バルミューダのスマホが目指したのは“唯一無二”、4.9インチに多すぎるくらいのこだわり
バルミューダは11月16日に同社初となるスマートフォンの新製品「BALMUDA Phone(バルミューダフォン)」を発表した。オンラインストアとBALMUDA The Store Aoyamaなどで販売するSIMフリーモデルの価格は10万4800円前後、通信キャリアではソフトバンクで独占販売する。11月16日に予約を開始、11月26日に発売する。
発表会に登場した寺尾玄社長は冒頭にバルミューダの設立から現在までの歩みをじっくりと説明し始めた。ブランドイメージを大きな武器とする同社にとって、そのストーリーを振り返ることは珍しくないが、今回の発表会においては、ある特別な思いが込められていた。
バルミューダのプロダクト第1号がノートPCの冷却台だったというのは有名なエピソードだが、当時、寺尾社長は出来上がった製品の撮影をしていて、こう思ったそうだ。「本当は上に乗っているPCが作りたい」。その思いは創業から18年を経ても残り続けていた。会社が上場を果たして安定期に入った2020年に「自分が作りたかったものを作ろう」と長年の夢の実現に向けて動き始めた。
「コンピューティングは長い時間を経て、手のひらサイズになっていた。しかし、これだけ世の中のあらゆる人に行き渡っているのに、販売されているスマホはどれも画一的なものばかりだ。それにサイズが大きすぎる。この10年で2.25倍に大型化したが、われわれの顔のサイズは変わっていない」。
スマホを開発するにあたって、まず取り組んだのが“最良のサイズ”の探求だ。「いろいろと試行錯誤した結果、4.8インチがベストなサイズだと判明した。ただそれでは部品が収まりきらず、最終的に4.9インチというサイズになった」とのこと。iPhone最新モデルの13が6.1インチ、13 miniが5.4インチであることを考えると、それがいかにコンパクトか分かるだろう。
しかし、ただの小型化で終わらないのがバルミューダだ。寺尾社長は10年ぶりに自らプロダクトのデザインを手掛け、スマホにとってベストな形状を模索した。その結果、生み出されたのが曲線だけで構成された人間工学に基づく設計だ。「BALMUDA Phoneは直線がない唯一無二のスマートフォン」だと寺尾社長は胸を張る。
カラーはブラックとホワイトの2色。素材にもこだわっており、ジーンズのように使えば使うほど味が出る加工を施した。これは現在特許出願中の技術が用いられているそうだ。触り心地は寺尾社長いわく「河原に落ちている石」。手になじむグリップ感にもこだわった。
小型のスマホは製品数は少ないものの、一定の市場を形成している。ただ、そのほとんどはセカンドスマホを志向しており、性能は平均より低いことが常だ。しかし、BALMUDA Phoneは正真正銘のメインスマホを目指した。証拠にCPUはSnapdragon 765、バッテリ容量は2500mAh、メモリは6GB、ストレージは128GBと申し分ないスペックに仕上げている。きわめつけは、5G対応であり、Felica対応であり、防水/防塵(IPX4/IP4X)であり、ワイヤレス充電対応であることだ。市場でニーズの高い機能はほぼすべて盛り込んだ。
たとえば、スケジューラは長いスパンであっても予定が一目瞭然で分かるように日を縦軸、時間を横軸に設計。ピンチイン・ピンチアウトで直感的に確認ができるようにした。メモも全体が俯瞰できるデザインで再設計。ヘッダーカラーによる分類もできるなど、実用性を重視した。ウォッチはデザインもさることながら、音にこだわり、オリジナルサウンドを搭載した。
「大人のための」と前置きして紹介した計算機は「億」「万」などの単位ボタンを配置。また瞬時に為替演算が可能な機能も盛り込んだ。カメラはメインが有効画素数約4800万、サブカメラが約800万と一般的だが、キッチン家電開発時に培ったノウハウを生かし、フードモードにこだわった。ホーム画面でもタップの回数やストライプをなでると、指定のアプリに瞬時にアクセスできるギミックを採用した。
BALMUDA Phoneは新たに立ち上げたブランド「BALMUDA Technologies」の第一弾にあたる。具体的なカテゴリーの明言は避けたが、すでに第2弾や第3弾の開発にも着手しているとのことだ。「生活家電の分野でポップソングのようなアプローチをしていたとするなら、デジタル家電ではロックミュージック。尖った製品でなければ気づきもされない」(寺尾社長)。世界でも勝負できる本物のオリジナリティに期待したい。(BCN・大蔵大輔)
4.9インチにすべてを凝縮、正真正銘のメインスマホ
“自然に近い風を生み出す”扇風機、“感動の香りと食感を実現する”トースター。既成概念に捉われることなく、定番の家電をアップデートさせてきたバルミューダがデジタル家電の分野に参入する――その情報が発表されたのは5月のことだった。それからおよそ半年。ついにその全貌が明らかになった。発表会に登場した寺尾玄社長は冒頭にバルミューダの設立から現在までの歩みをじっくりと説明し始めた。ブランドイメージを大きな武器とする同社にとって、そのストーリーを振り返ることは珍しくないが、今回の発表会においては、ある特別な思いが込められていた。
バルミューダのプロダクト第1号がノートPCの冷却台だったというのは有名なエピソードだが、当時、寺尾社長は出来上がった製品の撮影をしていて、こう思ったそうだ。「本当は上に乗っているPCが作りたい」。その思いは創業から18年を経ても残り続けていた。会社が上場を果たして安定期に入った2020年に「自分が作りたかったものを作ろう」と長年の夢の実現に向けて動き始めた。
「コンピューティングは長い時間を経て、手のひらサイズになっていた。しかし、これだけ世の中のあらゆる人に行き渡っているのに、販売されているスマホはどれも画一的なものばかりだ。それにサイズが大きすぎる。この10年で2.25倍に大型化したが、われわれの顔のサイズは変わっていない」。
スマホを開発するにあたって、まず取り組んだのが“最良のサイズ”の探求だ。「いろいろと試行錯誤した結果、4.8インチがベストなサイズだと判明した。ただそれでは部品が収まりきらず、最終的に4.9インチというサイズになった」とのこと。iPhone最新モデルの13が6.1インチ、13 miniが5.4インチであることを考えると、それがいかにコンパクトか分かるだろう。
しかし、ただの小型化で終わらないのがバルミューダだ。寺尾社長は10年ぶりに自らプロダクトのデザインを手掛け、スマホにとってベストな形状を模索した。その結果、生み出されたのが曲線だけで構成された人間工学に基づく設計だ。「BALMUDA Phoneは直線がない唯一無二のスマートフォン」だと寺尾社長は胸を張る。
カラーはブラックとホワイトの2色。素材にもこだわっており、ジーンズのように使えば使うほど味が出る加工を施した。これは現在特許出願中の技術が用いられているそうだ。触り心地は寺尾社長いわく「河原に落ちている石」。手になじむグリップ感にもこだわった。
小型のスマホは製品数は少ないものの、一定の市場を形成している。ただ、そのほとんどはセカンドスマホを志向しており、性能は平均より低いことが常だ。しかし、BALMUDA Phoneは正真正銘のメインスマホを目指した。証拠にCPUはSnapdragon 765、バッテリ容量は2500mAh、メモリは6GB、ストレージは128GBと申し分ないスペックに仕上げている。きわめつけは、5G対応であり、Felica対応であり、防水/防塵(IPX4/IP4X)であり、ワイヤレス充電対応であることだ。市場でニーズの高い機能はほぼすべて盛り込んだ。
バルミューダらしさ全開のソフトウェア
ハードウェアにおけるトピックだけでも十分にバルミューダの情熱を感じることができたが、本当にらしさを主張していたのはソフトウェアだ。スマホには頻度高く利用するベーシックアプリがいくつかあるが、同社はその設計を一から見直し、利便性の高いアプリとして生まれ変わらせた。たとえば、スケジューラは長いスパンであっても予定が一目瞭然で分かるように日を縦軸、時間を横軸に設計。ピンチイン・ピンチアウトで直感的に確認ができるようにした。メモも全体が俯瞰できるデザインで再設計。ヘッダーカラーによる分類もできるなど、実用性を重視した。ウォッチはデザインもさることながら、音にこだわり、オリジナルサウンドを搭載した。
「大人のための」と前置きして紹介した計算機は「億」「万」などの単位ボタンを配置。また瞬時に為替演算が可能な機能も盛り込んだ。カメラはメインが有効画素数約4800万、サブカメラが約800万と一般的だが、キッチン家電開発時に培ったノウハウを生かし、フードモードにこだわった。ホーム画面でもタップの回数やストライプをなでると、指定のアプリに瞬時にアクセスできるギミックを採用した。
BALMUDA Phoneは新たに立ち上げたブランド「BALMUDA Technologies」の第一弾にあたる。具体的なカテゴリーの明言は避けたが、すでに第2弾や第3弾の開発にも着手しているとのことだ。「生活家電の分野でポップソングのようなアプローチをしていたとするなら、デジタル家電ではロックミュージック。尖った製品でなければ気づきもされない」(寺尾社長)。世界でも勝負できる本物のオリジナリティに期待したい。(BCN・大蔵大輔)