アップルが発表した紛失防止トラッカー「AirTag(エアタグ)」が4月30日に発売を迎える。価格は1個3800円から。4個セットで1万2800円というパッケージ版もある。できることが限られるとはいえ、シンプルで実用的に使える“お買い得”なアップルのプロダクトだと思う。実機に触れながら使い方をレポートしよう。
本体は直径が31.9mm。500円玉より少し大きめだ。質量は11gと軽いので、女性がハンドバッグに装着しても重さが増す感覚はないだろう。アップルのオンラインストアで注文すると、天面の白い樹脂素材のカバーにイニシャルや好きな絵文字を刻印できる。ステンレススチールの底面側にはアップルのロゴが刻まれている。スタイリッシュな手のひらサイズの可愛らしいアイテムだ。
AirTagはCR2032コイン型バッテリーを電源としており、購入後に絶縁フィルムをはがすと常時電源オンの状態になる。コイン電池で約1年間使える経済的なアイテムだ。
最新のOSにアップデートしたiPhoneをAirTagに近づけると、iPhoneの画面にペアリング設定のガイダンスがポップアップする。指示に従えば簡単にユーザーのApple IDにペアリングされる。1人のユーザーが複数のAirTagをApple IDに登録して使うことができる。反対に1個のAirTagに家族それぞれのApple IDを登録して、家族共用の旅行カバンの追跡に使うといった用途には対応していない。
iPhoneとAirTagは安全なBluetooth信号による通信でつながっている。AirTagにペアリングしている端末がiPhone 12/iPhone 11シリーズだった場合は超広帯域無線(UWB)を活用したより正確な位置検出ができる。「探す」アプリから「探す」メニューをタップするとiPhoneの画面にAirTagのある場所を示す矢印が表示され、近づくとiPhoneが細かく振動して知らせてくれる。
AirTagを装着した持ち物がBluetooth圏外にある場合でも、世界中に数億台以上が普及していると言われるiPhoneやiPadなどアップルのデバイス同士が構成する「探す」ネットワークを介してAirTagを見つけ出せる。
ユーザーが紛失したAirTagは、近くにある「探す」ネットワークに対応するデバイスが検知できるように安全なBluetooth信号を発信する。AirTagの位置情報は暗号化をかけた状態でiCloudを介して送信され、「探す」アプリのマップ上で位置を調べることができる。持ち物を紛失した人、見つけた人の個人情報が外部に漏れる心配はないとアップルは説明している。
もしAirTagが装着されている“落とし物・なくし物”らしき所持品を発見した場合、NFC機能を搭載するiPhoneやAndroidスマホをAirTagにかざすと、持ち主が「探す」アプリから「紛失モード」を設定していれば、登録されている連絡先電話番号が表示されるので、こちらにコンタクトを取って知らせることもできる。
筆者も1週間ほどAirTagをバックパックに装着して使ってみた。今までスマホを紛失した経験がなかったため、iPhoneの「探す」アプリに意識を向ける機会があまりなかったのだが、一方で地下鉄の網棚にバッグを置いたまま下車したり、海外旅行で食事をしたカフェにバッグを置き忘れたりなど、手荷物については何度もヒヤリとする体験がある。AirTagを使うようになってから「探す」アプリのありがたみがよくわかり、iPhoneやAirPodsにもしものことがあったら絶対に使おうと意を決した次第だ。
AirTagのライバルとも言える他社製のスマートトラッカーにも「探す」アプリから検索できるものが増えるという。AirTagよりもさらに小さくスリムで財布のカード入れに装着しやすいものや、衣服にピンで留められるものなどデザインや使い勝手が異なるものがたくさん増えれば、これはユーザーにとって願いかなったりである。それぞれの長所を上手に使い分けたい。
AirTagはユーザーが自分の持ち物以外のアイテムを不正に追跡できないように設計されている。例えば、誰かのバッグや自動車にAirTagをこっそり付けて追跡しようとした場合には、自分のものではないAirTagを付けられているユーザーのiPhoneに通知が届く。
またはiPhoneを使っていないユーザーだった場合は、AirTagが音を鳴らして知らせる。不審なAirTagを見つけたら、NFCに対応するiPhoneやスマホをかざすとシリアル番号が把握できる。そのまま警察に届け出ても良いし、AirTagの白いカバーを回転させてフタを外すとコイン電池が取り出せるので、電源をオフにすれば追跡を防げる。
この用途を優先したためか、AirTagを付けた持ち物が置き引きなど窃盗の被害にあってしまった場合に、犯人に通知やビープ音によってAirTagがあることが知られてしまう課題が残った。盗難の場合はユーザーが「探す」アプリを開いてすぐに「サイレント追跡」ができるモードも選べると良いのだが、するとこの機能を逆手に取ってまた悪用されてしまう危険が出てくることが歯がゆい。財布などはAirTagのほかに、静かに追跡できるトラッカーをダブルで付けたり、「探す」アプリに対応するアクセサリーを上手に組み合わせて使いたい。
AirTagがあれば、大切な持ち物の紛失に対して迅速に対処ができるし、アップルの純正品からサードパーティ品も含む専用アクセサリーの中にはワンポイントチャームにもなるスタイリッシュなアイテムがある。まずは装飾も兼ねた便利アクセサリーとしてAirTagを1台買って気軽に試してみるとよいだろう。
(フリーライター・山本敦)
バッグや鍵など大切な持ち物をiPhoneで探せる
AirTagをバッグなど大切な持ち物に付けておけば、万が一見つからなくなってしまったときにiPhoneやiPadの「探す」アプリを使って探すことができる。iOS 14.5、iPadOS 14.5以上をインストールしたiPhone/iPod touch/iPadとのペアリングに対応する。本体は直径が31.9mm。500円玉より少し大きめだ。質量は11gと軽いので、女性がハンドバッグに装着しても重さが増す感覚はないだろう。アップルのオンラインストアで注文すると、天面の白い樹脂素材のカバーにイニシャルや好きな絵文字を刻印できる。ステンレススチールの底面側にはアップルのロゴが刻まれている。スタイリッシュな手のひらサイズの可愛らしいアイテムだ。
AirTagはCR2032コイン型バッテリーを電源としており、購入後に絶縁フィルムをはがすと常時電源オンの状態になる。コイン電池で約1年間使える経済的なアイテムだ。
最新のOSにアップデートしたiPhoneをAirTagに近づけると、iPhoneの画面にペアリング設定のガイダンスがポップアップする。指示に従えば簡単にユーザーのApple IDにペアリングされる。1人のユーザーが複数のAirTagをApple IDに登録して使うことができる。反対に1個のAirTagに家族それぞれのApple IDを登録して、家族共用の旅行カバンの追跡に使うといった用途には対応していない。
「探す」アプリによる追跡も簡単
AirTagのペアリングを済ませたら、iPhoneやiPadの「探す」アプリを立ち上げて、画面の下に並ぶ「持ち物を探す」タブを開くとユーザーのAirTagが表れる。アイテムをタップするとマップ上に現在位置が表示される。「サウンドを再生」を選択するとAirTagからビープ音が鳴るので、見当たらない持ち物が見つけやすくなる。iPhoneとAirTagは安全なBluetooth信号による通信でつながっている。AirTagにペアリングしている端末がiPhone 12/iPhone 11シリーズだった場合は超広帯域無線(UWB)を活用したより正確な位置検出ができる。「探す」アプリから「探す」メニューをタップするとiPhoneの画面にAirTagのある場所を示す矢印が表示され、近づくとiPhoneが細かく振動して知らせてくれる。
AirTagを装着した持ち物がBluetooth圏外にある場合でも、世界中に数億台以上が普及していると言われるiPhoneやiPadなどアップルのデバイス同士が構成する「探す」ネットワークを介してAirTagを見つけ出せる。
ユーザーが紛失したAirTagは、近くにある「探す」ネットワークに対応するデバイスが検知できるように安全なBluetooth信号を発信する。AirTagの位置情報は暗号化をかけた状態でiCloudを介して送信され、「探す」アプリのマップ上で位置を調べることができる。持ち物を紛失した人、見つけた人の個人情報が外部に漏れる心配はないとアップルは説明している。
もしAirTagが装着されている“落とし物・なくし物”らしき所持品を発見した場合、NFC機能を搭載するiPhoneやAndroidスマホをAirTagにかざすと、持ち主が「探す」アプリから「紛失モード」を設定していれば、登録されている連絡先電話番号が表示されるので、こちらにコンタクトを取って知らせることもできる。
筆者も1週間ほどAirTagをバックパックに装着して使ってみた。今までスマホを紛失した経験がなかったため、iPhoneの「探す」アプリに意識を向ける機会があまりなかったのだが、一方で地下鉄の網棚にバッグを置いたまま下車したり、海外旅行で食事をしたカフェにバッグを置き忘れたりなど、手荷物については何度もヒヤリとする体験がある。AirTagを使うようになってから「探す」アプリのありがたみがよくわかり、iPhoneやAirPodsにもしものことがあったら絶対に使おうと意を決した次第だ。
AirTagと「探す」アプリ対応アクセサリーを上手に組み合わせたい
今後はアップルの外部パートナーであるデバイスやアクセサリーのメーカーからも「探す」アプリによるトラッキングに対応する製品が増えそうだ。すでにAirTagと同じ機能を本体に内蔵した電気自転車、ワイヤレスイヤホンなどのアイテムがサードパーティーのメーカーから発売を予定している。AirTagのライバルとも言える他社製のスマートトラッカーにも「探す」アプリから検索できるものが増えるという。AirTagよりもさらに小さくスリムで財布のカード入れに装着しやすいものや、衣服にピンで留められるものなどデザインや使い勝手が異なるものがたくさん増えれば、これはユーザーにとって願いかなったりである。それぞれの長所を上手に使い分けたい。
AirTagはユーザーが自分の持ち物以外のアイテムを不正に追跡できないように設計されている。例えば、誰かのバッグや自動車にAirTagをこっそり付けて追跡しようとした場合には、自分のものではないAirTagを付けられているユーザーのiPhoneに通知が届く。
またはiPhoneを使っていないユーザーだった場合は、AirTagが音を鳴らして知らせる。不審なAirTagを見つけたら、NFCに対応するiPhoneやスマホをかざすとシリアル番号が把握できる。そのまま警察に届け出ても良いし、AirTagの白いカバーを回転させてフタを外すとコイン電池が取り出せるので、電源をオフにすれば追跡を防げる。
この用途を優先したためか、AirTagを付けた持ち物が置き引きなど窃盗の被害にあってしまった場合に、犯人に通知やビープ音によってAirTagがあることが知られてしまう課題が残った。盗難の場合はユーザーが「探す」アプリを開いてすぐに「サイレント追跡」ができるモードも選べると良いのだが、するとこの機能を逆手に取ってまた悪用されてしまう危険が出てくることが歯がゆい。財布などはAirTagのほかに、静かに追跡できるトラッカーをダブルで付けたり、「探す」アプリに対応するアクセサリーを上手に組み合わせて使いたい。
AirTagがあれば、大切な持ち物の紛失に対して迅速に対処ができるし、アップルの純正品からサードパーティ品も含む専用アクセサリーの中にはワンポイントチャームにもなるスタイリッシュなアイテムがある。まずは装飾も兼ねた便利アクセサリーとしてAirTagを1台買って気軽に試してみるとよいだろう。
(フリーライター・山本敦)