使えるようにという思いからわざわざ一から生地を作るこだわりには筆者も非常に共感した。キャンプで意外と困るのが、テントの出入りだ。ワンポールテントなど高さがあるものならいざ知らず、低めのテントでは靴の脱ぎ履きも一苦労。ことアウトドア用の靴は重厚でスニーカーのようにはいかない。そんなシーンでSUBUが提案するのがNANNENシリーズ。設営などアクティブな工程が済んだらこっちに履き替えて焚き火を囲む。冬でもダウンジャケットのような暖かさで、起毛加工の内部生地と4層構造のインソールが抜群のフィット感と履き心地を作り出してくれるそうだ。
通常のシリーズと比べて305Dの記事は5倍の強度で、足の甲側がしっかりとするのでアウトドアでも履きやすい。これならテントへの出入りも非常に楽だし、夜トイレに行きたくなった時もさっと履いて出られる。半分シートをひいたドームなどでは1つ置いておいて誰かが外に出たい時などにシェアするのも良いだろう。
SUBUのブランドラインには他にも飛行機内での利用や登山での利用などシーンごとに特化したものが並ぶ。このように特定の利用シーンを想定して作り込まれたプロダクトは見たことがない。どのラインでも良いから一度履いてみるとその魅力や実用性に取り憑かれることうけあいだ。
筆者はこの後、夫婦のキャンプ用と妻の通勤用も買い増ししようと思っている。キャンプシーンを考えると子供と一緒に履けるとなお良いので、将来的にそういったサイズ展開にも期待したい。久しぶりにガジェット以外でコンセプトとそのアプローチに感銘を受ける製品だった。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
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