アップルが最新世代の「iPad Pro」を発売した。iPadの中でも最大の画面サイズを誇る12.9インチのiPad Proには初のミニLEDバックライトを採用するHDR対応ディスプレイや5Gモバイル通信機能など多くの見所が詰まっている。筆者が考える、いま新しい12.9インチiPad Proを買うべき“4つの理由”を解説する。
iPad Proには1万を超えるミニLEDを均一に敷き詰めた直下型バックライトシステムが採用。無数のLEDをさらに2,500以上のエリアと呼ぶセグメントに分けて、ディスプレイに表示する映像に合わせてエリアごとに明暗を細かく独自のアルゴリズムによりコントロールする。
エリア単位で強いピーク輝度を再現できるLED光源を採用したことで、iPadとして初めてDolby VisionやHDR 10などさまざまな方式で制作されたHDR対応の高画質な映像をダウンコンバートすることなくネイティブ画質のまま表示できるようになった。
アップルの映像配信サービス「Apple TV」にはDolby Visionに対応するHDR映像作品も数多く配信されている。また、iTunes StoreからHDR対応の最新映画を購入・レンタルしてiPad Proで見ることも可能だ。
4K/HDR対応の大型テレビで視聴するよりも、12.9インチiPad Proなら映像のディティールがよりリアルに目の前にまで迫ってくるような没入体験が楽しめる。
Dolby Vision方式によるHDR動画の撮影に対応するiPhone 12で撮影したビデオを、目で見た実際の風景に近いリアリティとともに再現するiPadは現時点で本機の他にない。
上位のiPad ProとiPad Airは軽量・コンパクトで、iPadの側面にマグネットで接続して充電する第2世代のApple Pencilが使える。さらにこの2機種はタッチセンサーとカバーガラス、液晶パネルを一体化したフルラミネーションディスプレイを搭載しているので、線が描かれる位置とペン先との間にギャップがほとんど生まれない。従って、まるで紙にペンを走らせているみたいに自然な描画感を得ることができる。
加えて効いてくるのが最上位モデルであるiPad Proだけが搭載するリフレッシュレート120Hz対応のProMotionテクノロジーだ。文字を書いたり、線画を描く際にiPad Proはペン先の直下で線が生成されて、筆運びに合わせてペン先がぴたりと追従してくるような感覚を伴う。
iPad Proには12.9インチと11インチの二つのサイズがあるが、iPadでイラストや図面を描いたり、デジタル写真のレタッチ作業等に活用することを考えている方には、より多くの情報を一度に読み書きできる大判12.9インチiPad Proをおすすめしたい。
Wi-Fiによる無線通信は最新規格のWi-Fi 6をサポートするので、自宅に高速ネットワーク通信環境を構築すれば、在宅リモートワークのビデオ会議もスムーズにこなせる。フロント側のTrueDepthカメラには被写体となる人物が移動しても常に動画映像の中央に自動配置する「センターフレーム」機能も初搭載。本機能はオフにもできる。
iPad ProをよりノートPCライクに活用したい方は、本体の保護カバーの役割を兼ねるMagic Keyboardを追加購入すると良いだろう。MacBookのようにスムーズな打鍵感が得られるキーボードには暗い場所に移動すると自動点灯するバックライトキーも搭載されている。キーボードの充電が要らないところもアップル純正アクセサリーらしい特徴と言えるかもしれない。
よほど処理に負荷がかかる作業に使わない限り、A12Z Bionicチップを搭載するiPad Proに比べて処理速度の体感差は感じられないが、チップに統合されているISP(画像信号プロセッサ)の実力によるものだろうか、新しいiPad Proのメインカメラで暗い場所を撮影すると、より明るくきめ細やかな写真が残せるメリットはすぐに実感できるレベルだ。
「Apple Arcade」で楽しめる定額制ゲーム配信サービスも、M1チップを搭載するiPad Proならプレイがとても快適だ。最新のiPadOSがサポートするソニーのワイヤレスゲームコントローラー「DualSense」をペアリングすれば、12.9インチの高精細なLiquid Retina XDRディスプレイで没入感あふれるゲーミング体験も楽しめる。
iPad Proはシリーズの他の機種に比べると高価なデバイスなので、購入を検討する段階では「もしかすると手に入れた後に性能を持て余してしまうのではないだろうか」と案ずるかもしれないが、心配は不要だ。現時点で最高のクオリティとスペックを備えるiPad Proだからこそ、長くユーザーの期待に応え続けてくれる。結果として「最もコストパフォーマンスの高いiPad」を手に入れたことにたしかな満足感が得られるのではないだろうか。(フリーライター・山本敦)
iPad初のHDR対応高画質、動画や写真が驚くほどに美しい
12.9インチiPad ProのLiquid Retina XDRディスプレイには、アップルのデバイスとしても初の試みとなる「ミニLEDバックライトシステム」が搭載された。ミニLEDとはディスプレイの光源として機能する、名前の通り極小サイズのLEDライトのことだ。iPad Proには1万を超えるミニLEDを均一に敷き詰めた直下型バックライトシステムが採用。無数のLEDをさらに2,500以上のエリアと呼ぶセグメントに分けて、ディスプレイに表示する映像に合わせてエリアごとに明暗を細かく独自のアルゴリズムによりコントロールする。
エリア単位で強いピーク輝度を再現できるLED光源を採用したことで、iPadとして初めてDolby VisionやHDR 10などさまざまな方式で制作されたHDR対応の高画質な映像をダウンコンバートすることなくネイティブ画質のまま表示できるようになった。
アップルの映像配信サービス「Apple TV」にはDolby Visionに対応するHDR映像作品も数多く配信されている。また、iTunes StoreからHDR対応の最新映画を購入・レンタルしてiPad Proで見ることも可能だ。
4K/HDR対応の大型テレビで視聴するよりも、12.9インチiPad Proなら映像のディティールがよりリアルに目の前にまで迫ってくるような没入体験が楽しめる。
Dolby Vision方式によるHDR動画の撮影に対応するiPhone 12で撮影したビデオを、目で見た実際の風景に近いリアリティとともに再現するiPadは現時点で本機の他にない。
Apple Pencilによる最もなめらかな描画に対応
筆者が本稿を執筆している2021年6月現在、アップルのiPadは全モデルがApple Pencilを使ってイラストや文字や書いたり、アイコン選択などのタッチ操作したりすることができる。ディスプレイのバックライトシステムが変わっても、専用の入力デバイスであるApple Pencilによるスムーズな書き心地は新しいiPad Proにも受け継がれている。上位のiPad ProとiPad Airは軽量・コンパクトで、iPadの側面にマグネットで接続して充電する第2世代のApple Pencilが使える。さらにこの2機種はタッチセンサーとカバーガラス、液晶パネルを一体化したフルラミネーションディスプレイを搭載しているので、線が描かれる位置とペン先との間にギャップがほとんど生まれない。従って、まるで紙にペンを走らせているみたいに自然な描画感を得ることができる。
加えて効いてくるのが最上位モデルであるiPad Proだけが搭載するリフレッシュレート120Hz対応のProMotionテクノロジーだ。文字を書いたり、線画を描く際にiPad Proはペン先の直下で線が生成されて、筆運びに合わせてペン先がぴたりと追従してくるような感覚を伴う。
iPad Proには12.9インチと11インチの二つのサイズがあるが、iPadでイラストや図面を描いたり、デジタル写真のレタッチ作業等に活用することを考えている方には、より多くの情報を一度に読み書きできる大判12.9インチiPad Proをおすすめしたい。
リモートワークにも心強い5G/Wi-Fi 6対応
iPad Proのラインアップには、やや高価になるがWi-Fiのほかにモバイル通信機能が使えるWi-Fi+Cellularモデルがある。最新世代のiPad ProはSub6方式の5G高速通信に対応した。nano-SIMとeSIMのデュアルSIM対応なので、たとえば今後海外に出かける機会が訪れた時に、現地で提供されている安価なデータ通信プランを購入・追加して通信料金を安く抑えることもできる。Wi-Fiによる無線通信は最新規格のWi-Fi 6をサポートするので、自宅に高速ネットワーク通信環境を構築すれば、在宅リモートワークのビデオ会議もスムーズにこなせる。フロント側のTrueDepthカメラには被写体となる人物が移動しても常に動画映像の中央に自動配置する「センターフレーム」機能も初搭載。本機能はオフにもできる。
iPad ProをよりノートPCライクに活用したい方は、本体の保護カバーの役割を兼ねるMagic Keyboardを追加購入すると良いだろう。MacBookのようにスムーズな打鍵感が得られるキーボードには暗い場所に移動すると自動点灯するバックライトキーも搭載されている。キーボードの充電が要らないところもアップル純正アクセサリーらしい特徴と言えるかもしれない。
すべてのタスクに快適さを実感させてくれるApple M1チップ
最新世代のiPad Proにはアップルが独自に設計したApple M1チップが搭載されている。2020年モデルのiPad Proに載っているA12Z Bionicチップに比べると、CPUで最大50%、GPUで最大40%のパフォーマンス向上を図った。よほど処理に負荷がかかる作業に使わない限り、A12Z Bionicチップを搭載するiPad Proに比べて処理速度の体感差は感じられないが、チップに統合されているISP(画像信号プロセッサ)の実力によるものだろうか、新しいiPad Proのメインカメラで暗い場所を撮影すると、より明るくきめ細やかな写真が残せるメリットはすぐに実感できるレベルだ。
「Apple Arcade」で楽しめる定額制ゲーム配信サービスも、M1チップを搭載するiPad Proならプレイがとても快適だ。最新のiPadOSがサポートするソニーのワイヤレスゲームコントローラー「DualSense」をペアリングすれば、12.9インチの高精細なLiquid Retina XDRディスプレイで没入感あふれるゲーミング体験も楽しめる。
iPad Proはシリーズの他の機種に比べると高価なデバイスなので、購入を検討する段階では「もしかすると手に入れた後に性能を持て余してしまうのではないだろうか」と案ずるかもしれないが、心配は不要だ。現時点で最高のクオリティとスペックを備えるiPad Proだからこそ、長くユーザーの期待に応え続けてくれる。結果として「最もコストパフォーマンスの高いiPad」を手に入れたことにたしかな満足感が得られるのではないだろうか。(フリーライター・山本敦)