驚きの爪楊枝専用ガジェット「IGOKOCHI」は変だけど使えるヤツだった
【木村ヒデノリのTech Magic #067】 使いたいときに意外と自宅にないのが爪楊枝だ。見た目で生活感も出てしまうので、筆者は無意識に敬遠していた。そんな折にAmazonで「インテリジェントつまようじ入れ」なるものを発見。これなら見た目も悪くないし、UVで消毒されたものが1本ずつ出てくるのも面白い。あまり期待せず購入してみたが、予想以上に日常使いになったので紹介したい。
家庭で使う場合にはあまり気にしないかもしれないが、一般的には爪楊枝は外気に晒されている。また一度に多く使う訳でもないので、かなり長期間出しっぱなしになっていることが多いだろう。
IGOKOTIでは1本ずつ出てくるので衛生的だ。手をかざしただけでさっと出てきてくれるほか、間違えて出してしまってもほうっておけば再度収納される。わざと向きをバラバラにしてタンクに格納し、数か月使っているが中で詰まったりしたことも1度もなかった。何よりシュッと1本だけ出てくる姿がシュールで、はじめのうちは何度も手をかざしてしまったほど。ユーザー体験という面においては非常に良くできた製品だ。
ただし、機能性に誇張があると感じられる点もあった。表記には「UVで殺菌するので衛生面も担保している」とあったが、どこから見てもUVらしき光が見えず、マニュアルにもUV光がどのくらいの波長なのかの記載がなかったことから分解を試みた。
分解してみると、一応UVライトらしきものがタンク底にあった。ただしその挙動を確認すると点灯時間が1.5秒程度と非常に短い。また、同様の形状のUV LEDパーツを調べたところ、大体300nm~400nm台の光しか照射できないパーツだということがわかった。
UVで殺菌する場合、大抵は紫外線の中でもUV-Cという波長を利用する。これは100nm~280nmという該当パーツで照射するより短い波長で、地表まで到達しないという特性から殺菌力も高い。最も殺菌効率が高いのは254nm~265nmの波長だが、これらを使ったとしても6秒程度は照射しないと効果を期待できないという研究結果もある。
以上のことから考えると「UVを照射している」という記載に嘘はないものの、照射時間や波長から推測するに「殺菌効果がある」とは言えないという結論に至った。
UV光を強力にするとバッテリーの持ちが短くなるなど支障が出てくるのかもしれないが、しっかりとした殺菌効果があれば商品価値が上がる。少し高くなっても良いので、UV-Cで60秒程度殺菌してくれる新モデルがリリースされればホテルや飲食店など様々なところで利用されるようになるのではないだろうか。今後の進化に期待したい。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
そもそもの用途以外にも色々と使える爪楊枝
爪楊枝の用途は意外と幅広い。食事の後に使うだけでなく、豚バラを使った肉巻きがほどけないようにといった用途にも重宝するし、細い隙間の掃除にも使える。使った後は捨てられる上に、端材からできた楊枝はエコでもある。これまで楊枝のなかったわが家でも娘の工作で活躍するなど、あると使ってしまう便利さにあらためて驚かされた。バッテリーも長期間持ち、センサーの反応もすこぶる良い
本体は単4電池4本で稼働し、約3か月以上(10万回程度)出し入れができる。楊枝タンクには100本程度を格納できるので、頻繁な補充も必要ない。タンクの蓋は密閉されているのでホコリなどが入る心配もないし、定期的にUV光が照射される仕組みになっている。家庭で使う場合にはあまり気にしないかもしれないが、一般的には爪楊枝は外気に晒されている。また一度に多く使う訳でもないので、かなり長期間出しっぱなしになっていることが多いだろう。
IGOKOTIでは1本ずつ出てくるので衛生的だ。手をかざしただけでさっと出てきてくれるほか、間違えて出してしまってもほうっておけば再度収納される。わざと向きをバラバラにしてタンクに格納し、数か月使っているが中で詰まったりしたことも1度もなかった。何よりシュッと1本だけ出てくる姿がシュールで、はじめのうちは何度も手をかざしてしまったほど。ユーザー体験という面においては非常に良くできた製品だ。
デザイン製は非常に良いが、性能には誇張か?と思える点も
さらに良いのがデザイン製の高さだ。約3000円という価格以上の高級感が漂う外観は、おしゃれなカフェに置いても成立するほどの品質。強いていうなら”IGOKOTI”というロゴの大きさが気になるが、非常に満足のいくデザインだ。また、センサー製品なので、移動させるときに反応しなくなる細かな配慮も好感が持てた。電池カバーに小さい突起がついており、持ち上げた際は通電しなくなる設計で誤動作を防止してくれる。このあたりも価格の割に考えられた構造になっている印象だった。ただし、機能性に誇張があると感じられる点もあった。表記には「UVで殺菌するので衛生面も担保している」とあったが、どこから見てもUVらしき光が見えず、マニュアルにもUV光がどのくらいの波長なのかの記載がなかったことから分解を試みた。
分解してみると、一応UVライトらしきものがタンク底にあった。ただしその挙動を確認すると点灯時間が1.5秒程度と非常に短い。また、同様の形状のUV LEDパーツを調べたところ、大体300nm~400nm台の光しか照射できないパーツだということがわかった。
UVで殺菌する場合、大抵は紫外線の中でもUV-Cという波長を利用する。これは100nm~280nmという該当パーツで照射するより短い波長で、地表まで到達しないという特性から殺菌力も高い。最も殺菌効率が高いのは254nm~265nmの波長だが、これらを使ったとしても6秒程度は照射しないと効果を期待できないという研究結果もある。
以上のことから考えると「UVを照射している」という記載に嘘はないものの、照射時間や波長から推測するに「殺菌効果がある」とは言えないという結論に至った。
2021年版は充電式に、更なる進化を期待したい製品
殺菌効果こそ疑わしいものの、ユーザー体験としては便利な製品だった。新しいモデルではバッテリーも充電式となり、より使いやすくなっている。UV光を強力にするとバッテリーの持ちが短くなるなど支障が出てくるのかもしれないが、しっかりとした殺菌効果があれば商品価値が上がる。少し高くなっても良いので、UV-Cで60秒程度殺菌してくれる新モデルがリリースされればホテルや飲食店など様々なところで利用されるようになるのではないだろうか。今後の進化に期待したい。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
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