ファーウェイの独自OSはどこまで使える? 最新タブレット「MatePad 11」レビュー
ファーウェイ・ジャパンが7月下旬に発売した、独自のHarmonyOS 2を搭載する約11インチのタブレット「HUAWEI MatePad 11」を試してみた。ビジネスとクリエイティブ、各方面で本機の使い勝手が強化できるオプションのカバー機能を兼ねたスマートキーボード、専用スタイラスペン「M-Pencil」の使用感も合わせて報告したい。
オプションとして販売される「HUAWEI Smart Magnetic Keyboard」はMatePad 11にデザインと機能を最適化したカバーケースを兼ねるBluetoothキーボードだ。マグネットでタブレットに接続すればペアリングと充電が自動的に行われる。カバーを閉じるとタブレットが自動的にスタンバイモードに切り替わる。キーストロークは約1.3mm。キーピッチも十分に確保されているので筆者は心地よくタイピングできたが、キーが小さいため指の太い方は戸惑うかもしれない。
「HUAWEI M-Pencil」はタブレットの側面にマグネットで装着して充電ができる専用アクセサリーだ。タブレットの液晶画面が120Hzの高リフレッシュレートに対応しているため、動画の表示が滑らかなだけでなく、M-Pencilによる書き味もスムーズだ。スタイラスペンは4096段階の筆圧・傾斜感度に対応。プリインストールされている「メモ帳」アプリでテキストや図形を筆記してみると、ペン先の動きに対するデータ描画の遅延が少なく、ペンを斜めに傾けながら書いても正確に描画できた。ペンがとても軽いのも良い。
書き味もさることながら、OSやアプリのテキストボックスに日本語やアルファベットで手書きの文字を書くとデジタルタイピングにすばやく変換する「FreeScript」機能が実用的だ。手書き入力をデジタルタイピングに変換できるテキストエディタアプリの「Nebo for Huawei」を使えばM-Pencilで長い文書を手で書くこともできそうだが、筆者は仕事に使うならやはりスマートキーボードを選ぶと思う。
いずれも市場想定売価になるが、5万4780円のタブレット本体に1万5180円のキーボード、1万2980円のスタイラスペンを一式買い揃えても、約8.3万円に収められる。クアルコムのモバイル向けフラグシップSoCである「Snapdragon 865」と6GBのRAMを搭載することから、画面をマルチウィンドウ表示にして二つのアプリを同時に動かしてもストレスを感じない。操作性も快適なタブレットだ。
代わりにHarmonyOS 2では「HUAWEI Mobile Service(HMS)」という独自のコアサービスを用意し、アプリも独自の配信プラットフォームである「HUAWEI AppGallery」からダウンロード・インストールする。だがHUAWEI AppGalleryから直接ダウンロードできるアプリはまだ少ない。そこでHarmonyOS 2の場合、APK形式のプログラム実行ファイルをインストールして起動、Androidアプリを投入できる仕組みを採用している。
例えば、AppGalleryでビデオ会議アプリの「Microsoft Teams」を検索すると、AppGalleryの機能として組み込まれているAPKファイルを探し出せる検索エンジン「Petal検索」が走り、Webに公開されているMicrosoft TeamsのAPKファイルを探し当ててくれる。
筆者が検索した限りではZoomやWebexなどオンライン会議アプリが見つけられるし、Google純正のGmailやChromeなどのアプリもAPKによる導入ができた。ただ、やはりAPKファイルに悪意あるコードが含まれているリスクも考えなければならないだろう。AppGalleryから直接ダウンロードができて、HarmonyOS上で動作するセキュリティアプリを見つけたい。
YouTubeやAmazon Prime Videoはアプリを入れることができなくても、本機にプリインストールされているブラウザアプリで視聴できた。YouTubeで音楽ライブのストリーミング番組を視聴してみた。動画は精細感が高く色合いも自然だ。なにより4基のスピーカーユニットを搭載したステレオ再生にも対応する内蔵オーディオシステムのサウンドに迫力がある。エンターテインメント鑑賞用のタブレットとしても魅力的だと思う。
MetePad 11はハードウェアやユーザーインターフェースの完成度が高いタブレットだが、アプリの導入方法を含めて使い勝手にいくつかのクセがある。ユーザーフレンドリーな価格を実現しているものの、安全・快適に使いこなすためには一定レベルのデジタルデバイスに対する経験とリテラシーが求められる「上級者向けのタブレット」と捉えるべきかもしれない。
HarmonyOSは扱いに慣れてしまえば、同じOSを搭載するスマホから写真を素速く簡単に転送したり、ファーウェイのWindows搭載パソコンとつないでMatePad 11をセカンドスクリーンとして使える便利機能が揃っている。今後のHarmonyOSがどのように発展していくのか注目する必要もありそうだ。(フリーライター・山本敦)
高性能の本体を生かし切る充実のアクセサリ
MatePad 11は約11インチ(10.95インチ)、解像度は2560×1600画素の広色域表示に対応するIPS液晶ディスプレイを搭載する。ディスプレイ側にも8MPのカメラを配置しつつ、画面周辺のベゼル(額縁)をスリムに設計してポータビリティを高めた。タブレット単体の質量は約485gと軽い。128GBのストレージを内蔵するほか、外付け記憶媒体としてmicroSDカードが併用できる。約7250mAhの内蔵バッテリーで約12時間の連続駆動に対応している。オプションとして販売される「HUAWEI Smart Magnetic Keyboard」はMatePad 11にデザインと機能を最適化したカバーケースを兼ねるBluetoothキーボードだ。マグネットでタブレットに接続すればペアリングと充電が自動的に行われる。カバーを閉じるとタブレットが自動的にスタンバイモードに切り替わる。キーストロークは約1.3mm。キーピッチも十分に確保されているので筆者は心地よくタイピングできたが、キーが小さいため指の太い方は戸惑うかもしれない。
「HUAWEI M-Pencil」はタブレットの側面にマグネットで装着して充電ができる専用アクセサリーだ。タブレットの液晶画面が120Hzの高リフレッシュレートに対応しているため、動画の表示が滑らかなだけでなく、M-Pencilによる書き味もスムーズだ。スタイラスペンは4096段階の筆圧・傾斜感度に対応。プリインストールされている「メモ帳」アプリでテキストや図形を筆記してみると、ペン先の動きに対するデータ描画の遅延が少なく、ペンを斜めに傾けながら書いても正確に描画できた。ペンがとても軽いのも良い。
書き味もさることながら、OSやアプリのテキストボックスに日本語やアルファベットで手書きの文字を書くとデジタルタイピングにすばやく変換する「FreeScript」機能が実用的だ。手書き入力をデジタルタイピングに変換できるテキストエディタアプリの「Nebo for Huawei」を使えばM-Pencilで長い文書を手で書くこともできそうだが、筆者は仕事に使うならやはりスマートキーボードを選ぶと思う。
いずれも市場想定売価になるが、5万4780円のタブレット本体に1万5180円のキーボード、1万2980円のスタイラスペンを一式買い揃えても、約8.3万円に収められる。クアルコムのモバイル向けフラグシップSoCである「Snapdragon 865」と6GBのRAMを搭載することから、画面をマルチウィンドウ表示にして二つのアプリを同時に動かしてもストレスを感じない。操作性も快適なタブレットだ。
気になるHarmonyOSの互換性。アプリは十分に揃うのか
MatePad 11の価値はファーウェイが独自に開発するHarmonyOS 2の使い勝手を含めて評価する必要がある。本機は米グーグルがライセンスを提供する「Google Mobile Service(GMS)」に対応していないため、「Google Playストア」が使えない。またGmail、Chrome、Google MapといったAndroid OSを搭載するデバイスには馴染み深いグーグル純正のアプリとサービスもプリインストールされていない。代わりにHarmonyOS 2では「HUAWEI Mobile Service(HMS)」という独自のコアサービスを用意し、アプリも独自の配信プラットフォームである「HUAWEI AppGallery」からダウンロード・インストールする。だがHUAWEI AppGalleryから直接ダウンロードできるアプリはまだ少ない。そこでHarmonyOS 2の場合、APK形式のプログラム実行ファイルをインストールして起動、Androidアプリを投入できる仕組みを採用している。
例えば、AppGalleryでビデオ会議アプリの「Microsoft Teams」を検索すると、AppGalleryの機能として組み込まれているAPKファイルを探し出せる検索エンジン「Petal検索」が走り、Webに公開されているMicrosoft TeamsのAPKファイルを探し当ててくれる。
筆者が検索した限りではZoomやWebexなどオンライン会議アプリが見つけられるし、Google純正のGmailやChromeなどのアプリもAPKによる導入ができた。ただ、やはりAPKファイルに悪意あるコードが含まれているリスクも考えなければならないだろう。AppGalleryから直接ダウンロードができて、HarmonyOS上で動作するセキュリティアプリを見つけたい。
YouTubeやAmazon Prime Videoはアプリを入れることができなくても、本機にプリインストールされているブラウザアプリで視聴できた。YouTubeで音楽ライブのストリーミング番組を視聴してみた。動画は精細感が高く色合いも自然だ。なにより4基のスピーカーユニットを搭載したステレオ再生にも対応する内蔵オーディオシステムのサウンドに迫力がある。エンターテインメント鑑賞用のタブレットとしても魅力的だと思う。
MetePad 11はハードウェアやユーザーインターフェースの完成度が高いタブレットだが、アプリの導入方法を含めて使い勝手にいくつかのクセがある。ユーザーフレンドリーな価格を実現しているものの、安全・快適に使いこなすためには一定レベルのデジタルデバイスに対する経験とリテラシーが求められる「上級者向けのタブレット」と捉えるべきかもしれない。
HarmonyOSは扱いに慣れてしまえば、同じOSを搭載するスマホから写真を素速く簡単に転送したり、ファーウェイのWindows搭載パソコンとつないでMatePad 11をセカンドスクリーンとして使える便利機能が揃っている。今後のHarmonyOSがどのように発展していくのか注目する必要もありそうだ。(フリーライター・山本敦)