ソニーは最近攻めていて面白い! ガラスを使った異色のポータブルスピーカー、世代ごとの違いは?
【木村ヒデノリのTech Magic #081】 ポータブルスピーカー市場は完全にレッドオーシャンだ。Bluetoothで接続するタイプのスピーカーが群雄割拠し、JBLなどは数千円から低音も豊かに再生できる製品をラインアップしている。家庭でステレオコンポを置いていた時代は過ぎ、今はキッチンやバスルームでも手軽に聴けるコンパクトモデルが主流だ。
用途からして手頃な価格がもてはやされるポータブルスピーカー市場だが、ソニーはかなりチャレンジングな製品を継続してリリースしている。今回紹介する「グラスサウンドスピーカー」は、価格が3万円オーバーとかなり高額。しかも8月に発売された最新モデルで3世代目という人気製品だ。発売当初は正直、斬新だが続かなそうだな…と思っていたが、3世代目ということは実用性も高いのでは?と興味がわいた。着るクーラー「REON POCKET」など、以前のアグレッシブさを取り戻したソニー製品に注目したい。
ガラスで高域を出しているのにも意味がある。グラススピーカーでは、加振器が実際にガラス管を叩いて振動を伝えるため、ガラス管自体が振動板として機能するようになっている。これは楽器が物理的な衝撃を受けて発音される構造と同じ。さらにガラスという素材が持つクリアな音色もメリットとなる。
さらにDSEE(Digital Sound Enhancement Engine)というソニー独自の技術もグラススピーカーの良さを押し上げている。この技術はBluetoothという通信方式や音楽ファイル自体の圧縮で失われた高音域を補完し、音が消える際の微小な音を再現してくれる。つまり、ワイヤレス接続できるスピーカーであるにも関わらず、高音や細かい音のニュアンスを技術的に補い、それをガラスの特性できれいに聴かせてくれるのだ。
これによってそこまで音質にこだわらないユーザーには手に入れやすくなったが、依然として3万円オーバーという価格は高い。音質的にもウーファーが35mmから46mmになったことで、中低音が強調され、パッと聞いて「お、小さいのにすごいぞ?」とは聞こえるものの、グラススピーカーとしての良さは若干落ちてしまった。
ガラスの特性をうまく活用してハイレゾ音源を再生できていた第2世代と比べると残念なことだが、価格が下がったことで間口は広がっただろう。こういったことから単純に新しい製品を選ぶのではなく、音質を優先するなら第2世代、価格やインテリア性を重視するなら第3世代という選び方をするのが適切だ。特にアコースティックな音源や、ヒーリング音源の良さは断然第2世代の方が出せているし、アナログ入力もあることから汎用性が高いのも第2世代と言えるかもしれない。
さらに言えば、デザイン性や設計も含めた製品クオリティとしては第1世代が圧倒的だ。価格も当初は7万円弱と高額だったが、今はAmazonで4万円台で購入することも可能(2021年11月18日現在)なので、デザイン性を重視する場合は第1世代という選択肢もある。特にライト部分は他の二つにはない光源形状なので注目してほしい。
どのモデルもステレオ再生できる点は共通している。特に映画を見る用途などには、LEDをキャンドルのような揺らぎありで点灯できる点も向いているだろう。また、寝る前にヒーリングミュージックを流すといった用途もとても合う。実際に父がそういった使い方をしていたが音質の良さに驚いた。
価格は手頃になったのでもちろん第3世代を選ぶのも理にかなっているが、グラススピーカーの良さを体感したいのであれば在庫のあるうちに第2世代の購入をおすすめしたい。また、どれも数千円のポータブルスピーカーとは一線を画す音質なので、どれを選んだとしても価格に見合う満足感を得られることは保証したい。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
用途からして手頃な価格がもてはやされるポータブルスピーカー市場だが、ソニーはかなりチャレンジングな製品を継続してリリースしている。今回紹介する「グラスサウンドスピーカー」は、価格が3万円オーバーとかなり高額。しかも8月に発売された最新モデルで3世代目という人気製品だ。発売当初は正直、斬新だが続かなそうだな…と思っていたが、3世代目ということは実用性も高いのでは?と興味がわいた。着るクーラー「REON POCKET」など、以前のアグレッシブさを取り戻したソニー製品に注目したい。
1台で高音質を実現、全方位にバランスの良い音を伝える構造
初代から3世代目まで共通なのはそのユニークな構造だ。ガラス筒が高音を発するトゥイーターの役割をし、その下から中低音が、本体底面からは低音が出るようになっている。筒状のため360度へ均一に音を出せるようになっており、1台でどこにいてもバランスの良い聴こえを実現している。ガラスで高域を出しているのにも意味がある。グラススピーカーでは、加振器が実際にガラス管を叩いて振動を伝えるため、ガラス管自体が振動板として機能するようになっている。これは楽器が物理的な衝撃を受けて発音される構造と同じ。さらにガラスという素材が持つクリアな音色もメリットとなる。
さらにDSEE(Digital Sound Enhancement Engine)というソニー独自の技術もグラススピーカーの良さを押し上げている。この技術はBluetoothという通信方式や音楽ファイル自体の圧縮で失われた高音域を補完し、音が消える際の微小な音を再現してくれる。つまり、ワイヤレス接続できるスピーカーであるにも関わらず、高音や細かい音のニュアンスを技術的に補い、それをガラスの特性できれいに聴かせてくれるのだ。
世代が上がって良くなったところばかりではない
製品に関しては兎角新しいものの方が良いと思いがちだが、グラススピーカーに関してはそうではない。第3世代は価格が5000円ほど下がり、ライトとしても影が軽減されるなど改善点も見られるが、一番大きな変更点はハイレゾ対応が廃止された点だ。これによってそこまで音質にこだわらないユーザーには手に入れやすくなったが、依然として3万円オーバーという価格は高い。音質的にもウーファーが35mmから46mmになったことで、中低音が強調され、パッと聞いて「お、小さいのにすごいぞ?」とは聞こえるものの、グラススピーカーとしての良さは若干落ちてしまった。
ガラスの特性をうまく活用してハイレゾ音源を再生できていた第2世代と比べると残念なことだが、価格が下がったことで間口は広がっただろう。こういったことから単純に新しい製品を選ぶのではなく、音質を優先するなら第2世代、価格やインテリア性を重視するなら第3世代という選び方をするのが適切だ。特にアコースティックな音源や、ヒーリング音源の良さは断然第2世代の方が出せているし、アナログ入力もあることから汎用性が高いのも第2世代と言えるかもしれない。
さらに言えば、デザイン性や設計も含めた製品クオリティとしては第1世代が圧倒的だ。価格も当初は7万円弱と高額だったが、今はAmazonで4万円台で購入することも可能(2021年11月18日現在)なので、デザイン性を重視する場合は第1世代という選択肢もある。特にライト部分は他の二つにはない光源形状なので注目してほしい。
音質重視の人には確実に第二世代をおすすめしたい
ソニー的としては、価格をもう少し抑えた方がよく、ハイレゾはオーバースペックだったという判断なのだろうが、グラススピーカーの良さを一番味わえるのはやはり第2世代だろう。どのモデルもステレオ再生できる点は共通している。特に映画を見る用途などには、LEDをキャンドルのような揺らぎありで点灯できる点も向いているだろう。また、寝る前にヒーリングミュージックを流すといった用途もとても合う。実際に父がそういった使い方をしていたが音質の良さに驚いた。
価格は手頃になったのでもちろん第3世代を選ぶのも理にかなっているが、グラススピーカーの良さを体感したいのであれば在庫のあるうちに第2世代の購入をおすすめしたい。また、どれも数千円のポータブルスピーカーとは一線を画す音質なので、どれを選んだとしても価格に見合う満足感を得られることは保証したい。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)